ガンガンスクエニのスタイリッシュ系ニアホモ漫画(「東京エイリアンズ」とか「黒執事」とか「ラッキードッグ」とか「Vassalord.」とか)にハマった人にすすめたい初心者向けBL漫画。だがHはしっかりあり。
イタリアの架空の島を舞台に純血派VS自由派の対立と次期ボスの座を巡る争いを描いた漫画で、男前攻め×強気受けのケンカップル好きにはおすすめ。
最後まで飽きずに読める位には面白かったのだが何だか物足りずあんまり刺さらなかったのは、マフィアがテーマなのに明るすぎる……身も蓋もない言い方すれば底が浅すぎるから?痕付きと蔑まれるジーノでさえ闇を感じない、人として超真っ当。
19××年が舞台らしいが「この前の戦争」って台詞から推察するに第一次大戦の後だろうか?第二次大戦後なら移民に焼き印なんて時代遅れだし人権問題。第一大戦後なら移民は敗残国のドイツ系?てことはジーノはアーリア人??時代考証突き詰めると結構ガバい。
残念なのはイタリア舞台なのに新聞やぬいぐるみのプラカードが日本語表記な点。わかるよ日本語じゃないと読めないしわからないし訳してくれたんだよね?だけど外国や異世界が舞台の漫画でそれされると興ざめというか滅茶苦茶萎えるわけで……私だけ?せめてイタリア語の下に和訳付けるとかさ……。
総じてライトなノリで、BLにハマりたてかまだ読んだことない人向け。恋愛のみの話だとどうしても起伏がなくて飽きちゃうので、抗争の行方や黒幕の暗躍で引っ張ってくれたのは好感触。ただ黒幕の正体は非常にわかりやすい。むしろアイツしかいねえ。
ぶっちゃけエロさえ抜けば今すぐGファンタジーとかゼロサムとかあのへんの少年誌で連載できる内容。「黒執事」「アルカナファミリア」「ラッキードッグ」通った人はハマる多分。このネタならエロ挟まずバチバチの少年漫画に徹してくれた方が好みだった。
絵は崩し顔に少々癖があり好みが分かれる。受けのソックスガーターがエロい。一巻が露骨に「続く!」エンドだったので二巻はどうするかな……まだ読んでないけどジーノ(オリジナル)は生きてるよね?
他に気になる点は移民問題や人種差別扱ってるのに、服の下の痕以外でまるで区別付かないこと。皆肌白いしパッと見わからず混乱する。
何はともあれ勧善懲悪で読みやすい漫画だったので、細かいことは気にせずバディっぽいBLを読みたい人はハマるのでは。
作者さん漫画家よりイラストレーターが向いてるかもしれない。結論から言えば期待したほどじゃなかった。
表紙と受のキャラデザがめちゃくちゃ好みで、あらすじからどんより暗い、鬱BLかとワクワクしながら読み始めたらあっさり終わってしまい肩透かし。
直近に読んだのが「ハッピー・オブ・ジ・エンド」と「スリーピングデッド」だったのが影響してるのか……。
BLに限らず一般漫画も結構読んでるんだが、一個の作品として読んで、相応の満足感を得られたとは言い難い。
黒髪塩顔ビッチ受けめっちゃ好き!性癖に刺さる!って人なら楽しめるかもだけど、低賃金労働者の閉塞感たっぷりな日常を描いた一話で期待値上げたら、思いのほか障害も修羅場も何もなくハッピーエンドに至ってしまってあっけない。ドロドロは何処?
