アヴァロンの東 ~奇跡の泉・金~

Avalon no higashi

アヴァロンの東 ~奇跡の泉・金~
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神55
  • 萌×222
  • 萌7
  • 中立5
  • しゅみじゃない13

--

レビュー数
12
得点
389
評価数
102
平均
4 / 5
神率
53.9%
著者
尾上与一 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
央川みはら 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
価格
¥889(税抜)  
ISBN
9784773089745

あらすじ

尾上与一先生新シリーズ、奇跡の泉シリーズ始動――! 2冊同時発売。

生きろ。いつか必ずまた会える

教会生まれの美貌の修道騎士・ヨシュカと、赤獅子王と呼ばれる騎士・イグナーツは、
永遠の絆を誓いあった恋人同士。しかし王家の分裂により、敵味方に引き裂かれることに。
逢瀬を重ねてきたが、ついに和平の兆しが見えてきた。
二人は戦いが終わったら、恋人たちだけが行けると謳われる憧れの地へ、
一緒に旅立つことを約束するが、和平が失敗し…!?
泉を舞台に紡がれる、愛と奇跡の物語。シリーズ第一弾!

表題作アヴァロンの東 ~奇跡の泉・金~

赤獅子王と呼ばれる騎士
教会生まれの美貌の修道騎士

レビュー投稿数12

とても壮大です。そして愛です。めちゃくちゃ感動です。

初読み作家さんになります。
ずっと気になってる作家さんだったのですが、個人的な地雷要素のある作品ばかりだったので、これまで避けて来たんですよね。
が、今回はガッツリどストライクの設定!!

で、初読みの感想ですが、めちゃくちゃ面白い!
とにかく、めちゃくちゃ面白い!!
読み始めたら止まらなくて、もう一気に読了です。

あのですね、とても切ないし痛い作品なんですよ。
どうしようもない大きな流れによって、引き裂かれる恋人達ー。
切ない。
めちゃくちゃ切ないのです。
が、そんな中でも、ただただ相手を信じ、ひたすら一途に想い続ける二人。
また、セリフが泣かせてくれて「生きろ。いつか必ずまた会える」みたいな。
途中で何回もボロボロ泣いてしまいましたが、ラストではもう号泣。
良かった!
二人が幸せになって、本当に良かった・・・!!みたいな。
と、とても感動的で、壮大な愛の物語だと思います。
痛い系が苦手でなければ、ぜひ!!


内容ですが、王家筋の騎士・イグナーツ×協会生まれの修道騎士・ヨシュカによる、奇跡の泉「ルドヴィカの泉」をテーマとした戦争もので純愛ものです。

共に騎士となる為の修行に励み、永遠の絆を誓いあったイグナーツとヨシュカ。
王家の分裂により敵と味方に分かれた彼等は、いつか必ずまた会える日を信じ、それぞれ戦いの中、生き続けます。
そして5年後ー。
ついに和平の兆しが見えはじめ、密かに逢瀬を続けていた彼等は、この戦が終わったら二人で旅に出る約束を交わします。
しかし、和平は失敗しー・・・と言うものです。

まずこちら、序盤が密かに忍び会う二人。
その後、過去に戻って二人の出会いから丁寧に語られます。

「聖ルドヴィカの泉の奇跡」を起こすハイメロート家に生まれたヨシュカ。
そして、王家の血を継ぎ、騎士となる事が決まっているイグナーツ。
騎士となる為の修行をしながら、共に切磋琢磨して育つんですね。
で、二人は自然と恋仲となり、「盾兄弟」の契りを交わした・・・。
甘酸っぱく、楽しい日々が語られ、読者も一時の安らぎを感じられるのではないでしょうか。

が、そこから急転直下。
王家が分裂し、それぞれの立場から二人は敵味方に分かれて戦う事に。
更に、和平が失敗し、捕まったヨシュカは首を落とされ・・・と続きます。

えーと、これ、切な過ぎるんですよ。
敵味方となりつつも、戦場で感じられる互いのかすかな気配に心を寄せ、息をひそめるようにして想いあう二人ー。
そして、怪我をして逃げ延びた小さな塔での、思いがけない再会。
互いに抱き合い、「一緒に旅をする」と言う、ささやか過ぎる夢を語りあう二人が切なくて切なくて(TдT)
そして、そんなささやか過ぎる夢さえ叶えられず、イグナーツの前で首を落とされるヨシュカ。
もう、ダーっと号泣しちゃって。
こんなのって無いよ!
酷すぎるよ!!と。

