よくある設定ですが、絵がきれいなのと、義弟の執着と気持ちの重さを表す言動の数々がなかなか強烈で、情緒不安定でぐちゃぐちゃ悩みがちな義兄と、対比、関係が引き立ちます。
義兄のうじうじとごまかし方が最悪、面倒くさい地雷女のような言動の数々が読んでいて苦しいです。
義弟は割とわかりやすい執着と追っかけと発散の仕方をしています。
1冊読んで一番、強烈で怖かった台詞が、ケーキおいしかった、でした。
初めて義兄を抱いた夜に、義兄が買ってきてゴミ箱に捨てたケーキを食べた、というエピソードに狂気の執着を感じました。
義兄の高校時代の訳あり友人?が突然あらわれて、暴言吐くだけ吐いて去って行ったことで義兄がさらに迷走、親からの荷物に入ったメモで改めて兄弟なのに、ということをつきつけられて別れを決意、という2段階の展開はやや無理やりだったような。
義母から送られてきた義弟の荷物、キューピット的な役割を果たす義弟の学友、2人が再び向き合い、本当に結ばれるための道筋もやはりかなり無理やりのような感じを受けました。
この後に発表する数々の作品を読んでから、この作品を読み返すと、まだまだ市梨きみ先生の真骨頂ではない、というか、様子見で遠慮してたんだろうなと感じます。
市梨きみ先生は、苦しみの表現が極端で悩みや苦しみの振り幅がすごい、厳しく苦しい関係のBLを描く名手だと思います。
作家買いです。
さすがくれの又秋先生、とても興味深い物語で一気に読みました。
そしてさすがくれの又秋の細目男、とてもかっこよかったです。
内容は単純に好みの問題ですが、BLに萌えを求める読者なのでこの作品は肌に合いませんでした。悪意のある人が何人も出てきて、悪意のある台詞がいくつも出てきて、読んでいてとてもきつかったです。
物語はとてもよくできていて、考えさせられたし、ハッピーエンドになったのでよかったです。
ですが、繰り返し読んで楽しめる作品ではありませんでした。
悪意と悲しみと苦しみがとても多いお話でした。エロも多かったです。
作者買いをした後、レビューを読んで、作品を読むかどうか迷ってからの読書だったのですが、やはり自分には合わなかったです。刺さる人にはすごく刺さると思うので繰り返しになりますが、好みがわかれるところだと思います。
物語の重厚さはさすが、で、やはりさすがくれの又秋先生はすごいと実感しました。
オメガバース執事もののあの名作が大好きで、似たような設定、表紙がきれい、帯の煽りに惹かれて購入したものの、1巻読了時は、うーん重たい話だなあとあまり好きになれず。
それでも続きは気になるので買い続け、完結したので1巻から再読しました。
αのご主人様とβの執事。両想いだけど、立場からも性別からも一緒になることはできないであろう関係。
いきなりβ執事の出会い系サイトでつながったらしい相手とのセックスから話は始まります。
名家の嫡男のαは、これぞα、という感じのオーラに言動、さらに性的に奔放で想いを寄せている執事βに行為を見せて聞かせています。
2人ともひねくれ、こじれている。
不器用すぎる2人の切ない恋。
現実が絡んだことで重たくて厄介でドロドロした愛情と執着になっています。
気持ちと性欲をそらすために、出会い系サイトで相手を探していた執事βには腹立ちと哀れさを感じましたが、薬をつかって意識不明にして好き放題、やり放題にしてたご主人様αには恐怖を感じました。
いろいろなことが判明してもう両想いになどなれっこない、そんな絶望的なラストでした。
書き下ろしのエピソードでちょっとほっこりするものの、読後のどろっと感、疲労感は拭い去れるものではありませんでした。