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hai no tsuki
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
元作品『月に笑う』は未読ですが、読むのは問題なく読めました。
ただし物語の背景やキャラクターの別の顔など、作品全体としての知識に乏しいため、前作を読まれた方とは異なる認識を持っているかも知れません。
ご了承ください。
丁寧なレビューがあげられていますので、あらすじは割愛させていただき、感想を。
レイプ、拷問、虐待、しっかりと描写されています。
遠慮も躊躇もなし。
恐怖・おぞましさ・痛み・人間の嫌な部分…など様々な負の感情を与えてくるため、心が弱っているときには絶対に読めないな、と思います。
私は痛い描写、恐怖、そういうのが好きなわけではないのですが、創作物においてそれよりももっと嫌いなのは〔中途半端に書かれている〕ことなんです。
BLなので限度はあるのかも知れませんが、出来ればとことん書いて感情を刺激して欲しい。
例えそれが負の感情でも。
そういう意味では、本当に好みの作品でした。
インタビューでもエロにつぐエロ…と書かれていましたが、エロは本当に多いです。
しかも、強姦・プロ相手など、愛のないセックス描写が多い。
エロが好きな私には、このエロの多さは評価の加点に繋がりますが、苦手な方は逆にそのまま減点になるかな…と思います。ご注意ください。
まだBL小説の読者としては初心者も初心者ですが、今までで一番エロく感じたかも…
受けが快楽や欲望に忠実で、自ら快楽を求めていくタイプなので、「気持ちよくなりたい!」という本能まみれの思考が受け視点で延々と綴られるのは本当にエロいです。
こんな感覚がこの世に存在するの…?すごい…とのめり込んで読んでしまった。
そこに愛はないので、ちっとも『素敵なセックス』なんかではないドロドロの肉欲なんですが、あり得ないほどの快感を体感した人間がそれを求めてしまう…というのは、未知の世界ながら否定出来ない感情だな、とも思う。
愛のないセックスに抵抗の気持ちはある惣一。
本当は嘉藤に抱いて欲しい。
でも相手が違っても挿入されると快楽の虜になります。
体は別物。とにかく反応が激しい。
エロやバイオレンスもエグいけど、
何より私がエグいと思ったのは、受けの惣一とのセックスを回想した攻め視点での嘉藤の思考です。
〔実は惣一のことを憎からず思っているが、立場上拒絶している〕
などというBL的な甘い真意は全くなく、
『本当に惣一の性癖を受け入れられずに鬱陶しく思っている。惣一を抱きたくない』
という思考。本物の拒絶。
甘さのないこの心理描写には、思わず唸ってしまった。
今回この作品を読んで、自分は小説とコミックスでは求めているものが全く違うんだな…ということに気付かされました。
この描写をコミックスで読むことは多分受け入れられないし、逆にコミックスで好きなシチュエーションは小説では物足りないと感じると思います。
嗜好を知るよいきっかけとなりました。
キャラへの共感や同調は今のところ全く出来ていません。
下巻で出来るようになるのかも大いに疑問です。
頭が良くお金を稼ぐことには長けているものの、組長である親の権力を笠に着て下の者を駒のように扱い、自分の欲望をわがままに叶えようとする非力な惣一は、幼稚な子供であり心の足りない大人だし、過酷な過去を持つ嘉藤には愛が見えない。
ヤクザのボスとしての惣一への敬愛はある。
でも性愛は皆無。
心が足りない惣一と、愛がない嘉藤がどういう終着を迎えるのか。
これから2人の間に愛が芽生えるのか。
下巻への期待が高まります。
愛や萌えにではなく、すべてを含めた一冊の小説として評価をつけさせていただきます。
『月に笑う』のスピンオフ。
前作未読でも理解できないことはないと思いますが、今作品の主人公が『月に笑う』の山田の元上司、ではないな、親分?の惣一なので、できれば読んでいた方がストーリーに入りやすいかなと思います。もっと言うと、この作品は「惣一襲撃事件」が大きなキモになっていますが、何故襲撃されたのか、その理由や過程は『月に笑う』を読んでいないとわかりづらい面もあるので、興味のある腐姐さまはぜひ。