中盤で唐突に石神視点が入るのだが、これも置いてけぼり感強くて……物心付いた頃からルックスに恵まれ金持ち親に甘やかされ、何不自由なく育ってしまったが故の虚無感や物足りなさがモノローグで語られるものの、正直ありきたりな設定というか……それまで漂わせていた底知れなさが底の浅さに置き換わり、一切合切陳腐化してしまった。
要約すると「好きな人と十数年ぶりに再会したら相手が既婚者で色々あったけど結ばれました」ってだけの話。
作者さんの力量次第で↑のテーマは劇的に仕立てられるんだけど、全体的に盛り上がり所に欠ける平坦さで、共依存でグチャグチャになるヘビーな展開が読みたかったのに……と残念。
すごく雑にまとめます。キレイな闇金ウシジマ君です。特にマヤは完全に闇金ウシジマくんの登場人物です。ウシジマ君の知り合いや責務者оr責権者にいそうだもん……もっと小物かな……。
浩然死ぬんじゃ……?と五分五分で疑いながら見ていたので、ラストで安心した。一巻から通して読んだ感想として、暴力描写に耐性がある人、攻めが非処女でも気にならない方には強くすすめたい。
似た雰囲気の作品は「囀る鳥は羽ばたかない」「寄越す犬、めくる夜」「にぃちゃん」等。既読の人にはわかると思うけど、エグい児童虐待や性暴力描写有なので苦手な人は注意。
バイオレンスとグロの程度は「闇金ウシジマくん」が読める人なら余裕、「囀る鳥」「寄越す犬」よりちょい上。
一番怖かったのはマヤの無茶苦茶じゃなく、浩然母が江の島の中継を見ながらは発した「浩然も一緒に帰れるといいね」。
息子に語りかけるなら「浩然も一緒に帰ろうね」になるはずなのに、「(りゅうちゃんが許してくれたら)一緒に帰れるといいね」って、完全に男=自分>>息子になってる……。
二巻は日常描写が長くてやや中だるみしたが、マヤが千紘を拉致ってからの、急転直下の展開には引き込まれた。
不幸な生い立ち故に自分が不幸であることにさえ気付けずにいた攻めが、孤独なもののメンタルの安定した受けと暮らすうちに、「幸せ」の意味を肌で理解する描写は泣かせる。正直に言えば、浩然が受ける所を見たかった。一回位千紘に抱かせてやってくれ。
総合的には面白かったし、ヒューマンドラマに感動したものの、消化不良な点はちらほら。あの娼婦は本当に母親だったの?とか……一番ひっかかったのは千紘と同じバイト先の女子高生と、浩然の職場の後輩の扱い。
前者はマヤの人質にさせて千紘の拉致に繋げるため、後者は浩然を漫画喫茶に誘導し千紘のインスタを見せる為だけの駒。
二人とも愛嬌あって憎めないキャラだけに、役目を終えたら即フェードアウトが腑に落ちない。特に女子高生は……あれからどうなったん……?
自称小卒で教育の機会を一切与えられてない浩然が、上品で知的な立ち居振る舞いを演じられたのも謎。あの環境で生まれ育ったら、箸すらちゃんと持てるか怪しい。マツキさんに引き取られた時に仕込まれたのかな?リアリティーを補強する理由付けがほしかった。
最終回でどれだけ時間が流れたかは描かれてないが、千紘と浩然の老け具合から察するに、10年以上は経っているのだろうか。
マヤへの殺人未遂は浩然の境遇を考えれば十分情状酌量の余地があるし、執行猶予が狙える気がしたけど、その前の殺人罪も加算されたのかな?マヤの殺人教唆・脅迫罪が差し引かれるから、そんなに入ってるイメージないな。当時は未成年だし。
孤独な二人の再生の物語としては綺麗な終わり方。「子供が嫌い。手に入らないものだから」と一巻で言っていた千紘が、鳩と戯れる幼女に自然な笑顔でファインダーを向ける、伏線回収が美しい。諦めてもなお残るものに気付いたのかな。
だけどあえて言いたい、言わせてほしい。私は二人の数年越しの再会と抱擁が見たかった。キスは高望みでも、せめてハグは……ハグだけでも……!
ラストシーンが意味深なバックショットで終わってしまったのが、個人的に大変悔やまれる。いや、演出意図はわかるよ?浩然の背中を描いて、読者に表情を想像させる手法をとったんだよね??でもでも一巻からずっと二人を見守ってきた一人の読者としては、浩然と千紘がお互い顔を合わせた上で、安堵と希望と歓びの表情を浮かべるシーンで〆てもらいたいわけで!!!!!!オシャレな終わり方だけどね余白にカメラのシャッター音が響くの!!?
だけど今まであんなハードで鬱で辛い展開続いたんだから、最後の最後で受けと攻めがしっかり抱き合い「今」を感じる、そんなカタルシスが欲しかったんだ!!
そのへん描き下ろしで補完しただろ!ってツッコミもわかる。エモい、余韻がある終わり方って評価する声もわかる。わかるけど……わかるけど……このリビドーはどうしようもねえんだ……!
