碧雲
奏真、隼人、昇、3人の心情を最後まで丁寧に描ききっていて、大満足な最終巻でした。隼人を恨んでいる、憎んでいると言った昇。実際に隼人に会っても、許すとか仕方なかったとは言ってはくれない。けれど、彼も当時告白した時、隼人が親友との関係が変わってしまうことに動揺し、葛藤したこと、その結果親友を失ったことを後悔していることはちゃんと理解していて、自分の告白が隼人に背負わなくてもいいものを背負わせたことへ…
隼人の昇との回想が微笑ましくもあり、辛くもありました。あんなに普通に和気藹々と親友として過ごしていたからこそ、昇のたった一言の告白で、すべてが崩れ去ってしまったのが余計に辛いですね。優しく、どんなことでも受け入れてくれそうだから、と隼人を信頼して告白した昇も、夢にも思わなかったその告白を聞き、彼と今まで通りの親友を続けたいがために、それを冗談として流そうと周りに言いふらしてしまった隼人も、私はど…
男を好きになった、男に好きになられたことで、それぞれ別のトラウマを抱える者同士のストーリー。とても繊細な作品でした。奏真のようなキャラは多いけれど、隼人のように、ゲイの友人への向き合い方を失敗した側のその後が描かれることって少ないですよね。隼人は友人の悪口を言ったわけではなく、ただ自分1人では受け止めきれずに事実としてぽろっと他人に話してしまっただけだろうけど、それが友人を追い込んでしまった。悪…