『月に笑う』の同人誌として刊行されたものに、加筆修正を加えノベルズ版として発売された今作品。同人誌で刊行、しかも木原作品、という事で、予想を裏切ることのない、とにかく痛い描写がてんこ盛りです。
という事でレビューを。
主人公は本橋組組長の息子で次期組長の呼び名も高い惣一。
彼は5年前に、私怨で襲撃を受け、心と体に大きな傷を負った。以来、一人でいることが出来なくなり、ボディーガードの嘉藤に常に傍にいてもらわなければ普通の生活を送ることもままならない。
そして、5年前の襲撃で惣一が負ったものは傷だけではない。
彼の秘密にしていた性癖も暴かれてしまった。
男に抱かれたい。
そんな彼の性癖を抑えるために、嘉藤に抱かれるが―。
というお話。
『月に笑う』で、山田が心酔していた男・惣一。
賢く、美意識が高く、そして冷酷。
そんな描写で描かれていた惣一ですが、序盤は彼が襲撃されたシーンから始まります。
とにかく、とにかくグロい。そして痛い。
かなりハードな描写が、十数ページにわたって描かれています。
『月に笑う』で惣一が襲われた、という描写があった時、惣一はヤクザなので、そういった襲撃かと思ったんです。が、実際はハードなレイプもあった。
もともと惣一は「ぺニバンをつけた女に犯してもらう」ことをしないと射精できないという性癖があったわけですが、彼の心の奥には「男に抱かれたい」という欲求があった。皮肉にも、惣一は非道なレイプを受けたことで、その自身の性癖に気づくことになったわけです。
そして、心から信頼し、そして信じている嘉藤に抱かれることで、彼は自身の性的な欲求とそして、愛情を得ることが出来た。
と思ったのですが。
ええ、そこは木原作品なので、そんなに簡単にハピエンにはなりません。
嘉藤はバッサリと、
抱くならどんなに不細工でも女が良い(=男のあんたじゃ抱けないよ)
という趣旨のことを惣一に告げちゃうわけです。
心身ともに安心して任せられる相手だと思っていた嘉藤に、惣一ははっきり振られてします。そこで惣一がとる行動は―。
惣一という人物は頭の回転が速く、そして豪胆でもある。
ヤクザの息子として生まれ、自身も株による収入がかなりある。それゆえに子どもの時から常に満たされて生きてきたわけですが、彼が「本当に欲しいもの」は手に入ることはなかった。
やっと見つけた「本当に欲しいもの」は、彼の手から滑り落ちていってしまう。
惣一は、言うなればまだ子どもなんですよね。
ほしいものが手に入らなかったことはない。
そんな環境で育ってきた彼には、欲しいけれど手に入らないもの、はどうやったら手に入れることが出来るのかわからないんです。
嘉藤のことを、本当に愛しているのでしょう。
でも、その想いを伝えるすべを、彼は持ち合わせていない。一生懸命尻尾を振って嘉藤の気を引こうとする惣一が哀れで、健気で、でもそんな彼の姿に激しく萌えてしまった…。
ストーリーとしては純愛に分類されると思うのですが、とにかく痛いし、そしてエロかった。惣一が手に入ることのない愛した男の代わりに、違う男に抱かれるシーンがてんこ盛りなんです。
でもその濡れ場がとにかく切なくて、そしてがっつり萌えた。
惣一の5年前の襲撃事件もかなり痛い描写ですが、実は嘉藤の過去もかなり過酷です。良いところのお坊ちゃんだった嘉藤が、ヤクザになるまで。痛い描写がこれでもかと続くので、そういった展開が苦手な腐姐さまには正直お勧めしづらい作品ではありました。
タイトルに(上)とついているように、この作品は上下巻の造りです。
上巻である今作品は、嘉藤を振り向かせたくて一生懸命な惣一と、それを素気無く袖にする嘉藤、の描写まで。下巻では甘い展開になってくれるといいな。
そして終盤に『月に笑う』の番外編が2話収録されています。
『月に笑う バレンタイン編』と『月に笑う 大晦日編』。
どちらも本誌終了後、同棲を始めた山田と路彦の二人のお話。
