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零児と緋沙子の姉弟を取り巻く運命が印象的な巻でした。青道会に翻弄され続けた2人。組同士の抗争に選択権のない子供が巻き込まれるのは本当に切ないですが、どんな子供も生まれる家は選べないし、大なり小なり運命を背負っているもの。この家に生まれたことを割り切って、自分なりに納得のいく生き方を勝ち取って欲しいと願わずにはいられません。緋沙子の考え方にも十分共感できるところがあり、BLでありながら1人の女性に…
零児視点で進んでいきます。正継と一体どんな関係性を築いてきたのか?と気になっていたので、今に繋がる2人の過去が徐々に明らかになってきてすっきり。零児もまた、かなり幼い頃に親を失っているんですね。今の彼は少し歪んだ性格になってしまっているのかなと思いましたが、案外中身は少年の頃のまま変わっていないのかも。
青道会に吸収されてから出会った龍との関係も、零児の人生に深く昏い影響を与えているよう…
王の元に連れられたユキ。このまま王に飼われるのかと思いましたが、王の要求はもっと悪質でしたね。ユキには玩具として自分の息をかけつつ、兵藤に探りを入れさせる。ジュンのこともあり自分のことだけを考えて動くことができないユキは、常に選択肢が限られているのが悲しい。それでも、ユキにとってジュンは負担ではなく希望なんでしょうね。王の支配下に置かれていても、ユキは兵藤の温かさに落ち着きを感じるようです。テツ…
1巻よりも殺伐とした裏社会の雰囲気は濃かったですね。どうしようもないジュンの父に、ユキがケリをつける巻でもあります。ユキの過去は想像していた通りでしたが、過去も現在もただ搾取されるだけの無力な子供に甘んじず、実際に行動を起こすところは男気があるなぁと惚れ惚れしました。あんなことをされていたら、思考も意思も奪われて、抜け殻になるのが普通。母親や弟という守りたい存在があったからこそできたことなのかも…
1巻では濡れ場もなくBL要素はまだ控えめですが、ストーリー構成とキャラクター設定で冒頭からがっつり心を掴んでくれました。裏社会が絡む物語なのでかなり殺伐としているんじゃ、と想像していましたが、実際は九號先生のすっきりとしたタッチ、無駄が削ぎ落とされた台詞やモノローグ、どこか愛嬌の感じられるキャラクターの表情などが相俟って、思ったよりも読みやすかった印象です。異父弟であるジュンを守ろうと奔走するユ…