それとあれ……千紘の写真展示のシーン……「BANANAFISH」の「光の庭」モチーフ?アッシュと英二の死別に納得できないファンが描いたIF二次創作?ただの偶然なのか作者に思うところあるのか、めちゃくちゃ気になる……。
あ、加治はひたすらいい人でした。最終回は結婚したのかな?マツキさんの秘めたる母性にもじんわり。「マヤも幸せにしてください」って手紙が多かったのはよくわからない。可哀想な過去がほのめかされると反射で同情しちゃうひと?彼も環境に歪められた被害者かもしれないけど、かといって浩然や他の人たちへの仕打ちは消せないし、そこは因果応報が妥当で常套。
世の中にはどうしようもないし、どうにもならないことだって山ほどある。浩然がそのサイクルから脱却できただけ奇跡。
マヤの末路は『ブラックラグーン』の名言、「だけどそうはならなかった。だからこの話はここで終わりなんだ」を思い起こさせた。
何はともあれ、お幸せに。
結論、BLとして読まなきゃ楽しめる。
「息できないのは君のせい」のスピンオフで、あっちの眼鏡受けの元バンド仲間が受け。作者は男前受けが好きらしい。ぶっちゃけ表紙とか三好のビジュアル・性格はかなり刺さるのだが、他の人も言ってる通り物足りない。
何故?エロがない。
だってゆるきゅんボーイズライフはボーイズラブじゃないから。
ちなみにボーイズライフとはKADOKAWAとpixivで組んで送り出した造語で、一生懸命宣伝打って流行らせようとしてる。
ジャズや音楽活動、攻めの女装の意味を主軸にしたストーリーは人と人の関わりや関係性の変化を描いたヒューマンドラマ(あるいは日常コメディ)として見れば面白いのだが、BLじゃねえなこれ……。
表紙のキャラに惚れて、このキャラがあんなことこんなことされてるとこが見たい!と下心で手に取るとがっかりする。まあ某コインランドリーといい某君には届かないといい、ゆるきゅんボーイズライフと銘打ったpixiv漫画は攻めと受けに唇同士のキスすらさせないのがお約束なので、期待するだけ無駄である。
電子書籍サイトじゃBLにあらず少女漫画カテゴリにぶっこんでる位だし。
ゆるきゅんBL(ボーイズライフ)への不満点は故意に誤解を招く紛らわしい略称、および「するかもしれない詐欺」で延々引っ張るスタンス。キスするかもしれない、Hするかもしれない、付き合うかもしれないetc……。
作者や出版社は絶対に「この二人はHします」とか明言せず、「うふふどうなっちゃうんですかね~付き合うかもしれませんね~?」ととぼける。濁す。
いやプラトニックならプラトニックでいいんだよ、最初にそういってもらえりゃその心構えで読むし納得できるから!
だけど「セフレ」とかセンシティブな関係扱っといて本番だけ頑なに描かないとか、BLで宣伝してるのに受けと攻めにHはおろか踏み込んだ接触一切させないとか、それはBL求めて手に取った読者に対してずるくて不誠実でなめてないか?
この話もBLじゃなく、アフタヌーンにでも載ってそうな音楽や服装基軸のユルい青春ものとして読めば割と面白いのに、こっちがBL脳になってるせいで「えっ、これだけ?受けと攻め何もしとらん……」って読後戸惑うし肩透かし感と物足りなさがすごい。
絵は今風でスッキリ整ってるし若い子にうけるのはわかるのだが、どうにも売り出す側の欺瞞を感じてしまい楽しめなかった。
みなと商事コインランドリーの原作者のオリジナルノベル。デビュー作と同じナーロッパΩバース物。イラストレーターは有名なBL漫画家らしいけど知らなかった。ソファーから上半身生えてて怖い。受けが異常に短足に見えるのは無理に全身入れたからか。
そしてやっぱり年下攻め×年上受け。この作者の作品全般に言えるのだが、年上受けのトラウマや葛藤を表現するために、やたら攻めに対しツンツンさせる。それが行き過ぎてただの嫌味な奴、もっと言えばただの嫌な奴に成り下がってる。結果言動の全てが実年齢に比して子供っぽすぎ、全然共感できないし好感持てない。てかコミカライズ含めずーーっと同じパターンが続いてていい加減マンネリ。
受けが過去に可哀想な体験して、それを引きずって攻めに臆病だったり当たり散らすエピソードがずーっと続くのだが、10歳近く下の相手に何でこんな大人げない態度とるの?自分にぞっこんな攻めなら何でも無条件に受け入れてくれると思ってる?それはもう甘えとか依存じゃん……。
見た目もティーンで中身もティーンなら実年齢アラサーは蛇足。そこに乗れない。
ギャップ萌え改めギャップ萎え。自分みたいな強火年の差CPスキー(年上受け最高)からすると、一番大事な要素の「年上」受け部分が、死に設定で都合よく使い捨てられるのにイライラする。
で、Ωバースで発情時の受けが強姦・輪姦される展開はありきたり。なので「自分が嫌なことされたからって、事件と無関係な人たちにこんな当たり散らすの?」と引いてしまった。
実際ヤられてたら同情するけど未遂だし、父親を独善的に批判する自己本位な性格といい甘えたが過ぎる。
大前提として受けを年上にする意味あったのかな?