ひたすら優しい話…、にはなってません(笑)。
なってはいませんが、ドタバタしつつ、相手のことをひたすら想う二人の小話で気持ちがほっこりしました。『月に笑う』のドシリアスさを知っているからこそ、今、彼らに訪れた幸せになおさら安心するのかもしれません。
そして特筆すべきは梨さんのイラスト。
もうね、イメージにぴったりなんですよ。
寡黙で骨太で信頼できる男・嘉藤と、繊細で不器用なインテリヤクザの惣一。この二人を梨さんの美麗イラストで拝めて何と眼福な事か。
ただ、表紙をめくってすぐのカラーの口絵は惣一が凌辱されたシーンの一コマを描いたイラストなので、本屋さんでカバーを掛けてもらう派の腐姐さま、ご注意あれ。
そして表紙も素敵だった…。
リブレさんて表紙が素敵なイメージってあまりないのですが(いや失礼。絵師さんのイラストはいつも素敵ですよ!)、この作品の表紙はとにかく素敵。
ちょっとマットな紙質に、灰色の背景、きらりと光るタイトル文字に、そして梨さんのイラスト。
この惣一のイラストが、彼の孤独を表しているようで、これまた素敵。
ぜひ手に取って、しげしげと眺めてほしいです。
おぐりんさま
コメント、ありがとうございます。
通販で買われたのでしょうか?通販ですと届くまでのタイムラグがもどかしいですよね。「届くまで」の時間も楽しいですが、でもやっぱり早く読みたいですから☆
実は私も今作品の発売に合わせて『月に笑う』を再読しました。
色々忘れてるわー…、としみじみ思いつつ。
今作品もすごく良かったです。下巻が出るのが待ち遠しいです。
ありがとうございました!
レビューを拝見していたら読みたくて堪らなくなりましたー。
早く届かないかなーその前に月に笑うを
読み返しておかなきゃ!
レビューを拝見していたら読みたくて堪らなくなりましたー。
早く届かないかなーその前に月に笑うを
読み返しておかなきゃ!
木原さんの痛くて辛い作品が大好きです。人間は弱さや頑なさ、暗い感情も含めて人間なのだと実感できるんです。人間を描きつつ、愛とは何かと問いかけてくる。全力で読まないとついていけない、その厳しさがたまりません。完全に中毒です(笑)。
本作品は、ヤクザの才能に恵まれながら屈折した性癖を持つ惣一と、頑ななまでに信念を貫く嘉藤との、ままならない互いへの執着を描いています。二人とも暗い過去を抱えています。
帯に「純愛」とありますが、私はまだ惣一にも嘉藤にも愛を見出すことができないでいます。
ケジメをつけるため陰茎を切りおとせ、と嘉藤に命じる惣一もおかしいですが、コレがなくなって惣一がまともになるならと淡々と切り落とそうとする嘉藤もやはりおかしくて、二人は絶望的にすれ違っています。
愛はひとそれぞれなのかもしれませんが、どんな形でも相手を大切にするものであってほしいと私は思っています。
同時収録作品での路彦と山田の関係は、惣一・嘉藤となんて対照的なんだろうと感じました。気持ちを通じ合わせようと努力し、寂しさに寄り添い、相手を喜ばせようとする。心があたたかくなります。
人は簡単には変われないのだろうと思います。
初めて身も心も満たされるセックスを与えてくれた嘉藤に惣一が執着するのも分かります。家族の愛情を突然失い自分の力で生き抜いてきた嘉藤が絶対的な力だけを信じるのも理解できます。
まったく噛み合わない二人が、どうやって結ばれていくのか。そこに私が想像もできない愛が描かれるのだろうと、楽しみでたまりません。
最後に、本作品の文章で私が魅力に感じたことを。
人物の心情と自然の描写がさらりと重ねられて、静かに心に沁みてくるのです。後半の嘉藤視点のモノローグで随所に見られます。
嘉藤が惣一から離れると決めた場面は、特に印象に残りました。涼しい風が嘉藤の首筋を抜けていき、夏の終わりに一息つくように、惣一と離れられることにホッとする心情が滲んでいると感じました。
二人のこれからが静かな筆致でどのように描かれていくのか。下巻でもしっかり味わいたいと思います。
いやー、エロかったっす。同人誌で途中まで読みましたが、まさか商業誌になるとは!!
