タイトルとあらすじで何だかよく分からなくて手に取っていなかったですが、クチコミの良さに挑戦してみました。結果素晴らしい作品で…記憶を消してもう一度初めから読みたい。
まずは登場人物がそれぞれ味と個性があって素晴らしい。よく見るオメガバースのシンデレラストーリーではなく、またよくあるαがΩで、実は狙ってたαにアタックされて番になる話でもなく、なんというか……語彙力が足りなくてもどかしい。
主人公の鷹虎くん(α→Ω)の彼はとにかく雄みが強く性欲もちゃんとあって相手は抱きたい性格。Ωになってもそれは変わらずΩと判定が出た途端に即子宮を摘出してしまう徹底ぶり。しかし学校の規則でクラスはΩ専用クラスへと移されてしまう。そこはまさに彼にとってはハーレムのような場所であり、それまでの彼は食う対象としか見ていなかった人達が必死に葛藤しながら頑張る空間。Ωの立場の弱さに必死に抗い、立場を良くするために将来のことを討論し、でもαの庇護がないと生きていけない前提の自分達に絶望している者。それでも希望を捨てずに努力し続ける者。Ωクラスにはタイプの違う色んな子達が居ます。鷹虎くんもその子たちと生活していく中で最初はキツくて傲慢だった性格の部分も変わってαだった頃よりも一段とかっこよく成長していく。
Ωクラスの子たちの中には今イイ感じになってる子も居たり、鷹虎くんに片思いしてる子も居たり、疎遠になった元カレが居たり、同じ元αのΩの子も居たり、色んな子達が居て彼らのやり取りや周りの環境がとてもリアリティがあって寧ろ生々しいほどです。
鷹虎くんもこれからどう成長して誰とどうなるのか、Ωクラスの子たちとの恋模様も気になるし、彼の男らしさもΩになってからグンと増してる気がしてカッコイイ。
凄くいい作品でした。紙も電子も両方買います。
2巻早く出してください先生。
買ったけど読めないままになっていたこの本。失礼ながら おじさんの話か、と期待せずにずっと置いたままにしていた私は馬鹿でした。本当にすみません。やっと手に取って読んでみましたが、おじさんなんて言葉は失礼過ぎました。42歳にして人生最大の青春の話でした。読んでるこっちがキュンキュンしてしまう二人のやり取りに胸いっぱい。
受けの彼は42歳にして初めての恋愛にとても臆病になってて、仕事人間過ぎて自由になれない感じと、それでも攻めさんに無意識に惹かれちゃってるところがリアリティ満載で凄く人間味があって良かった。徹夜明けでヨレヨレで匂いを気にしてお誘いに答えられないとか、夜の急な電話が仕事先からと思って飛び起きちゃう所とか、本当にその辺の電車に揺られてる草臥れたおじさんの生活を覗き見しているような気がして、恋してもどうしていいか分からない駆け引きも余裕もゼロの彼はとても素敵でした。
対して攻めの彼は真逆と言いますか、良い歳をしたモテ男という感じで草臥れ方がセクシー。色っぽい。余裕のあるかっこよさでコレはモテると思わせるそんな方。でも私生活は色々寂しい思いをしていて、人生を謳歌していて余裕そうなのに本当は1人で生きる事にとても寂しいと感じてらっしゃる毎日を送ってるという、これもまた違うリアルを感じさせられる。
そんな二人だからお互いの寂しいがピタッと重なると言いますか、ワンナイトも駆け引きも無しに言いようもなく惹かれ合う様が青春すぎて浄化させられました。清められ過ぎて昇天しそうです。エロで汚れた私の目を浄化してくれてありがとうと言いたい(笑)
当たり前に背伸びせず隣に立って共に生きていける、そんな相手に出会えた二人はきっと無敵なくらい最高に幸せなんだろうなと感じさせられました。きっと攻めがプラン決めた結婚式挙げるんだろうなとか、一緒に住んでついには猫も飼っちゃったのかなとか、美容院行って受けはどんどんイケおじになるんだろうなとか、老後の生活まで萌ポイントが累積しそうな予感のする二人が最高すぎました。もう一度読み直してきます。