受けに年相応の分別なり大人げがあればともかく、見た目も行動も二十代半ばとは全く思えないし、逆に十代設定の攻めが老成しすぎでは……?と疑問。この内容なら受けと攻めが同い年か受けが年下の方が自然だし、十代の多感な時期の受けがそんな体験したら人間不信になるかな、と納得できないこともない。でも25……四捨五入すりゃ三十路……。
いくら受けが好きだからって、こんな扱いされてまだ耐え忍ぶの?って引っ掛かりが強くて、物語に没入できなかったのが惜しまれる。
今回も相変わらず葛谷と粕谷が馬鹿で安定の面白さ……だったのだが、全面的に褒められないポイントがあった。
薄々気付いてたけど、リバップルで売り込むわりに性描写が均等じゃないの何で?
作者は粕谷推しか?
粕谷受けのHは結構な比重割いて描かれるのに、葛谷は本番すっとばして事後描写のみ。葛谷推しの自分は物足りない。
ならばとレオ×葛谷で補充しようとしても今巻までEDだし……全体通して粕谷の方がHシーンで優遇されてるのがちょっと残念、道具でドロッドロにされる葛谷見たかった。
後突っ込みたいのは受けと攻めの害悪オタクムーブ。普段は二人が勝手に空回って自業自得の恥かいてるだけだから後腐れなく笑えるけど、今回は明確に迷惑かけてるし、一方的に被害受けてる人がいるよね……しかもその人、葛谷と粕谷が好きな作家さんだよね??
栗田さん何も悪い事をしてないだけに、一切謝罪も反省もせず開き直るのは人としてどうなん?とちょっと引いてしまった。
仕事でも趣味でも創作してる人、隣人の騒音に悩まされてる人は、とりわけ無神経な言動にイラッとくる。
その前の「フリマアプリで全巻買った」発言も酷すぎる……隣の先生はもっとちゃんと注意してくれ……。
いや、クズとカスコンビが元からゲスなのはわかってるけどさ!粕谷に至っちゃ職場のコピー機に下半身裸で跨ったりしてるけど、アレは機材壊してないし、一番損失被ったのが本人なんで……。
そんな風に引っかかる箇所はあったものの、ギャグの水準は高く、粕谷の同僚の心情も明かされて引き込まれた。
粕谷と葛谷がお互いの相手に嫉妬する場面もチラッと描かれ、次巻以降進展しそうな匂わせ。
個人的には偽港区女子な元同級生の再登場に期待。準レギュラー化希望。
まず作者さんの画力がバカ高い。これがデビュー作ってマ??商業BLだとイケメンは上手だけど老人やおじさんは苦手な作家さんがままいるが、この人は老若男女全年齢描きこなす。しかも一人として同じ顔のモブがいない。絵作りの説得力がパねえ。
ストーリーはヒーローに憧れる高校生が、ヒーローになりたくてなれなかった同級生に一目惚れし、演劇部の活動を通しアタックするというもの。
性描写はなし、あるのは終盤のキスシーンだけでぶっちゃけどっちが攻めで受けかもわかりません。
どっちも同じ位男の子っぽい性格傾向やヒーロー適性を持ってるので右・左に固定できないのが悩ましい……けどそんなちっちゃいことどうでもいいか!って気分になります、読後は。
BL、というよりLGBT漫画なのかな。アフタヌーンで連載してても違和感ない内容だった。良い意味でBLっぽくなく、ジェンダーの悩みに切り込んだ王道青春もの。
有馬に真っ直ぐ向き合って心を開かせた大河の情熱もさることながら、演劇部員たちの等身大の反応が胸に響いた。特に黒髪女子の先輩。
「一番とりやすい席空けといてください」のショートケーキのやりとりにぐっときた……。
そうか、そういうのでいいんだ、って普段人間関係で見過ごしがちな盲点に気付かされた思い。
大河の友人二人もすっごいいい奴。何かと暴走しがちな大河をフォローし、自転車にのっけて忘れ物取りに戻るシーンが良かった。こんな友達に恵まれただけで学園生活最高だろうよ?
