空はちゃんと晴れてる

sora wa chanto hareteru

空はちゃんと晴れてる
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神12
  • 萌×212
  • 萌13
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
3
得点
149
評価数
40
平均
3.8 / 5
神率
30%
著者
渡海奈穂 

作家さんの新作発表
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イラスト
野木薫 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
価格
¥650(税抜)  
ISBN
9784829626566

あらすじ

チャラいカフェ店員の青空に反感を抱いていた国上。
でも、見かける度に彼は人助けをしている。
ニコニコあっけらかんと「無職で穀潰しだから」と口にする青空に、心配になった国上はついつい説教してしまう。
それからすっかり懐かれて話をすれば、外見とは裏腹に純粋で不器用、まるで迷子の子供のようだった。
人のことばかり優先して、自分に自信がない彼を放っておけず…。

表題作空はちゃんと晴れてる

29歳,出版社勤務の雑誌編集者
21歳,あちこちで人助けをしている無職の青年

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数3

心と心の繋がりを、優しく綴る感動作です。

こちら、ちょっとほろ苦くはあるものの、とても優しく、読み終えた後はあたたかい気持ちになれる素敵な作品でした。
表紙そのままの、心が洗われる優しい物語なので、ちょっぴり心が疲れてる時なんかに沁みると思います。

誰だって、心に痛みを抱えていて、それを隠して生きている。
だからこそ、痛みをさらけ出せるたった一人に出逢える事が、何よりの幸福なんだなぁと。





内容ですが、堅物の編集者・国上×心に傷を持つ純粋で不器用な青年・青空による、優しくちょっぴりほろ苦い、主人公成長ものです。
主人公再生ものの側面もあると思います。

堅物で理屈っぽい編集者の国上。
高校生の姪を弄んだチャラいカフェ店員・青空に憤りを感じています。
そんな中、ひょんなキッカケから青空と交流を持つようになる国上。
周囲の噂とは真逆の、純粋で不器用な姿を知るに連れ、青空にどんどん惹かれて行きー・・・と言うものです。

こちら、国上の青空に対する印象ですが、最初は最悪なんですよね。
可愛がっている姪から「弄ばれた」と聞いていて、そのチャラチャラとした軽薄な外見にも反感を持っていたりする。
が、偶然の成り行きで彼と関わり合ううちに、話で聞いていた姿とは全然違う彼の本質に、なんだか落ち着かない気分になってくる。

う~ん・・・。
青空ですが、誰からも愛されてる、無邪気で明るい悩みなんか一つも無い青年に思えるのです。
が、読み進めるうちに、彼の歪さに気付いてくると言いますか・・・。
自分の事を「無職で穀潰し」だと言い、カフェや野菜の配達等、あちこちでタダ働きしている。
そして周囲は、それが当たり前だと思っている。
皆から可愛がられているのです。
でも、どこか軽んじられてもいる。
そして、自身の事を何もマトモに出来ないダメな人間だと、強い思い込みがある。
読んでいて、何とも不快な気持ちになります。
彼をここまで萎縮させてる「善意の人々」に。

で、そんな彼の狭い世界に現れた、これまでとは違う大人の男性・国上。
こちら、両視点で進むんですね。

おかしい事をちゃんと「おかしい」と言ってくれ、叱ってくれる国上に、これまでにない感情を覚える青空。
また、純粋で不器用過ぎる青空を、何故か放っておけず世話を焼いてしまう国上。
二人の交流がですね、すごく優しいと言うか素敵なのです。

何だろう・・・。
国上に心を許した青空が、実は童貞だと言う事を告白するんですよね。
また、それに悩んでいる事も。
すると、それほど悩んでいるのならと、童貞卒業の為に色々協力する国上。
その過程で、途方に暮れている青空に、経験させてやると言う体でキスしてしまう・・・。
ここからが萌えて仕方ない展開なのです。