で、ここで登場するのが奇跡の泉。
本シリーズのテーマになります。
元々、この泉ですが、ヨシュカの一族が維持管理して、癒しの泉として尊ばれてきたんですね。
しかし、この戦争により泉は荒れ果て、そこに魔女が棲みついた。

ヨシュカの遺体を泉に運び込んだイグナーツは、彼を生き返らせる為に、魔女とある取り引きをし・・・と続きます。

生き返ったヨシュカに起こる、とある出来事。
そして、ますます激しくなる、王家の戦争。
二人は果たして、約束の地に共に旅立てるのかー?
って、所でしょうか。

あのですね、ここからのスレ違いがこれまた切ない上に、更に二人を襲う、過酷な運命に泣かされます。
ヨシュカの為に、全てを犠牲にしようとするイグナーツ。
そして、迷い、真実が分からなくなるヨシュカ。
しつこいですが、切ないのです。
切ないのですが、だからこそ、ラストで涙腺崩壊と言うか。

迷った末に、ヨシュカの出す結論にも、最後の最後まで、自分の全てでヨシュカの幸せを願うイグナーツにも、もう涙が止まらなくて・・・(TдT)

良かったよ~。
二人が幸せになって、本当に良かったよ~!(TдT)
と、完全にお話に入り込んで、泣き笑いしちゃう感じでしょうか。
いやもう、壮大ですよ。
そして、愛ですよ。
めちゃくちゃ感動ですよ!!

と、すごく心を打たれたお話でした。

23

魂が震えた

尾上さんと言えば『1945シリーズ』があまりにも有名ですが、その尾上さんが描く新シリーズ、という事で発売を楽しみに待っていました。

『アヴァロンの東~奇跡の泉・金~』と『ルドヴィカの騎士~奇跡の泉・銀~』の2冊が同時発売になりましたが、尾上さんのツイッターによると「金」から読むのがお勧めのようです。という事で、こちらから読んでみました。

なんて言えばいいんだろう。
大げさな言い方かもしれないけれど、魂が震えた。

何を犠牲にしても相手を守りたい。
そんな愛情の深さに。

という事でレビューを。





明確な記述はありませんが、中世ヨーロッパのような世界観のお話です。
騎士の家の子どもたちは騎士になるべく、厳しい訓練に耐える。
そして、「神の教え」を忠実に守ることが良しとされる世界。

主人公は王族出身の騎士・イグナーツ。
彼もまた、10歳になると同時に従騎士となり城に上がった。厳しい戒律、そして訓練。
それに耐えつつ、日々優秀な騎士になるべく訓練に励む。

そんな彼に、同期となる騎士見習いがやってくる。
楽しみに待っていた彼の目に飛び込んできたのは、天使のように美しい少年・ヨシュカ。ヨシュカは司祭の次男。

イグナーツは王族だが、現在は教会出身者のほうが身分が高い。ヨシュカは身分が高いうえに美しい。そして知識も、剣術も高度なものを持っている。
この国では奇跡を起こすことが出来る家系がある。それが、ヨシュカの家。「聖ルドヴィカの泉の奇跡」を起こすことが出来る稀有な存在でもある。

そんなヨシュカの最も近しい人物として常に傍にい続けたイグナーツだが、二人は恋仲に。

が、神の教えの戒律が厳しいこの国において、身体の接触は神の教えに背くもの。

それをクリアにし、彼らは身も心も結ばれる。
が、次期国王の座を巡りクーデターが起きたことで、二人は敵対する立場となり―。

というお話。

尾上さんらしい、と言って良いのか、ややシリアスな展開。
二人の間に流れる愛情は本物。けれど、時代のうねりが二人を引き裂き―。

と、若干『1945シリーズ』を彷彿とさせる展開で物語は始まります。

が、この作品は、愛する二人が引き裂かれた、という話ではない。
そこから怒涛の展開を見せるのです。

国を巻き込んだクーデターも、和解する向きに。
が、その和解交渉が決裂してしまう。

そのさなかに起きた混乱の中で、



ネタバレ注意!!


