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aiinochi
理不尽な暴力に、金に、セックスにと、完全に読者を選ぶ作品になります。
アウトロー達の物語です。
しかし、個人的にはめちゃくちゃ面白かったですね。
これ、多分、一番マトモに見える受けが一番危ういと言いますか、最強と言いますか・・・。
いや~、ここまでガチンコで攻めに向かって行く受けって、なかなか居ないですよ。
ここまで自分勝手だと、逆に爽快ですよ!!
それにしても、このタイトル・・・。
このタイトルがな~・・・。
「愛淫堕ち」の方は、これ以上無いほどピッタリの気がするんですけど、「若頭に仕込まれて」で妙な方向にシフトしちゃってる気がしますよ。
多分、タイトルから想像するのと全然違う、深い内容だと思います。
内容ですが、借金のカタに売り飛ばそうとしたヤクザ・健一×先輩の借金を負わされた大学生・聡による、ヤクザもので初恋再会ものです。
暴力や凌辱強姦等の描写がキツめだと思うので、苦手な方はご注意下さい。
調子良く自分を使う先輩に騙され、主人公である聡が借金のカタに拉致された所からお話はスタート。
売春での返済をヤクザに強要され、媚薬を盛られた上で若頭である健一に商品としての「仕込み」をされるんですね。
で、あまりの快楽に朦朧とした聡が思い出したのは、幼い頃に神社の境内で出会った初恋の相手「ミチ兄」。
親から虐待を受けて不幸に慣れてしまった子供だった聡と、歪んだ家庭環境で不幸から這い出ようともがいていた大人だったミチ兄。
再会してしまった二人の、愛の行方はー?
と言ったものになります。
えーと、BLでヤクザと言うと、こう、凄くリッチなイメージがございますが。
ただ高月先生の場合、末端の小さな組で資金繰りにふうふう言ってるパターンが多いんですよ。
で、今回も、三次団体で台所事情も大変な小さな組の若頭が、攻めになる健一。
自分に心酔する腹心でも、思い通りに動かなければ躊躇無く殴りつける、まさにアウトローって感じの男になります。
で、そんな若頭に仕込まれる事になった聡。
実は最初のうち、彼のキャラクターがあまりに不安定で上手く掴めなかったんですよ。
先輩にいいように扱われと、凄く気が弱いかと思うと、ヤクザ相手でもちゃんと反論しと、負けん気の強い所も見せる。
犯されてプライドを踏みにじられ、震えていたかと思うと、人が違ったように妖艶な態度を取ったりもする。
肝が座ってるのか、ただ単に全てを諦めているのかー。
これ、キャラがブレてるのでは無いんですよ。
元々、聡というキャラ自体が、こういう危うい所を持つ不安定な人間なんですね。
聡の生い立ちや幼い頃の過酷な境遇が語られると、なるほどなぁと、この不安定さに納得がいって。
で、そんな聡が執着していたのが、唯一、自分と言う存在を真っ直ぐ見てくれた「ミチ兄」。
これ、面白いのが、ミチ兄が庇ってくれたとか、優しくしてくれたとかじゃ無い所なのです。
いや~、高月先生、いい意味で読者の期待を裏切ってくれるんですよね。
それでも、彼が自分と言う存在の為に心を動かしたと言う事実が、聡にとってはとても重要だったんだろうと。
まぁそんな感じで、「初恋再会もの」と言う言葉から想像するような、優しい関係では無い二人なのです。
再会してからも、互いの存在で互いを不幸にするみたいな。
何だろう・・・。
実はヤクザである健一の方が、ずっと「普通の幸せ」みたいなのに捕らわれてるんですよね。
一見、型にはまらない生き方をしてるように見えて。
だからこそ、健一にとっても特別な存在だった聡を、普通の社会に戻そうと突き放す。
このへんがですね、複雑な組同士の抗争(揉め事)なんかとも絡ませつつ、しっかり描写されていて、すごく読み応えがあると言いますか。
まぁスパッと言っちゃうと、彼は臆病なんだろうなぁと。
で、個人的に、一番面白かったのがここから。
一度は愛人として健一に飼われた聡ですが、臆病風を吹かせた彼から捨てられます。
すると、聡の取った行動ー。
えーと、まぁ、こういう一見大人しいタイプほど、実はとんでも無い行動に出たりするよねと。
内に秘めてるものが、苛烈だったりするよねと。
まぁ、その苛烈さに気付いていたからこそ、健一が普通の道に戻そうとしたんでしょうけど。
でも、もう遅かったよ!