同人誌で読んだときには、「月に笑う」で悪役だった惣一に感情移入できなくて、嘉藤が不憫だなーと思ってましたが、なんだか可愛く思えてくるから不思議です。さすが木原マジック。
ここからどう両思いになるのか、下巻が楽しみです。
それから、月に笑うの甘々なお二人に会えて最高でした!
木原先生の描くヤクザものは淡々とした文体がベストマッチング。先生のお話を読んだ日の夢見が悪いのは何度か経験済みですが、本作もその一つとなりました笑
『月に笑う』に登場した山田が所属する、本橋組の次期跡目候補、惣一が主人公。女にペニバンを着けて犯されないとイケない変態の彼が、その後どんな人生を送ったのか気になったらぜひ読んでみてください。
惣一の側近、嘉藤は彼の性癖を知っていますが、惣一の性具代わりになった日を皮切りに、あからさまに惣一から一方的な恋情を向けられます。嘉藤は将来、組を背負って立つ人間として理想的な男である惣一を支えたいだけで、男同士で乳繰り合うことに何の意味も見出せないし、そもそもドがつくノンケです。たとえ生理的には反応しても、女を愛するように男を愛することはできない。この、惣一と嘉藤の求めるものが永遠に交わらない、根本的な相違が凄惨な末路を迎えることになるのですが…、とにかく先が知りたくなって一気に読み進めてしまいました。
どうにかして嘉藤を自分に振り向かせたいと、惣一が性欲処理にと専属の男たちをマンション呼ばせて、彼らに体を開いてヒィヒィよがる自分の姿を嘉藤に見せつけるルーティーンは、読んでいると時に悲しくなります。アイマスクプレイで自分を抱く男を嘉藤の身代わりにしたり、自分が婚約しても動じない嘉藤に腹を立て、嘉藤が読んでいた文庫本を握り締めながら惣一が二人の男に犯されるシーンに不覚にも胸がギューっとなりました。
惣一の見合いが破談に終わったことで、息子の性指向に嘆く組長は、かわいがっている嘉藤の身を案じて惣一の世話役から手を引かせ、二人を引き離すことに。上巻ではそこまでが描かれていて、巻末に『月に笑う』の二人がイチャイチャしてる短編が二編収録されています。
うーん、山田はやっぱり下なのね…可愛いけど笑
実は初めて読んだ時、本編の続きが気になって短編を読まずにすぐに下巻に移りました。それくらい、これ以降に書かれるであろう惣一の進退と嘉藤の本音が知りたくなったのです。
挿絵も良い仕事をしています。梨とりこさんの絵柄だからこそ、内容のザラつく感触が引き立つと思いました。体温を感じさせないひんやりとした冷たさと感情を伏せた潔癖さが、惣一と嘉藤の背景に合いすぎるほどに合っているなぁと。
内容やあらすじは他の方が書かれているので。
この作品は究極の愛を模索する小説だなと思いました。
痛みの中で、怒りの中で、苦しさの中で、本物の愛を見つける。
それは決して綺麗でも温かくもないけど、ひたすらまっすぐな愛。
そんなものいらないよ、と思う。
でも、手に入れずにはいられない哀しさ。
ままならない愛に捉われた時、人はどうなってしまうのか・・・。
そんな愛に捉われた人たちの美しくも哀しいお話です。
表紙が素敵で何度見てもうっとりしてしまいます。
ちるちるさんのYou Tubeチャンネルで木原先生作品の紹介をしている動画を見て購入。私はアオイトリが大好きでそこから木原先生の過去作品を買い漁っていましたが読む時間が作れずしばらく本棚の前に置いていました。
しかし読み始めたら、結末が気になって気になってあっという間に読了してしまいました。
あらすじは他のレビュアー様が書かれているので感想を書きます。
