パラスティック・ソウル endless destiny

parasitic soul endless destiny

パラスティック・ソウル endless destiny
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神50
  • 萌×26
  • 萌3
  • 中立1
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
13
得点
284
評価数
61
平均
4.7 / 5
神率
82%
著者
木原音瀬 

作家さんの新作発表
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イラスト
カズアキ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
パラスティック・ソウル
発売日
価格
¥660(税抜)  
ISBN
9784403524738

あらすじ

美しい銀色の髪と耳、尻尾を持つハイビルアのハルは、年下のジェフリーの一途な想いに応える形で夫婦となった。だが寄生体の交換期限”フェードアウト”を迎え、ハルの精神は隣家に住む五歳の男児アーノルドに移される。黒髪に黒耳、黒尻尾と容れ物は変わっても、そばにいるのは彼の愛した魂。それなのに、ジェフリーの心はいつまでもハルだけを想っていて…。

表題作パラスティック・ソウル endless destiny

大学生,19歳
大学教授,27歳

同時収録作品(表題作)endless destiny

大学生,18歳
大学講師,35歳

同時収録作品rainy

同時収録作品love life(書き下ろし)

大学助手,26歳
大学教授,43歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数13

とある種族の愛について

シリーズ本編とは異なった主人公・種族の物語。
なんとなく、気楽には読めないお話な気がしたんです。
なぜなら木原先生作品だから。
その予想は見事に当たっていて、終始胸を鷲掴みにされるようなストーリー展開と、根底にある簡単には答えが出ない大きなテーマに夢中になってしまう。
読んでいてすごく苦しいのだけれど、あっという間にこの作品の世界観に魅了され、とある種族の愛についてが綴られた数十年にも渡る物語から目が離せませんでした。

前作までの「願いの叶う薬」を巡る3冊も素晴らしかったのですが、こちらのパラスティック・ソウルシリーズは毎巻読めば読むほど圧倒されるというか、前作をしっかり超えてくるんですよね。
読み手はこの作品の世界に生きているわけでもないですし、耳と尻尾の生えたビルア種も、高度な知能を持ったハイビルア種も、人に寄生をする精神体・Oはもちろん、作中のごく普通の人間の生活ですら見たことも聞いたこともありません。
ようは見ず知らずの人と世界の、それもSF要素のあるお話だというのに、なんだか奇妙なほどにリアルなものを感じるのです。
木原先生は、人間の感情や環境・関係性のままならなさにざっくりとメスを入れるように描くのが本当に巧みな作家さんだと思います。時に生々しいほどの上手さ。
だからこそこんなにも苦しくて残酷で愛おしい愛に溢れたお話になっているのではないでしょうか。

性別を持たず、25年をリミットに人から人へと渡り歩くように寄生しなければ生きていけない生命体。
愛を知らず、やがて愛を知った1個体と、愛を知らない1個体とは知らずに愛した1人の男性。
始まりから結末まで非常に読み応えのある、心揺さぶる素晴らしい作品でした。
次巻は一体どんなお話なのかと今から読むのが楽しみです。

2

苦しいのに目が離せない

ハイビルアのハルは大学教授。これまではずっと男性体だったが、初めて女性体に寄生した。
同じく美しい女性体に寄生し女性性を謳歌しているビアンカと異なり、着飾ることもせず言い寄る男がいても袖にして研究に没頭する。
そんなハルに、大学1年生のジェフリーが恋をした。どんなに振り払っても、絶えず愛の言葉を贈る青年にほだされて、交際するようになる。
寄生体交換の日はどんどん迫るなか、二人は結婚し、ハルは妊娠する。
というところから始まる物語。


たいへん考えさせられました。
「パラスティック・ソウル」1~3巻を読んで、この世界の仕組みがわかった状態で読む醍醐味。番外編です。
転生を繰り返す、永遠の命。
ハルがアーノルドに転生し、中身は同じだけど、見た目はまったく違う。
ハルは女性、ジェフリーよりも8つ年上。アーノルドは男性、ジェフリーより17歳下。
知らなければ別人です。ハルをこの上なく愛しているジェフリーは、子供から大人に成長したとしてもアーノルドを愛せるのか。
ハルを愛するのと同じ気持ちでアーノルドを見られるのか。
ハルもアーノルドも同じ魂が宿っているのに、絶対に自分を見てくれないジェフリーを思って泣くアーノルドが切ないです。
中身と外見はセット。いかに心を好きだと言っても、外見が違えばそれはもう違う恋になってしまう。
同じ作者の「美しいこと」を思い出しました。
また、恋愛ではないですが、ムーミンが化け物になってしまったときママだけがムーミンだと見破った話があるのですが、それも思い出しました。
ジェフリーがアーノルドの思いを受け入れるまでがもう本当に胸が痛くて、応援しつつも、ビアンカ(このときはキミー)じゃないですが新たな人生を歩むべきだと思ったりもしました。
気持ちは分かりますが、愛した人の近くに転生するなんて、苦しいしかないと思うのです。
もういっそのこと、全然違う場所で違う人になって、ゼロからやり直した方がいい。
だから多くのハイビルア(O)はそうしているのでしょう。記憶だけ残っているのは辛すぎます。
そして、このお話、そこでは終わらず、また転生します。
こうなってくると、永遠の命と普通の人間の恋の話でもある。シザーハンズです。盛り盛りのてんこ盛り。
もう木原先生はなんてお話を考えるのだろうと脱帽し、苦しくなりながらも夢中になって読みました。

