尾上与一さんのレビュー一覧

初恋をやりなおすにあたって 小説

尾上与一  木下けい子 

読み終えた後は、タイトルまで感慨深いものがあります

繊細な心情描写と深いストーリー性で読ませてくれる、初恋再会ものになります。

こちら、序盤の印象ですが、ちょっぴりほろ苦くて甘くて優しい、初恋成就ものでしか無かったんですよね。
萌えるけど、定番だよなぁと。
が、読み進めると、その深いストーリー性に唸らされる事となる。
こう、思いがけない真実に、かなり切ない思いをさせられると言うか。
面倒くさい受けだなぁと思ってたら、彼の背負っていたも…

21

さよならトロイメライ 小説

尾上与一  笠井あゆみ 

悲しくも美しき大正浪漫

貿易商を営む宗方家に執事見習いとして入った弓削は、執事修行に励む中、宗方家の嫡男・鉄真に惹かれていく。鉄真もまた弓削の勤勉さや生真面目さを愛おしく思い、二人は淡い初恋を大切に育てていた。いつか灯台を建てる鉄真を傍で見守る事を心の支えにして精進していた弓削だったが、ある日宗方家の現当主である鉄真の父に身体を暴かれてしまう。

 阿片に毒されていた鉄真の父に諫言は通じず、他の使用人も見て見ぬふりを…

7

天球儀の海 小説

尾上与一   

星をテーマにした美しく悲しいお話

瑠璃色のとんぼ玉。鏡写しのオリオン。
 傷ついたルリビタキ。透明なインク。

 これらを鍵にしながら、物語は進んでいきます。

 尾上先生の1945シリーズの1作目で、太平洋戦争時代を生きた人達の物語。シリーズの中でもこの作品は少し異色で、日本を舞台に物語が進んでいきます。痛くて、苦しくて、切ないけれど、とても美しいお話。私はシリーズの中でこれが一番好きです。

 舞台は昭和19年で…

2

碧のかたみ 小説

尾上与一   

夢をあきらめる悲しみが胸に迫ります

第二次世界大戦中のラバウル。二人乗りの航空機でペアを組んだ、六郎と恒の青春の日々を描いています。
飛行機をこよなく愛するやんちゃな天才操縦士・恒と、温かくおおらかに恒を支える六郎は、飛行を重ねるたびに信頼を深め、やがて身も心も結ばれていきます。死と隣り合わせの中、命を分け合うように一つになりたいと願う二人に、頷きながら読みました。紺碧の空で命を懸けることに心満たされる若者らしさも、眩しく感じまし…

4

天球儀の海 小説

尾上与一   

星空のように果てしなく深い愛

奇跡の泉シリーズで、尾上さんの描く命がけの愛に強く惹かれるものがありました。
そこで1945シリーズも思い切って読んでみました。年代から死に別れを連想してしまい、なかなか手を出せずにいました。
読んでよかったと思いました。別れの切なさを越えた、星空のように果てしなく深い愛が描かれていました。

日本の敗戦がささやかれ始めた頃、希は、名家の跡取りで海軍中尉の資紀の身代わりとなり、特攻に行くこ…

0

アヴァロンの東 ~奇跡の泉・金~ 小説

尾上与一  央川みはら 

天使みたいな容貌の受けに萌え

しばらくちるちるランキング上位の作品だったので銀の方とまとめて購入。中世ヨーロッパの騎士みたいな世界観のファンタジーに魔法要素も詰め込んだ話です。

なのでRPGの名作、ドラ◯エの雰囲気もあります。耽美なBLドラ◯エ。勇者が姫と結ばれるエンディングでなく騎士同士で結ばれる…そんなゲームやってみたいわ!勇者が出てくるのは下巻の銀の方ですが、美しいけど強くて凛々しい受けの方が好みなので私はこの金の…

0

『アヴァロンの東~奇跡の泉・金~』『ルドヴィカの騎士~奇跡の泉・銀~』コミコミスタジオ2冊セット購入特典小冊子「風の噂に伝え聞くには」 グッズ

しつこい吟遊詩人のおかげで

小冊子は二段組で7ページ。文字のサイズが小さいので、文庫なら20ページくらいでしょうか。とても豪華な特典です。

イグナーツとヨシュカがアヴァロンの東にやってきて三度目の夏。
田舎暮らしにすっかり慣れたものの、都会の文化に触れることのない寂しさも感じていたある日。シェーンハイトの隣国から来たという派手な衣装の吟遊詩人がやってきて、一曲披露したいとしつこく縋ります。
歌は下手で、わけの分から…

1

ルドヴィカの騎士 ~奇跡の泉・銀~ 小説

尾上与一  央川みはら 

二人は比翼の鳥

体は弱いけれど類まれなる司祭の才能に恵まれたマティアス。
マティアスとの運命的な出会いにより、たくましく実直な騎士となったレーヴェ。
二人が教会の禁忌と魔女の策略を乗り越え結ばれ、やがて世界を救っていく壮大でロマンティックな物語。
リアル感のあるBLが好きで、これまでファンタジーはほとんど読まなかったのですが、本作品にはすごく入り込みました。熱く伝わってくるものがあるのです。

一番心に…

7

アヴァロンの東 ~奇跡の泉・金~ 小説

尾上与一  央川みはら 

二人だけの美しい形

銀を先に読みまして、金は表紙からして雰囲気が不穏なので読むのをためらっておりました。
ただ、銀を読むとどうしても金のCPが気になって仕方なくて思い切って読みました。
結果、読んで正解でした。というか金銀合わせて読むべきです。

ーーーーーーー感想とネタバレーーーーーーー

攻めのイグナーツはヨシュカを溺愛しています。彼の目を通したヨシュカの姿はとても美しく、もちろんヨシュカそのものが美…

2

ルドヴィカの騎士 ~奇跡の泉・銀~ 小説

尾上与一  央川みはら 

奇跡っ(ハート)な一冊

帯にある「おかえり、わたしの騎士」
この言葉にキュンっときたら読んで下さい!

作者さん曰く執筆順の「アヴァロンの東」から読む方がいいですが、私の読後感としては、もしも苦手描写や不安要素を感じてる方はこちらの「ルドヴィカの騎士」から読むと入りやすいかもです。
同じ出来事をそれぞれの視点で語っているのですが、こちらの方がマイルドなので。
ただ、金銀は対になってるので、どちらも読むことで両視…

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