この作品は受の一途な片想いを延々と見守るといえばそうなんだけど、そこはやはり木原先生だけあって、徹底的で容赦がなくて、あまりにすごすぎて、読了後、呆然自失。なんでこんなにすごいんだろう…と思わずにいられないほどの容赦のなさ。そして、もう攻・受の心理描写や行動描写が凄まじいほどに徹底的で救いがない。
でも一方でそこまでに徹底的なので、読者は作品世界にどっぷり浸かって、どんどん夢中になって読み進められます。木原先生の作品は読者の心に響く吸引力というのがすごいと思います。痛くて、もうやめてあげて…と思うけど、絶対に最後まで見届けたい感。とにかくすごい。
受の惣一の攻の嘉藤に対する愛情というのはもう凄まじくて、愛してもらえないのに絶対諦めたりしないんです。とにかくずーっとずーっと嘉藤のことが好きなんです。
過去にされた凌辱・レイプがトラウマとなる一方、身体的には男に愛される悦びを認識することとなった惣一。惣一にとって、嘉藤と最初に身体を重ねたときから、嘉藤のことが好きだったんだと思います。しかし、嘉藤にいとも簡単に拒絶される。
なんでも手にしてきた惣一からしてみれば、嘉藤の拒絶ってかなり堪えたと思うけれども、この上巻で綴られる惣一の嘉藤への執着は凄まじいもので、いくら仕事とはいえ、毎度、ワガママと無理難題、さらに応えられない愛情を一方的に押し付けられる嘉藤は超人的な忍耐力のある人だなーって思いました。
この嘉藤の惣一に対する本当に淡々とした受け答えも秀逸で、嘉藤というキャラクターの骨格がめちゃくちゃしっかりしていて、読んでいて安定感が半端ないです。
嘉藤も嘉藤で子供の頃に両親の事故をきっかけに人生が暗転。本当に可哀想すぎる子供時代を過ごし、生きていくために図太く諦めず生きてきた人というバックボーンがあるので、コレと決めた主人がどんなに自分を困らせても簡単には態勢を崩すことがないんですよね。
上巻で心に刺さったのは、惣一がアイマスクをしながら金で買われた男とのセックスをしている最中に嘉藤の名前を呼ぶ。行為が終わって嘉藤が惣一をバスルームに連れて行ったときのシーン。
惣一が嘉藤をバスルームの床に押し倒し胸ぐらを掴んで、さっき抱いていたのはお前だ、嘘でも認めろ、と嘉藤に迫る。
ややおいて、嘉藤が、そうです、私です。と答えると、泣きながら嘘つき!と嘉藤を罵倒する惣一。嘉藤が、自分をこれ以上幻滅させないでくれ、と惣一の耳元で囁くと、号泣して悲鳴する惣一。その悲鳴が耳障りで、それをキスして塞ぎ、惣一が暴れて怪我をしないように強く抱きしめる嘉藤。
このシーン、本当に何度も読み返しました。愛してもらえない苦しさをそのまま、オブラートに何も包まずにストレートに何度もぶつける惣一。それがわかっているけど、自分ではどうすることもしてやれない嘉藤。
作中、惣一が嘉藤に愛してもらえない苦しさからいろんなことをするのですが、その中でも、上記のシーンが本当に胸が痛くて痛くて…。惣一の弱さというか、女々しさというか、そういうのもあるんだけれども、愛してもらえないことをこんなにも苦しく、辛く、自分ではどうすることもできない、感情のコントロールがまったくできないところまで追い詰める描写力に、ただただ圧倒されました。
そして、上巻の最後に初めて嘉藤が、疲れた…、とつぶやくシーン。本当に心からそう思ったと思います。惣一を愛してやれないことの代償は大きく、嘉藤も追い詰められていきます。でも、惣一に対して、「恐怖」みたいなものはなく、哀れんだり呆れたりしているんです。