完全に、手遅れだよ!!
って感じで。
う~ん・・・。
聡の愛し方って、もうめちゃくちゃ自分勝手なんですよね。
何と言っていいか分からないんですけど、ただ、だからこそ最強なんじゃ無いかと思うんですよ。
たとえ不幸になろうと、離れてはあげないと。
強いなぁ・・・。
健一より、よっぽど男前だよ!!
と、タイトルからは想像が付かないと思いますが、すごく深くて心を動かされる作品でした。
ついでに、エロもすっごい事になってました。
読者を選ぶとは思うんですけど、心を強く動かされる事は間違いないと思います。
作家買い。
高月さんの新刊は、高月さんらしい、と言っていいのかな、極道ものです。タイトルからエロエロな作品をイメージしていましたが、シリアス度高めの骨太な作品でした。
ネタバレ含んでいます。ご注意下さい。
主人公は大学生の聡。
奨学金を借り、バイトもこなす苦学生です。そんな彼ですが、ある日、借金の保証人になっていた大学の先輩が失踪しその借金を被ることに。
借金の額は50万だったはず。それが500万になっており、借金返済の為にヤクザに捕らえられ、媚薬を使われ、「仕込み」と称して組の若頭であり社長でもある健一に快楽を教え込まれー。
というお話し。
なんの咎もない聡が借金返済の為に容赦ない仕打ちを受けるシーンから始まっていて、正直に言うと、可哀想過ぎて挫折しそうになりつつ読み始めました。
騙され、借金のカタに売られる青年のお話。
よくある話だな、と思いつつ、ちょっと萎え萎えな気分だったのですが。
ヤクザの健一と、大学生の聡。
何の接点も無い、ように見える二人の壮絶な過去に、一気にストーリーに引き込まれました。
聡は、幼少期、実母から壮絶な虐待を受けていた子どもでした。
そんな聡が縋ったのが、神社でたまに会う「ミチ兄」。優しくしてくれるわけではない、むしろ機嫌が悪いと蹴られたりする。
が、壮絶な虐待をうけていた聡にとって、ミチ兄は聡の世界の全てだったんですね。
そして、そのミチ兄が、実は、という。
子どもだった時の聡。
そして、ミチ兄。
過酷な家庭環境の中で生きる彼らにとって(聡だけではなく、ミチ兄もまた過酷な家庭環境なのです)、お互いの存在だけが救いだった。そしてそれは、子ども時代だけではない。現在進行形で、彼らはお互いがお互いの光なんです。
そんな彼らの心境が、圧倒的な文章力でもって緻密に、そしてまざまざと描かれている。さすが高月さん、といった感じ。
設定としてはかなりシリアスです。
借金のカタに売られた青年。
その青年を、風俗で働かせる為に、あるいはビデオに出させて稼がせる為に、「仕込み」をするヤクザ。
なので、エロ度はかなり高いですし、痛い描写も多い。子どもに対する虐待の描写もあります。もしかしたら好みが分かれる作品かもです。
が、彼らの間に流れる愛情の深さに劇萌えしました。最後の最後まで、彼らが想いそして願うのは、相手の幸せだけなんです。
そんな二人に萌えつつ読破しましたが、脇を固めるサブキャラも非常に魅力的でした。
健一の腹心の部下である高橋さん。
彼がめっちゃカッコいいです。
健一の為だけに存在するナイスガイです。
彼がいなければ、このストーリーは成り立たないと言ってもいい。彼メインのスピンオフ作品を書いて欲しいと切望しています。
そして、Cielさんの描かれた挿絵も素晴らしかった。
健一を一身に想う聡のイラストがイメージ通り。そして、表紙を捲ってすぐの口絵が綺麗だし、でもとんでもなくエロいので、本屋さんでカバーをかけて貰う派の腐姐さま、ご注意ください。
シリアス、そしてエロ度高め。
なのに、この作品の根底に潜む純愛にKOされました。
正直タイトルに若干引いていましたが、とても面白く、かつ萌える作品でした。
先輩の借金のカタに『売られて』しまって、仕込みと称して自分を犯しているヤクザが、虐待され続けていた子どもの頃に淡い思慕の念を抱いた唯一の人だった……こう書くと、絵に描いた様な不憫受と裏稼業だけどある意味スパダリともいえるヤクザさんとの、ノアール感に満ち溢れた再会愛が書かれると思うじゃないですか。
いや、全然違った。
だって、クラスマックスがあれなんですよ?