本当に絵が隅々まで上手くて見ごたえあって、しかもキャラクターが生き生きしてる。
後半舞台を控えた大河が放った言葉、「こんな場所じゃアイツが立ってられないわけだ」がずしんときた。
難を言えば演劇ものの割に演劇のメソッドに比重が割かれてない点。二人で稽古とかはしてるんだけど、具体的な演技や発声の指導や上達法が描かれてないので説得力が弱い。
有馬と大河の関係性の変化にフォーカスしたかったかもしれないが……。
あと大河の父親が実は、というのもご都合主義に感じた。序盤に伏線あったし、そうじゃないかなって予想は付いてたが、「あの人の息子なら好きになるのは自然で当然」というのはちょっと萎えた要素。
あくまで大河個人に惚れてほしかった。
一巻で綺麗にまとまっているものの、できれば二巻や三巻も読みたかった。有馬と大河の関係がキスやセックス、その他の体験を経てどんな風に成熟し、人として俳優として成長していくのか見届けたかった。
もし話が続けば大河と父の和解や有馬と母の確執の昇華も描かれたのかな。
作者の他界によりそれが永遠に叶わなくなったのが残念でならない。23歳は若すぎる……。
ラストでひきずる、というレビューを見て身構えて読み進めたら割とさらっと読了してしまった。胸糞を読み慣れてるから?ラブラブライトなBL中心に読んでる腐の人はこれでショック受けるのかな。
役所勤めの主人公とレンタルねこサービスをしてる青年の話。エロはなし、プラトニックな交流中心となる。話に重さを足してるなら受けと攻めの関係性よりむしろ朽ちてく町の描写。小暮さんの最期の言葉とか結構ずっしり。
わかりにくいが、日本が社会保障制度を廃止した世界って事は近未来を描いたある種のSFなのか?とはいえ全然SF要素はない。
受けの生い立ちが悲惨であるものの、起きた事件の割にさらっと描かれちゃうので鬱らない。
父親は既に一人虐待死させてるってことだよね……?
このへんがもっと掘り下げられてたら感情移入捗ったかもしれないが、良くも悪くも受けが人間味増すのが終盤のモノローグからの爆発シーンだけなので、読み心地がふわっとしてる。
どんなに重たいテーマでも登場人物に感情移入できなきゃ余韻って残らないんだな、と妙に感心。
見開きでばら撒かれた札束をそれをかき集める人たちが印象的で、作者さんこのシーンが描きたかったのかなーと思った。
ラストは猫転生オチ、と見せかけて幸せな勘違いを推したい。だって世の中そんな都合よくないし人は死んだら死んだままだし。
でも人には信じたいことを信じる自由と権利があるよね。それで前向きになれるならそれでいいよね。
一冊でよくまとまってるが、この作者さんに関しては、将来的に一般レーベルに移行する気がした。BLよりも人間ドラマにシフトした方が成功しそうな気がする。
一個すごい疑問なのは、小学校も行ってないような受けが、突然「浸透圧」なんて言葉を出してきたこと。ちゃんと意味知ってるしどこで学んだ?生い立ち考えるとどうにもちぐはぐで、一気にリアリティー薄まった。
その後のモノローグはカタコトで拙いのに……
あそこはキャラの背景捻じ曲げて作者の言いたいこと、表現したいこと優先させちゃったのが残念だった。
読者に違和感を与えないように、もっと上手く落とし込んでほしい。
ぶっちゃけ受けのとばっちりで巻き込まれて死んだ彼女の方が気の毒だった。特に悼まれてる描写もないし。
ムーンライトノベルズなどで頻繁に広告を見かけるためサブリミナル効果で気になってしまった。
エリートイケメンで外面はよいが色々とこじらせた攻めと地味でモサでコミュニケーション能力の欠如した(眼鏡をとったらすごい)受けの話。設定は王道。ぶっちゃけ絵柄は古い、昭和……は言い過ぎだが平成前半の赴き。
しかし攻めと受けの掛け合いがコミカルで面白く、「なんでこの俺があんな奴に!」とイキがりながら、お互い深みに嵌まっていく過程に引き込まれた。
難点を挙げるなら表紙の肌色成分はちょっとどうにかしてほしい。恥ずかしくてレジに持ってけない。電子で買うなら問題ないかもだが……。
攻めの性格も好き嫌い分かれるところ。初対面の人間を「0点」と採点してこき下ろしたり、相対的に優越感に酔ってドヤったり、ぶっちゃけ身近にいてほしくない。とはいえ「花より男子」の道明寺好きなら多分ハマる。
深見はモサい外見で眼鏡をしてた方が好みだった。