惣一って完全に嘉藤のストーカーだし、普通の人だったら、絶対恐怖に思うと思います(笑)でも、そのことよりも、嘉藤はヤクザとしての惣一に惚れ込んでいたってことなのかな…。そういう意味では、嘉藤も自分の理想を惣一に押し付けて、惣一の本質を否定、もしくは矯正しようとしているとも言えるかもしれません。まぁ、でも、嘉藤はもともと異性愛者だし、嘉藤としてもどうすることもできない過酷な状況には同情するほかなしでした…。
上巻の最後は、嘉藤がこのままではいけないと、自ら大阪へ行き、惣一と決別したところで下巻へ。
上巻はひたすら、愛してもらえない苦しさ、愛に応えられない苦しさをこれでもか!と緻密に徹底的に描写しています。あまりの苦しさですが止められない。圧倒的すぎて神評価しかありません。
「月に笑う」から5年後の話。
繰り返すが惣一(受け)の性癖が厄介すぎてとんでもなく可愛い(個人の感想)
ペニバンつけた女にいれられないとイケない…というなかなか大変な性生活を送っていらっしゃった惣一さんですが、今回はそんな強烈な彼がメイン受け!
もっともっと踏み込んだ彼の性癖を知れました。
ディルドで犯されながらだったら女を抱けるとか
彼女に乳首を触るようお願いしていたとか
大きなディルドは怖いから使わないとか
好きな所を重点的に強請ったとか…
中心にもっているものは立派とは言えず貧相なもので
遅漏気味でイくまでに疲れてしまうけど
性欲は強くてすぐウズウズしちゃう
ディルドを忘れたことで夜、ムシャクシャしちゃうし
喘ぎ声は大きめ……
おまけに雌犬自覚アリ!!!!!
とんでもなくどえれぇ可愛い受けなんですよ…。
度々名前でなく雌犬表記されているのもグッときました。
最初は性事情が厄介すぎて苦労してんだな~と思っていたのですが…組の跡目で顔よく頭よく凄い人なはずなのに…性癖が凄すぎてそのイメージが前面に出てきちゃう。
表面上は完璧にデートのお相手をしていたのに、女にもち⚫ぽの小さそうなホモ野郎と言われているのはグッときちゃいました。
そんな姿が不憫可愛くて…たまらなく好きになっちゃいました(笑)
情人としてのお相手はきっぱり拒まれているのに、嘉藤(攻め)を欲することをやめられず嫉妬と切望を繰り返しそれでも駄目でわんわん泣く姿が可哀想すぎて…なんだこのそそるものは…下半身にゾクゾクくるぞ。
ボスとしての資質はもっているのに、感情的で女々しい雌犬でもあり…嘉藤に執着することをやめられない…そんな気持ちが更に彼を遠ざけてしまうというのに…。
嘉藤と惣一にはBLとしてのLOVEが見えない…でもそれが凄くいい。
嘉藤の態度は変わらず絆されることもなく情にも流されず一貫していたところが彼の心を感じて良かったです。
惣一は自分の感情や性欲をうまくコントロール出来れば一緒にいれただろうに…全ては自業自得。
でもどうにもならなかった…悲しくて虚しい。だけどこのゾクゾクがとてもいい。
嘉藤についてこさせる素質はあったのに、挽回できなかった。
最後、惣一の体を晒してのトドメの一言は重かったですね……。
この余韻を引きずっていたい…でも下巻も全力フルスピードで読みたい…もどかしい。
心ひとつ変われば物語のみにいる完璧な男になれるのに…どうにもならない心情、恋心、気持ちに苦しむところが現実味あって大好きです。
惣一さん、木原先生の作品の中でも上位に名前をあげたい受けだった…。
『月に笑う』のエピソードは甘めでビックリしました(笑)
大体ピリ辛な作品ばかりに触れていたので、わわ…こういう正にBLっぽいお話が逆に新鮮でした(笑)
路彦と山田がなんだかんだ元気幸せで何よりです!