私思うに、このお話は恋愛で爆発するお話なんじゃないと思うんですよ。
復讐の話だと思うんですね。
副題を付けるのであれば『子どもを馬鹿にするな』。
聡は、実母には虐待され、父親にはかばってもらえず、実母がなくなった後は父の再婚相手にいびりぬかれます。
何一つ、自分の思うとおりに出来ないまま生きて来た。
でも、聡はそれを恨んではいなかったと思うんです。
だって聡は彼らを自分とは関係ない人たちだと思っていたから。
関係を作りたかったたった一人の人と思わぬ形で再開して、その人も自分を愛しているはずなのに、彼は聡の意向を全く無視して、関係を切ろうとするんですね。聡のためと称して。
これ、聡の実母や父や義母とやっていることは本質的に一緒。
人間扱いしていないんですよね。
これに対して聡はある行動を行います。
それは塩垣を救うためだったんですけれども、抗議のための様にも見える。
今まで聡を好き勝手に扱ってきたすべての大人に対する復讐なんだと思うんです。
これがねー、実にスカッとしたんです。
それまではエロが淫靡だったり、暴対法で追い詰められていくヤクザの生活の閉塞感だったり、薄暗ーいイメージで進んで来るのに、このクライマックスの爽快さったらない!
いや、ひょっとしたらラスト直前までの薄暗さは、このクライマックスの爆発感をとんでもなく明るく感じさせる為の仕掛けなのかもしれない、と思ったりして。
表紙やあらすじと本当に印象が違うお話です。
とっても面白い。
やくざものという設定と作者さま買いで読みました。
どちらかといえば、エロさ重視を期待していましたが、読みごたえがあり、ストーリーとしても楽しめました。
ネタバレします。
男前で、性欲の強さを活かしたシノギで女衒業もこなしちゃう攻め様にぐずぐずにされる素人受けちゃん、という組み合わせは王道で他でも読んだ感があります。
が、本作品は堕ちてからの受けちゃんの反撃?粘り?羽化?がすごくて、後半までしっかり引き込まれました。
受けちゃん可愛さのあまり、かたぎの世界に戻そうとする攻め様が思いやり(弱気、逃げ腰、と受けちゃんは、言う)から受けちゃんをブロックする。その壁をものともせず身体一つで打ち破る受けちゃん。
しかも、攻め様のテクと情熱でちゃんと愛淫堕ちしてるから、しょっちゅう身体疼かせながらなところがかわゆい。
ずっと攻め様が好きで、攻め様との思い出を人生の慰めとしてきた受けちゃんの捨て身な行動はむしろ漢で、その行動力で、弱小団体である攻め様の会が長年悩まされてきたライバル団体との確執も一掃されてしまいます。(攻め様はそれを、受けちゃんの内面の悪いところと呼んで心配します。。)
攻め様には、その人望故に、『頭カシラのためなら死ねる』舎弟が何人かいて、中でも頭脳明晰でインテリやくざの見本かつキモの座った忠臣高橋ががっつり控えて、攻め様の日常生活全般を隅から隅までかいがいしく世話しているので、その攻め様にアマアマに愛される受けちゃんも、まるで宮廷の妃かという護られ(囲われ)かたをします。
しますが、凡人でない受けちゃんには、バイトする大学生としての人間関係があり、そこでトラブルに巻き込まれたりハラハラする際どさに晒されています。このトラブルで当初受けちゃんはやくざ世界との接点が出来てしまい、攻め様と偶然再会するのですが、この設定を終盤まで活かしているあたりも、ヒヤヒヤしながら読み進めてしまう『引き』になっていました。
受けちゃんをかたぎで生かせようと突き放す攻め様に、受けちゃんが全身でぶつかる前、考えて迷って自分の本心を掴むまでの葛藤が丁寧に辿られていて、後半になるにつれじっくりと読みました。
受けちゃんの生い立ちの哀しさとか、バイト先の知人達に見せる優しさとか、内にはらむ危うさや繊細さと捨て身な大胆さのギャップ、これらがとても魅力です。
それでいて何となくコメディータッチに仕上がっているのがまた良いです。
そしてcielさんの、線が細くてしっかりエロい挿絵が多目なのも良かった。