**********************************************************






ヨシュカが惨殺されてしまいます。

遺体となってなお首を切り落とされたヨシュカ。
そして、そんなヨシュカを見つけたイグナーツの悲痛な想い。

ヨシュカを生き返らせるためにイグナーツが取った行動は―。

イグナーツの、自分を犠牲にしてもヨシュカを生き返らせたい。
そんな愛情に、思わず落涙しました。

この作品の素晴らしいところは、ストーリー展開もですが、要所要所で撒かれた伏線がとにかく秀逸です。時系列が前後しつつ進むストーリーなのですが、この時系列の配置の仕方も素晴らしい。

時系列を前後させることで、なお一層、彼らの間に生まれた感情だったり、愛情だったり、そういうものの魅せ方がお上手なんです。

神の教えを守ることを良しとする風習。
ヨシュカが奇跡を起こせる人物であること。
そして、イグナーツを唆す魔女の存在。

複雑に絡み合ったバックボーンの、どれ一つとっても無駄がなく、無理もなく、そして相乗効果でもってストーリーに重みを与えている。

首を切り落とされる、とか、かなり残酷な描写があるので、苦手な方は注意が必要かもです。

かくいう私もそういう描写は苦手なのでちょっと萎え萎えとなりながら読み進めました。
が、二人の深い愛情に、とにかく萌えるんです。

記憶をなくしても。
酷いことをされても。
それでも相手を想う。何度でも、恋をする。

とにかく素晴らしい作品でした。
文句なく、神評価です。

ところで、ヨシュカのお兄ちゃん(司祭となるべく教育を受けているナイスガイ)も素敵です。
そのお兄ちゃんのお話が、同時発売された『ルドヴィカの騎士~奇跡の泉・銀~』で描かれています。

2冊まとめて購入されることをお勧めします。

12

ぜひ金銀併せて読んで!

金銀併せての評価です。

待望の尾上与一先生の新作です。
初のファンタジー、舞台も中世ヨーロッパ風でそのあたりが好きな人にも刺さるかと。
1945シリーズで、藤十郎&伊魚の彗星ペア好きなら読んで正解です!

奇跡の泉シリーズで2冊同時発売ですが、執筆順の金→銀で読むのが良いそうです。

言わずもがなですが、とにかく世界観がしっかりしてるので一気に惹きこまれました。

個人的には銀のお話とキャラ(マティアス様推し!)の方がより好みです。
銀を読んでまた金を読むと、「あ~この時のこれはこういうことか・・・」と更に楽しめます。

そして、「盾兄弟」というパワーワード!!!
たまりません。

ぜひ金だけでなく銀も読んで下さい!

また、尾上先生のHPにSSが掲載されています。
ドキドキすること請け合いですので、読後にぜひ!
(「アヴァロンの東」だけで読めます!)
■「アヴァロンの東」SS「月が満ちるとき」
http://ogami41.net/?p=1827

6

愛は信じること

尾上さんの作品もファンタジー作品も初めてでした。

シェーンハイト王国の美しい風景、手に汗握る合戦シーン、引き裂かれた恋人たちの束の間の甘い交わり。ファンタジーならではのエピソードにドキドキしました。

中でも私の心に一番響き、これが物語の主題ではと感じたのが、魔女と対峙したときのヨシュカの「愛を信じる」という言葉でした。
イグナーツの愛を信じ、自分のイグナーツへの愛を信じる。例え全てを忘れても何度でも愛し直すと、魔女の揺さぶりを退けるヨシュカの強い決意に心を打たれます。魔女の呪いとは、愛を疑う心だったのかもしれません。
ストラス王に弟・アゴルトを“信じる心”があったなら、二人は兄弟愛で結ばれ、イグナーツとヨシュカが引き裂かれることも多くの兵士の命が失われることもなかったでしょう。ストラス王の病んだ心をルドヴィカの泉が癒すことはできなかったのでしょうか。毎日泉の水を飲ませてみればよかったのに。でも恨みに囚われ泉の奇跡を信じなかった王には、きっとその恵は届かなかったでしょうね。
恋人も兄弟も、そして隣人も。愛は信じることだと、物語が語りかけている気がします。

イグナーツがヨシュカを陵辱する場面は、ヨシュカを愛するイグナーツらしくなく冷たく見えるのですが、ヨシュカを守るためには心を折るしかなかったのだろうと思います。ヨシュカのためなら自分の名誉も命も惜しまないイグナーツ。魔女との約束で真実を告げられない苦しさとヨシュカの愛を失いそうな絶望が滲んでいるようにも感じられて、切なかったです。挿絵のイグナーツの表情がもっと悲しげならよかったのにと思いました。(ちょっと悪人面に見えてしまうのです。)

後日談「されどそれも佳き日」がユーモアにあふれていて、良かったです。
イグナーツとヨシュカが憧れた“アヴァロンの東”が、故郷の騎士道が通じないのんびりしたところだったというのが、なんとも可笑しく、シリアスな表題作の後にこの話を持ってきた作者様のお茶目さを感じました。
名誉や立派な甲冑がなくても、愛する人がいるところに幸せがあるのだと、温かな気持ちにさせてくれました。

5

読んで世界に浸ってほしい

デビュー作の「二月病」以来、お互いを唯一無二として求め合うBLの根本的な関係性を書き続けて下さる作家さんだと思います。
「アヴァロンの東」もまた、生死を賭けたギリギリの設定が、しかしこじつけではなく豊かで美しく、「凄いものを読んだー!」という骨太な満足感を与えてくれる稀有な物語でした。
本当に多くの方に読んで頂きたいです!

