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今夜は体で払ってもらう
yahan no ordermeshi
え?
何故こんなに評価が低いの?
っていうより、あまり読まれていないのか?
姐さま方、それはもったいないですよ。
この本とっても面白いし、それだけじゃなく泣ける……って言うか、泣いた。
とあるシーンで図らずも、大泣きしてしまった。
子どもが大人になるお話です。
正確に言えば『子どもが大人になろうと決意する話』なんですけれどもね。
被虐待児のイチカは家を捨て、仲間にしてくれた半グレ集団のパシリをしているのですけれども、居候している『上の人』の女に粉をかけられた為に仲間から狩られ、逃げた先では敵対するグループに追われ、どこにも行き場がなくて逃げ込んだのが六本木の町にはあるまじきほどレトロな佇まいの本郷商店。
キセルを吸う少年や、言葉を発しない美女にしか見えない男性、婀娜な着物姿の姐さんなど一風変わった客が出入りするこの店、実は妖怪の店なんですね。
オーナーの夜半(ヨハン)は、時折、迷い込んで来る『人間社会で行き場をなくしてしまった客たち』が心の底から食べたいと望んでいるメニューを忠実に再現して提供します。それを食べた人たちは、そのメニューに付随している記憶を思い出し、そして自らの想いに気づいて、また人間の世界に帰って行きます。
さて、八方ふさがりのイチカが本郷商店で望んだメニューとは……
もう、泣く。
泣くしかないでしょ、こんなん書かれたら。
「うるせー」「テメー」「知らねーよ」という言葉を吐き散らし、半グレだったイチカが心の底で望んでいた『夢の食べ物』がこれなんですよ!(更に泣く)
イチカは人間の世界に戻るよりも夜半と一緒に居たいと思う様になります。
一度は住み込みで働くことを許した夜半ですが、イチカのプライドも何も投げうった「夜半の恋人になりたい」という告白を聞いて、彼を本郷商店から人間の社会に戻します。
このやり方もとても優しいんだよねぇ……勿論、最初イチカには酷い仕打ちに見えたのでしょうけれど。
でも、イチカは解るのです。
「ちゃんと生きなきゃだめだ」ということを。
夜半を筆頭に、このお話に出て来る妖怪たちやイチカが後半で勤めることになる骨董屋夫婦が素晴らしいんですよ。彼らは本当に『真っ当な大人』なの。子どもを愛すると言うことがどういうことなのかをちゃーんと知っている。この辺もやたら泣けたんですよねぇ。
ちゃんと生きようとする人には、その姿勢を理解してくれる人が出来ます。
ちゃんと生きようとする人には、成果が積みあがって行きます。
だから、ちゃんと生きようとする人には、時折、夢の様なご褒美が与えられるのだと思います。
お話のラスト、イチカが勝ち取ったご褒美に私の胸は大層熱くなってしまいました。
そして、それを「めでたしめでたし」とせずに、自分の意志で決めた未来に向かって生きていこうとするイチカに、私は更に満足したのでした。
少年、頑張れっ!