それにしてもリバしてんの凄く納得した…どちらかというと攻受固定派ですが、この二人はどっちでもしっくりくる。
山田が変わらず路彦を嫁にもらった気分でいたことを知れて嬉しかったです。
初レビューを大好きなこの作品に捧げます。
月に笑うに登場した惣一が主役ということで、軽い気持ちで読んだこの作品。
まさかこんなことになっているとは想像もしてなかった。
とにかく暴力描写が容赦ない!
目をそむけたくなるシーンから始まり、最後の最後まで辛い・痛い・苦しいとしか言えない内容。
こんなに胸が苦しくなった作品は初めてで、かつこんなにもエロイと思った作品も初めてだった。
人によっては地雷になるかもしれないプレイがたくさん登場するが、無駄なシーンが一切ないのがすごい!
必然性・必要性を感じないエロシーンほど白けるものはないが、この作品は納得いかない状況で突然、何の前触れもなくいたすシーンがない!これは嬉しい。
この手の作品にありがちな、相手を拒絶していたが急に心が変わり相手を好きになって二人は幸せに。めでたしめでたし・・・のような生ぬるい展開も一切ない。
とにかく容赦がない。これに尽きる。
そしてこれほど相手に「一途」な人を見たことがない。
彼の一途さが愛しすぎて、苦しすぎて、全力で応援してあげたくなる。
決して人に軽くおすすめできる作品ではないが、自分の中の殿堂入り作品。
趣味に合う合わないに関係なく、彼の一途さをもっとたくさんの人に見てほしい。
試し読みの段階で何度も挫折していたものの、ようやく上巻を読みました。
「オパールグリーンの明るい壁に、黒い絨毯は趣味が悪い。足元が暗すぎて、穴の中に落ちていきそうな気分になる。」
初めの一文だけでも痺れます。
これから読もうとこのレビューを読んでいる方がもしいたら、是非ネタバレを読まずに読んで欲しいです。(神率と読者許容範囲は全くの別物で、地雷多い人は細心の注意を)
個人的にヤクザものは題材として惹かれないのですが、組長の息子である主人公の惣一は従来の気質を嫌うインテリで、身の回りの警備用面子とその衣服もシュッとさせているので読みやすかったです。それより何より、ここぞという決めシーンでなくてもグッとくる、惹きつけられる文章でグイグイ先を急ぐように読みました。
惣一の警備にあたる嘉藤は姿こそスマートでいるものの、ヤクザの血が染み込んだ性格で、強いボスを欲し、盲信して身を捧げる。惣一は嘉藤との一夜(三日三晩?)が忘れられず求めるも、嘉藤は元から女好きで、惣一の男の部分(頭脳、先見性、カリスマ性)を尊敬するだけ、なし崩しに懐柔はされない。
淫乱で女々しく、女に嫉妬し、子供っぽい惣一が面白く、とびきり切ない。組長に頼られた嘉藤、嫌々な惣一に頑張るの図は滑稽で笑えました。
二人が相手に求めるものが全く違うので、同じ空間にいても共有していない温度差、キッツい言い回し(こんなに男を棒呼ばわりする作品ないでしょう…笑)、鋭い感情表現と側から見た時の滑稽さが木原先生独特で最っ高でした。
上下巻あることで行為描写が丁寧で緊張感が増し、いつもながら結末が全く読めません。
普通のBL(?)であれば、惣一の味を知った嘉藤が夢中になるとか、組長になった惣一に嘉藤が惚れ直してラブエンドとかになりそうなところ、邦画がヨーロッパ脚本?になったようなゾッとする展開が下巻で待ち構えていました。
重ねて言いますがこれから読まれる方がいれば絶対ネタバレなしでどうぞ。
1冊読み終える前に惣一の話が中断、山田達のお話になったので、その分は下巻を読み終わってから楽しみに読みます。