自身の中の、青空に対する愛しさに気付く国上。
そして、自分の事を信じきり、無邪気に身体を預けてくる青空。
何も分かってない青空に、好奇心や快楽に流されて、同性同士でこんな事をするのは良くないと伝えるべきだと頭を抱える国上。

いや、本当に楽しいんですよ。
好きな相手に無防備に身体を投げ出されれば、どうにも抑えが効かず欲望のまま触れてしまう国上。
これまでとは勝手が違う恋愛に振り回されて、「俺は何をやってるんだ」と頭を抱えてる国上にニヤニヤしちゃうんですよ。
また、開き直り、青空を手に入れると決めた後はですね、やたら建設的で前向きになるのも面白いと言いますか。


あとですね、国上との出逢いにより、青空は新しい一歩を踏み出します。
自己評価が異常に低い青空。
彼が心のうちに抱えていたものー。
とても痛々しいのです。
だからこそ、「青空は何も悪くない」と強く言い切ってくれる国上に、胸がすくような心地と言いますか。
作者さんは「主人公成長もの」とおっしゃってますが、主人公再生ものの側面もあると思うのです。
彼の心の傷は、今やっと癒されたんだなぁと。

あとがきにですね、本編終了後のエピソードなんかが簡単に書かれてます。
これにも凄くホッコリしました。
これを本編で読めたら最高だったんだけどなぁ。

13

自己否定の殻を脱ぎ捨てて

今回は出版社の中堅編集者と
無償で人助けばかりする青年のお話です。

無職の極つぶしと言われる受様が
攻様との出会いで自分に自信を持つまで
もしくは、個人主義だった攻様が
共にいたいと思える相手を得るまで。

出版社に勤める編集者の攻様は
姉から高校生の姪がイケメン店員に
弄ばれて泣かされたと相談を受けます。

元気な姪の塞ぎこむ様を見た攻様は
仕事に託けてその店員がいるという
カフェへと向かいます。

このイケメン店員こそ今回の受様です♪

受様は明るすぎる茶髪に多数のピアス
長身だが細くチャラい若者でした。

古風な感性を持つ攻様は
個人的に受様のような軽薄そうな若者は
好きではない上に

色恋営業のホストぽい見た目なのに
受様の笑顔は警戒心がない無邪気さで
親しみを感じさせるもので
攻様は姪もこの笑顔に騙されたのかと
苦々しく思います。

仕事の関係でその後も何度が
受様の地元の街を訪れた攻様は
受け様が青果店の配達をしていたり
高齢女性をバス停まで送っていたり
女の子の送り届けをしていたり
している現場に遭遇します。

攻様はカフェで会った時に思わず
ここ以外でも働いているのかと
声を掛けてしまいます。

すると受様は笑って
基本無職なので知り会いの手伝いを
無償で買って出ていると言うのです。

仕事を貰えるだけで嬉しいから
お金なんてもらえないという
受様の言い分に攻様には
違和感しか感じないのですが

客の1人でしかない攻様には
現状に納得して働いている受様に
何もいう事は出来ません。

しかし、
後輩社員が大切な原稿を
ひったくりに奪われた事件で
思いがけず受様に助けられ
攻様は受様と急接近します。

攻様はなぜか
受様が気になりまくりで!?