やっぱり妖怪は最高ですね。
数百歳の妖怪×教養のない17歳。
最初の、まだ妖怪たちと接する前の話で、同居させてもらってる(先輩の先輩の)先輩の彼女に襲われかけたシーンで、ウッって読み進めるか迷ったけど、そのあとの展開が全部良くて、頑張って思い出すまで記憶から消えてました。
グッとくるところが多い。イチカの願望が目の前に現れた場面ではうるっと来た。親が大人になれてない(精神が成長してない)って辛いな。
でもそれを上回って、坊が可愛すぎる……。はじめはちょっと当て馬みたいな存在になってたけど、それでも可愛い。
恋愛感情を起こせるか分からないけど、いい感じの相手ができたらなぁって想像してる。妖狐とかだとエモい。
神寄りです。面白かったーヾ(*´∀`*)ノ
"お腹空かせてる受けに食事を用意する攻め"の設定が大好きです。
攻めが人外というのもあり恋愛的な甘さは控えめですが
食事にまつわるシーンは涙腺が緩んで泣けました(;///;)
人として大切なものを何一つ持っていない受けの成長が描かれていて、
キャンキャンうるさい野良犬が変化していくのがグッときます(;///;)
妖怪と人間のお話ですが特殊さはなく世界観にすんなりと入り込めたのも良かったです。
妖怪のお話は案外身近な存在なんですよね。(鬼○郎や夏○を観てるので…)
そんな風に普段の生活の延長にちょっと不思議な世界があるようなお話でした。
さてさて。
受け:イチカはネグレクトの親の元で育ちました。
挨拶、礼儀、暮らしの作法など何一つ教えられておらず、
与えられたのは機嫌の良いときだけの可愛がりと暴力だけ。愛情は知りません。
なるべくしてなった…といいますか。
半グレのグループに入り、先輩の使いっ走りをして生活しています。
バイト代は全て先輩の食事代に消え、自分の食べる分すらままならない。
そんな生活でも一人でいるよりずっといい。
先輩やその彼女にバカにされても笑っているイチカはとても痛々しいです。
ある日イチカは先輩の彼女に嵌められグループにいられなくなります。
見つかったらボコボコにされて、必死に逃げて逃げて、お金も行くアテもなくて。
そんな深夜に不思議なお店をみつけてなけなしのお金で食事をします。
けれど店を出るときにお金がないことに気付いてーーーと始まります。
イチカが見つけた不思議なお店は妖怪向けのお店。
人間が辿り着くとしたら、人生に生き詰まったときなのですね。
攻め:ヨハンはマレナリという妖怪で、内に抱える願望を実現できます。
彷徨う者には「食事」を通じて悩みを和らげる手伝いをしていました。
イチカも願望を形にした食事を出されるシーンがあるのですが、
愛されなかった子供が欲する"親の愛情の塊"が用意されて…(;///;)
イチカは小学校の時に憧れた食事を前にして泣きながらたべるのですよ!
個人的にこういうのは弱いのはボロ泣きでした。
ヨハンのご飯はとても美味しくてイチカは通うのですが、なんせお金がない。
日中小銭を拾って歩き回り、ようやく見つけた3円を手にしてヨハンの店にいく姿。
痛々しくて悲しくなってくる…(;ω;)
学がなく生活力もないイチカは語彙も貧困。
言いたい言葉が出てこず、出る言葉は「うるせー」「ほっとけ」「知るか」等々…。
最初の内はヨハンも呆れていて突き放すのですが、
周囲の妖怪の口添えもあってイチカはヨハンの店で働くことになるのですね。
で。まともな接客が出来ないイチカを妖怪達が徹底的に躾し直す!
ヨハンの手のこもった食事や妖怪達の愛のある説教。
本来なら親から自然と与えられる愛情や躾をイチカは17歳にして初めて経験するのです。
人として少しずつ成長して語彙が増えていくのがジーンときます(;///;)
そんな状況なのでヨハンに惹かれるのは遅かれ早かれな案件なのですがッッ!
イチカが告白するやいなや……ですよ。
クソ~~ヨハンめ~~~~!(#゚皿゚)
ヨハンに捨てられたと気付いた時のイチカの悲しみが痛くて痛くて…(;///;)
イチカはトコトン傷つき萌え属性のツボを突いてくるわ…。
そこからもう一段階 イチカは成長します。
元が元なので伸び代がハンパないし、イチカの根っこは素直でとても可愛い!
ヤンチャでオラオラぶってた部分が少し削がれると純な子供みたいなとこにキュンとなる。
めっちゃイイコやん!好き!ってなりました。(チョロい)
ヨハンはですね~~~。
妖怪だからかな?やっぱり人間の攻めとは違うなーと思います。
長く生きてるし死なないせいか情熱的なところがない(苦笑)
ヨハン→←←←←←←←←イチカ ぐらいの温度差を感じる。
イチカを可愛く思ってるのは伝わるけれど、ここだけはちょっと消化不良かな。
あと重要な脇役でヨハンに取り憑いている妖怪の"坊"がいます。
坊はとってもイイコですごく可愛かったです…!癒やしでした。
個人的にめっちゃ気に入ったので続編あるといいな。
そんでヨハンの濃度高めのラブが見たい!
あとイチカはイイ男になってヨハンを翻弄して欲しいw