2

命がけの恋

命がけの危機が来た時、奇跡の泉で瀕死から助かるんだろうな・・・と、ぼんやり考えて読み始めていたら、とんでもない!そんなに甘くはなかったです!

尾上先生のお話は、生と死の狭間で、どちらに転ぶかわからない。そのギリギリのところを、どう生きていくか。ヨシュカがせっかく助かったのに、どう考えても裏切りそうなアヒムにジリジリと心が削られる感じでした。普通のBLに無いような緊張感がいいです。

そして口の悪さが戻ったヨシュカに「ああ・・・俺のヨシュカだ」というイグナーツが好きです

0

聖ルドヴィカの泉の奇跡の物語(金) イグナーツとヨシュカ編

尾上与一先生・奇跡の泉シリーズ、死者を復活させる《聖ルドヴィカの泉の奇跡》の「金」は、イグナーツとヨシュカ編。「銀」は、ヨシュカの兄編。
・・幼いヨシュカが登場する「銀」を先に読むべきだった

ルドヴィカは架空の地名。
泉で「蘇りの魔法」を行い、死んだ恋人を互いに蘇らせて、戦いから離れて旅に出るという流れ。
敵対しても、死別しても、互いを離さない、二人が貫く愛は凄みと迫力あります。
乱世に生まれた二人の悲恋の苦しみの描写が続いて、ハッピーエンドは、旅立ちの描写1行だけ。
じっと辛抱して悶えたい人向けの小説です。

二人は、戦闘から離脱して、アヴァロンの東へ向かう。
アヴァロンの東に行った後の二人についての小冊子が非売品なので、読了した人のネタバレがありがたいです。
★コミコミスタジオ2冊セット購入特典小冊子「風の噂に伝え聞くには」

金を読了。これから銀を読みます。
---
調べもの:
ルドヴィカ:
「福者ルドヴィカ・アルベルトーニ」  (en:Beata Ludovica Albertoni』(1671年 - 1674年)
貧者に対する献身で人々に福者として崇められた、奇跡を起こし、空中浮揚や恍惚を体験した女性苦行者。

「アヴァロン」:(Avalon、またはアヴァロン島)
ブリテン島にあるとされる伝説の島。 アーサー王物語の舞台。
アヴァロンは美しいリンゴで名高い楽園、ケルト語でリンゴの「abal」に由来する「恵みの島(Isle of the Blessed)」

フレイヤ:(Freja, Freyja)
北欧神話の女神、美、愛欲、豊穣、魔法、戦闘、死を司る女神。

修道騎士:
中世のローマ・カトリックの修道会の修道騎士団のこと?
正式名称は「キリストとソロモン神殿の貧しき戦友たち(ラテン語: Pauperes commilitones Christi Templique Solomonici)」で日本語で「神殿騎士団」
・・それでなければ、多分、この物語のオリジナル。

0

二人だけの美しい形

銀を先に読みまして、金は表紙からして雰囲気が不穏なので読むのをためらっておりました。
ただ、銀を読むとどうしても金のCPが気になって仕方なくて思い切って読みました。
結果、読んで正解でした。というか金銀合わせて読むべきです。

ーーーーーーー感想とネタバレーーーーーーー

攻めのイグナーツはヨシュカを溺愛しています。彼の目を通したヨシュカの姿はとても美しく、もちろんヨシュカそのものが美しいのですが、それ以上に美しく描かれています。
物語の序盤でヨシュカを失い、自分の魂をかけて蘇らせたイグナーツ。自分の傍にいなかったために...という後悔に苛まれて、ヨシュカを性で縛ろうとしてしまいます。
一度失ったからこそ、次は失わないようにとした行動がとても辛かったです。
エロティックなんですが切なくて、堪りませんでした。

受けのヨシュカは中盤で記憶を失ったまま、周りの言葉に翻弄されていきます。
あれだけ愛し合っていたイグナーツのことも信じられなくなっていて悪者扱い。
記憶を失って周りの意識操作があったから、というのは分かってはいるものの、イグナーツの心の内を思うとちょっと憎く思ってしまいました。