ひょんなことから知り合った2人が
親しく付き合う中で少しづつ変わっていく
ハートウォーミングな成長物語です。

連絡を受けた攻様が
一縷の望みと事故現場近くを探ていると
子犬を散歩中らしい受様に声を掛けられ
手伝いを申し出られます。

そこからは受様の人脈によって
街の人々が次々と手助けしてくれて
原稿は鞄ごと無事に発見出来ました。

攻様は受様の力があったからだと
とても感謝するのですが

当の受様は自分は何もしていないし
皆が助けてくれるのも頼りないからだと
なぜか自分を卑下するような発言をして
攻様は歯がゆくなってしまうのです。

受様は駄目なんかじゃないから
もっとしっかりしてやりたいことを見つけて
それを仕事にできるように努力すべきだ

思わず説教してしまった攻様ですが
受様は自分を認めてくれる言葉に
大きく目を見開いてしまうのです。

受様が攻様の第一印象と違う
純真で真面目なのに
ネガティブな思考の持ち主なのは
彼の過去に原因がありました。

受様は元々整った顔立ちに
年の離れた2人の姉に良い様にいじられ
華やかな容姿になっていて
それが攻様の姪がしたような誤解を
生んでいたのです。

基本は攻様視点ですが
ところどころに受様視点が入るので
2人がお互いに惹かれ合る様子に
ハラハラ&ワクワクで
とても楽しく読めました。

渡海さんのキャラクターって
一癖二癖ありまくりで
恋のゴールがハピエンなのはお約束でも
いきなりの曲がり角があったり
思いかげない急カーブがあったりで
恋の道筋はいつもドッキドキ (^_-)

今回もお話のメインとなる受様は
とても自己否定が強い青年ですが
攻様もちょっと変わってます。

攻様は無駄を嫌う合理主義者で
恋人との逢瀬も感情のままに
動くことがなかった男なのです(笑)

恋人ともそれなりの時に
それなりな感じで関係してきた攻様が

受様には何でもなくても会いたくて
指導と称してついつい手を出しちゃう
って展開がけっこうMYつぼでした♡

受様がイラストの仕事を得て
仕事に恋に頑張るところでラストでしたが
もう少し2人の続きが読みたいです。

今回は本作同様思い込みから始まるお話で、
鳩村衣杏さん『ドアをノックするのは誰?』は
いかがでしょうか。
両想いなのにすれ違う展開が面白いです。

4

良いのか良いのかとちょっと不安だった

渡海先生買い。どんなお話かさっぱり予測不可能だったのですが、読後感は良かったので萌2より萌です。途中までイケナイことしているような、やや落ち着かない気分でしたが、最後は「ああ良かったなあ」という気持ちになったお話、「本編260Pほど+あとがき」です。

出版社勤務の国上(くがみ)は、仕事の打ち合わせに行く前に後輩とあるカフェを覗きます。姪っ子が「悪い人なの」と泣いていて「いい噂を聞かない」という男が店員としているらしいと聞いて、「姪っ子を泣かせるヤツはどいつだ!」とぷんすか様子を見に来たのです。その彼はニコニコ、いろんなお客さんから声を掛けられ、フレンドリーに働いている様子で、やたらキラキラしいのですが・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
受けの母、姉二人、近所に住む仲間たち多数、攻めの元カノ(いい人)、カフェ店長等色々。割と活躍するのは元カノぐらいかな。

**不安になった理由

受けさんの言動が幼く感じられたんです。最初、???頭うって記憶障害とか???と思ったぐらい、優しいというか、ふんわりしているというか。そして、冒頭に書いた通り、「悪い人」という情報に基づいて読んでいるので、「? こいつ悪い奴ちゃうの?」と盛大にクエスチョンマークを出しながら読み進めてしまいました。でも恋愛感情のれの字も分かってないような印象だし、なんだかいい子っぽい若い子を、「社会にもまれて俺は足を地につけて生きてる」的なおやじっぽい攻めが、なんだか開発しはじめて、え、え、いいの?実はそんなスレてない子に手を出したらあかんのんちゃうん??と、なんとも複雑な気持ちに。

かなり最後の方まで、そんな複雑な心境で読み進めたので、最後、攻めが腹くくり、家に呼び・・というところでも、「なだなんかある?なんかある?」とドキドキでした。

無事、将来像を描けるようになって、すとんと安定幸せコースに行ったので、本当に安堵感は大きかったです。絵を好きなように描いて、のびのび生きていってくれると嬉しいなと思った受けさんでした。絶対男子を好きにならなさそうなしっかりもの男子が、ほわほわ男子に墜ちていくというお話、気になった方は是非。ああ、これ二人でしっかり生活始めてからの後日談とか読んでみたいな。

2

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