好みは正直いうと好き嫌い分かれそうです。上下巻合わせてそこそこの値段になりますから、それもあって上巻で止まってしまうと多分面白くないと思います。私も上巻を読み終わった後は下巻は悩みました。電子書籍で上下巻買ってたから読みましたけどね…お陰でほぼ寝る間を惜しんで読んだので目がバッキバキです。
上巻では登場人物の多さとそれらを取り巻く環境の複雑さにお腹いっぱい胸いっぱいになる時間が続きます。
途中まで必死に覚えてましたが私は途中で主要人物以外を覚えるのはやめました。下巻ももっと人が増えるし重い話が続くので上巻はサラッと読むことをオススメします。あと泣くので水分補給はしっかりと(笑)
ここからネタバレです。
アリオスとセナ、イザクとセナ、それぞれの関係の切なさに泣かされる下巻でした。凄かった…読後は放心状態でした。個人的にはイザクの話が良すぎて辛かった…
作者よ、何故セナにイザクとの子どもをくれなかったんでしょうか…神を恨みます(号泣) きっとこのイザクとの子が出来ていたらもっと明るい未来がまだあったと思うんですよ。
アリオスも良い男ですが、本人が立場もオーラもデカい男すぎて見てるところが高い位置から見てるせいか太陽を相手にしてる感が強いんですよね。みんなを平等に見渡しているんです。セナもなかなか歩み寄るのに時間がかかるみたいで下巻でも焦らす焦らす…。アリオスも上巻での自分の行いに引け目があるからセナに対して素直になれなくて、存在感は大きい男ですが遅すぎる初恋に上手に身動きが取れないだけの方です。イザクに美味しいところを取られて、アイツには勝てん…みたいになってる凹んでる姿も愛らしいです。
その点、イザクは常に自分だけにずっと付いてくる影みたいな距離感だから胸の内を言葉にしやすいというのでしょうか。近くに居ないとつい探してしまうセナに周りは早めに察してましたよね。セナとイザクは急速に惹かれ合います。こういう所はすっごくイイ。キュンが止まりませんでした。だがしかしアリオスの事もたまに思い出してセナ。君の息子が見ているよ、と気になるところもありましたが…最後はちゃんとアリオスと正真正銘結ばれました。四苦八苦ありましたが最終的には丸く納まってくれて良かったです。フオルや周りのナイスアシストのお陰ですね。
最初に伝えた登場人物ですが、下巻を全て読んで思ったことは要らない人なんて居なかったということでしょうか。下巻まで読んでもう一度上巻を読み直してください。違う味わいがあるはずです。そうやって何度も読み返して見逃していた所を見つける楽しみがあるのもこの作品のいいところでしょうか。絵も素晴らしいのでじっくり鑑賞してください。セナ、アリオス、イザク三名の上下巻を通して変わっていくイラストの表情の変化を見ていくだけでも楽しめます。またもしかしたらこの続きがあるのならば、と期待して星を付けさせていただきます。
初めて読む作家さんなので悩んでましたが読んでみると読みやすい文章を書く方です
内容は他の方も触れてるので省略して、
家を乗っ取られ財産を奪われ身一つで追い出された不憫な受けくんが、優しい攻めの家に使用人として住み込みで雇ってもらう話ですね。ここまでもよく見る王道。不憫な可哀想な受けとそれを庇護する上位貴族の話です。辺境伯ですがこの期間はたまたま王都に来ていて出会ったという経緯ですね。
内容は途中まではゆっくり書き込んでくれてたので良かったのです。ギフトについても分かりやすく書いていたのでそれも良かったです。良かったのはそこまでです。
後半から二人の気持ちの描写が駆け足だったのと、もう番になる?っていう最後の勢いには少しついていけず。というか戦ってる隣国の敵が夜会にも街にも出没するって。そんなうろちょろできる街って国としてちゃんと機能してるのかそっちが不安になりまして正直話が入ってきませんでした。寧ろその状態の街中だというなら治安が悪い所に受けを一人で待たせますかね。せめて護衛を雇ってください。攻めの親友宅で行われる夜会に受けを追い出した受けの従姉妹が現れるのもおかしい。何故ならその夜会前にこの親友は、フラウミュラー家で受けくんが追い出された経緯を調べています。つまり受けとその従姉妹は接触出来ないように気を配るべきですよね。それをまさか誘った夜会で鉢合わせにさせるって…立場がある人がやりますかね?という矛盾。