ざっくり言って、『極道の妻たち』シリーズの姐御さん方のような魅力がありました。
『仕込み』をはじめエロはしっかりありますが、モブ姦や身体を傷つける描写はないので、痛いの苦手な方にもオススメです。
高月さんの刑事シリーズが大好きで、他作品を求めてこちらを読みました。
ネコに身体をつくりかえられて持て余す受け、自分が仕込んだ癖に淫乱を責め・でも隠れ純な攻め、受は攻めしか知らないのに攻めは他の奴と…という嫉妬、が良かったです!ベッドシーンの台詞が乱暴目なのに甘いってのが好みでした。
初恋の彼だと知ってからの聡がグイグイ過ぎで、車のドアを開けたのに席を動こうとしない健一の膝に乗るのが可愛い(笑)
健一も自分の感情に慣れないような愛の言葉を発したり、帰宅してすぐ聡を強引に夢中に求める感じも滾りました〜
偶然過ぎる再会や、健一(ミチ兄)が毎回聡を突き飛ばす…ってのはちょっとモヤモヤしました。最後の全裸はギャグだし…
それに側近の高橋がボスの身の回り(食事も)世話し過ぎで、聡と健一の仲を取り持つ便利や過ぎで白けていたのですが、聡との会話で
「できれば、本当のことが聞きたいんだけど……、俺って、何人目?」
「ちょっと待って。質問がざっくりし過ぎてる。答えを間違えそうだ」
という返答が、聡への配慮と即座な状況判断が盛り込まれてて頭良さそうで好きでした。こういう切り返し出来る様になりたい!(笑)
挿絵も美麗で眼福でした!
タイトルとあらすじで想像していたのよりもずっと深く、暗く、造りこまれた作品でした。
登場人物のほぼ全員に精神的余裕がないです。
色々なご事情を抱えているせいです。
どんな事情か、というのもそれぞれそんなに単純な話じゃない。
虐待、裏切り、人身売買、裏稼業うんぬんかんぬん。
匂わせ程度じゃなくて、割と真正面から描いてくるので想像以上に壮絶です。
となると当然ストーリーは重厚で、するするっとはいきません。
ストーリーの一部としての濃厚エロであり、エロがないと重厚ストーリーが成り立たないという構成ですので、頭空っぽにしていると置いて行かれて何が何だか分からなくなります。そのせいかページ数に比して感じるボリュームがすごいですね。
ヤクザのオラオラ攻もいいですが、この本の見所は受の覚醒シーンです。
最初は普通そうに見えましたが、どんどんエキセントリックな片鱗をのぞかせるようになり、最後に弾けます。
あの振り切り具合を楽しむために前半はあるのかなと思えるほど。
ただ、闇落ち感があるので、読後は爽やかとはいいがたいです。
粘度、湿度高めなアウトロー愛。
万人受けじゃないと思いますが、こういう世界観をBLで表現できるのはすごいことだと思います。
大学生の聡。真面目で優しい。
バイト先の同僚に頼まれて保証人になっただと?!
アホちゃうか!(まぁ王道w)
そこからヤクザに拉致られ、強姦されて輪姦されて、売り飛ばされる…はずが、味見をした若頭がそのまま囲ってしまう、という王道。のハズが、どうもそれだけじゃなく深い話に。
実は二人は聡が幼い頃に出会っていて、危ういバランスで成り立っていた関係が、事件によって終焉を迎える、という過去があったんですよね。
個人的には、終始、聡があまり受け入れられないタイプで、弱いのに実は強気で向こう見ず。いやぁ、そんな強気なら最初に山本さんの保証人になんかなるなよ〜と思ってしまうのでした。
ま、聡の強気は健一ありき、なのかも知れませんけど。逆に健一はヤクザで若頭なのに、実はなりきれない、というか根本は非道じゃないんですよね。
「仁義なき嫁」の岩下周平にはなれない。色事師の師匠だったんですね。
ただ、聡が健一に仕込まれてエロに目覚めてしまった訳ですが、二人のイチャはエロくてごちそうさまです(笑)
聡がもうね、疑いなく素直にエロに邁進しちゃってるのを読んでると、純真な聡を開発しちゃった色事師の健一、なんですけど、実際に破天荒?なのは聡の方だったりするわけで。その辺りの萌が私には響かんかったなぁというところです。