終わりとしては綺麗に清算して終了という形ではないので、そこが少しもやっとしてしまいます。
でも境遇が変わっても傍にいる二人がとても好きでした。

2

天使みたいな容貌の受けに萌え

しばらくちるちるランキング上位の作品だったので銀の方とまとめて購入。中世ヨーロッパの騎士みたいな世界観のファンタジーに魔法要素も詰め込んだ話です。

なのでRPGの名作、ドラ◯エの雰囲気もあります。耽美なBLドラ◯エ。勇者が姫と結ばれるエンディングでなく騎士同士で結ばれる…そんなゲームやってみたいわ!勇者が出てくるのは下巻の銀の方ですが、美しいけど強くて凛々しい受けの方が好みなので私はこの金の方が好き。金髪ロン毛の似合う天使みたいな人です。

奇跡のイベントもゲームっぽい気がしないでもないけど若干グロいので要注意です。あと萌える設定が他の方もおっしゃってるように盾兄弟制度。体の関係込みです。日本の衆道文化の義兄弟の契りを結ぶ、みたいな感じです。一度敵味方に別れてしまうのでロミジュリ要素もあります。

0

とても微妙で複雑な気持ちです

『命のやりとりをする場でバディを組む2人の強い愛情』が好きな方にはたまらないお話。『1945シリーズ』がお好きだった方は、きっと大きく心を動かされると思います。

……えっと、ちょっと突き放した書き方になっちゃっていますよね(笑)。
個人的には複雑な読後感なのですよ。
ものすごく「うわっ!これ!」と心を揺り動かされた部分と「?それ、ちょっと酷くない?」となってしまった部分がありまして。
前者の部分は『神!』だったのですが、後者の部分は『中立』~下手をすれば『しゅみじゃない』だったんですね。
心を揺り動かされた部分の圧倒的な筆力にグラッと来たので、全体評価は『萌』をつけますが、でもこの気持ちを正確に書くと「とっても微妙で複雑です」としか言えません。
以下、感想を書くため激しくネタバレしますのでブランクを取ります。













表紙絵から察していただけると思いますが王国の騎士の物語です。
幼い頃から一緒に騎士になるために親元を離れて研鑽してきたイグナーツとヨシュカは『盾兄弟』という『騎士として全てを分かち合う関係』を結ぶほど信頼し合い、同時に愛し合っています。
この2人が王位を巡った争いで敵味方に分かれてしまうのです。
戦争で疲弊した両陣営は、どちらのメンツも傷つかないように茶番としての戦闘を行なった後、和平を結ぶはずだったのですが、これが失敗。
この戦闘でヨシュカは無法者の傭兵達に斬首されてしまいます。
イグナーツは、あらゆる傷を治癒するという『奇跡の泉』と自らの血、そして魔女との契約によって、ヨシュカの命を救うのですが、復活したヨシュカはイグナーツのことも含めて記憶を失っていました。

私が「うおおおおお!」となったのは、この『斬首からヨシュカが目を醒ますまで』の部分なんです。
ここの、次から次へと来るたたみかけが凄い。
『息を止めて読む』っていう感じなんです。
この部分には平伏いたしました。

その後、イグナーツはヨシュカを自国の騎士だと言いくるめ、自分の家にかくまいます。
魔女との契約でヨシュカに、本当のことを言えないのです。
だけど、体が回復してくると、ヨシュカは騎士としての働きをしたい。
嘘に嘘を重ねて、顔を隠して戦場に出たヨシュカは、イグナーツとの仲を良く思わないアヒムというイグナーツの従騎士の策謀に乗せられて、戦いの途中で顔を晒してしまいます。
本来であれば味方の軍と闘っていることがばれちゃうんですね。
これ、裏切りとなって、処罰(処刑?)の対照になってしまいます。
咄嗟の所でヨシュカを攫ったイグナーツに彼は監禁されます。

私がダメだったのはここからなんですよ。
イグナーツは性的な拷問をすることでヨシュカを屈服させ、監禁するんです。
「ただ生きていればいい」という想いなんですけど。

うーん……イグナーツって、ヨシュカの高潔な魂を愛していたはずだったんじゃなかったのかな?
どんなに変わり果てても愛する人には生きていて欲しいと思う気持ちは解ります。でも、本人が最も大切にしていた『自分の芯の部分』を力によって屈服させてしまうのはどうなんだろう?それもその人が、全くもって「訳が解りません」状態のままで。
やっぱり「自分の人生は自分で決めたい」ってヨシュカなら思うのでは?
少なくとも「私だったら嫌だな」と激しく思っちゃったんですよね。

「事情があって何も言えないけれど、自分を信じてくれ」
私はここの部分で、イグナーツにこう言って欲しかったなぁ……

14

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