そういういくつかの矛盾が露骨に目立ったのと、言葉の選び方がおかしい部分が何点か。編集の担当者はこれをOKしたのだろうかと思う部分はありました。
ただ作者は一生懸命書いたのだろうと言うのも伝わってきたので面白かったので「萌」を選びました。絵も可愛くて良いですね。これからも作家活動頑張って下さい。
内容は他の方も記載の通りなので省略して、
まずは今流行りの転生ものとオメガバースを掛け合わせた内容で、いつもの在り来りなものかと思う方いると思うのですが、この作品はちょっと違います。
普通転生するならアルファはアルファに、オメガはオメガに転生する。または受け攻めどちらか片方が転生の時に性が変わるのはよくあるパターンだと思うのですが、こちらはアルファとオメガが入れ替わります。
更には身分差も綺麗に逆転してしまい、主人公は「名のある家元のアルファを前世を持つ今は貧乏宿屋のオメガ」という難しい立場の人物になっています。
他の方も仰られてる何でこんなに主人公の子は一人で悩み続けてるのって疑問も、まず前提にこの子は中身が前世が良いとこ出のアルファなのもあって基本何でも自分で思い込んで突き進んでしまう一人で勝手に自立タイプの人間。外見はオメガだけど中身はアルファの気性が幾分残っているので素直になれないんですよね。そして前世で相手と分かり合えてない経緯もあって気持ちを口に出来ない。それが何ともいじらしくて可愛い。王宮に上がって周りに虐められてもそれに屈せず昼間も頑張る姿が健気で立派で、そりゃあ攻めの王子は仕事ほっぽり出して見守ってしまいますよね。ちゃんと仕事してるのかたまに不安になりましたが…。
同じく攻めの彼は今はアルファだけど元オメガ。そのせいか発情や薬に対しての理解力や包容力が普通のアルファを凌駕していて優しすぎる。一度頭に血が上って受けくんに無茶をした時もありますが…ちゃんと実家まで迎えに行って謝れたから偉い。受けの子が好きすぎて前世から拗らせてる一途な童貞です。
しかもこの二人の素晴らしいのが前世ではキスすらしていない初心な関係で、ただお互いのことが好きだったのに素直になれなかった二人のまま現世に繋がっているので長い青春の続きを見ているような感覚で終始切なくて涙が止まらず一気読みしてしまいました…。
ただ頁数に縛りでもあったのか途中駆け足の部分が少し気になりました。折角いい話なだけに交渉のところや攫われたり逃げ出したりの部分がうまく伝わりづらく何度か読み返す部分がありましたが、それでもとても面白かったです。
前世から繋がる話ってどうしてこんなに切ないんでしょうか…素敵ないい話でした。
続き、待ってます。二人の今度こそ幸せな結婚編をどうか書いてくださいね。
アルファポリスでgrottaさんの作品は毎回面白くてハズレ無しなので、こうして文庫として販売に至ってまずは嬉しいです。ずっと応援してたから記念に早速購入。
連載中もずっと読んでましたがやはり読み直しても面白かったです。
家柄が良くて身内も多く、期待も重圧も大きい環境で若いのに一人で頑張り、遂には治らない不眠症に悩むアルファと、唯一の母も亡くし身寄りがなくて保険料も抑制剤も高い中で毎日一人で必死にその日を生きるオメガ、その受けくんの幸せを見守ってる優しすぎるベータ、それぞれの性に振り回された不器用な生き方が読んでいていじらしく切なくて切なくて…(涙)
出会いは香りに惹かれた攻めに言い寄られる形で添い寝の仕事を承諾した受けくんでしたが、圧倒的コミュニケーション不足が招いたその後のすれ違いや、それに過去の悲恋の真相まで。とっても濃い内容で終始涙が止まりませんでした…。この方の書く文章は描写が凄く分かりやすく丁寧に書いてありオススメです。