巻末にSSが2本収録されています。
ジェフリーとアーノルドのラブラブなお話「love life」もよいですが、なんといってももうひとつの「Rainy」です。
表題作の後日談にあたるこのお話。いろいろ衝撃でした。短いのにこの破壊力。
「Oを滅ぼす」というこの薄暗い想念。鳥肌ものでした。

1

終われない魂(っω<`。)

なんて言うか、グッと胸に刺さる。
苦しくて切なくて地団駄踏みたくなる(>_<)

「願いの叶う薬」篇が終わり、謎が解けたと思ったら、精神体だけの種族『O』。
5歳児のビルア種の肉体にのみ寄生し、25年経つと次のビルア種へと移行して、永遠に生きていける種族。

今作は、そんな永遠の命を持つ『O』の1人のお話。
まずは、女性体の『ハル』。
年下のジェフリーに愛され、絆される形で夫婦に。
フェードアウトした後、次の身体『アーノルド』へと寄生。

アーノルドとなってから、ジェフリーへの愛を自覚し、彼の愛を欲するようになるアーノルド。
痛々しいくらい必死に愛を乞うひアーノルドが切ない。
『ハル』が亡くなった後も、ジェフリーの心はハルだけを大事に愛していて。
魂はハルなのに、認識してもらえないジレンマ。

やっと愛し合えるようになったのに、迎える次の身体への乗り換え。
特別になれない苦しさと、置いていかなければならない苦しさと。
そしてまた、愛し合った者だと気づいて貰えない苦しさ。

今作、アーノルドが可哀想でやるせない。
切なきゅんはハピエンだからこそ萌なので、こちらは苦しいなぁ('A`)
でも、物語はとても面白かったです。

これから辿るアーノルドの行く先…。


イラストはカズアキ先生。
表紙が全て美しくて素敵です。

1

時計柄のネクタイ

1〜3巻の登場人物にまた会えるかと思いきや、ほぼ完全に切り離された話になっています。交差するのは例の動画ぐらいでしょうか。
今作はひたすらハル視点でまるっと一冊。アーノルド、ナイルズ、クラインと入れ替わってますがハルはハル。まさに作品の柱はそこ。ハルの精神体が傷ついて、ジェフリーが全てを知るところになる流れかと思いましたがそうはならず。となるとヴィンセント・クラインが革命家になるのかな?完全体のままに革命精神を持つことはできるのかな?
BL作品にはままいる凄まじい執着心の主役陣。主役2人とも凄まじい執着心なのに矢印が向き合う時間は短いというところは珍しい。

Oの行く末が気になります。次巻購入してから一気読みすべきだった。ときにジョン&ニコラス以来、ケモミミであることがあまり効果的に使われていない気がして。まぁケモミミは趣味!で終わる話。

0

外国人の読後感

1~3巻を全部読み終わったら、4巻には少し読み気がなかった。いよいよ読み始めると、すぐに物語に吸い込まれ、夢中になった。最後のシーンにたどり着いた時、涙がもうめちゃくちゃだった。
2巻のdear brotherより切なかった。もう二度と読み返すなんか嫌だと思ったが…やっぱり木原先生がすごいなぁとしか思わない。
日本語の小説に泣くほど痛くて切なくなったとは思わなかった。いい物語はやはり言語の壁が越えるものだと感心する。

2

一番心にきました…


全シリーズの中でこの巻が一番読み進めるのが辛かったです。
気が乗らなくて数日開けずにいたりもしました。

あらすじにある通りですが心抉ってくる内容です。
涙流れました。

せめてジェフリーが生まれ変わりの可能性などに夢見てくれたらとも思いましたが、最後まで別人としていましたね。
アーノルドの執念は凄かった…!!
でも2度も愛してもらえるって凄いですよね。
魂が同じでも気付かず容易に好きになってもらえないという現実が物語じみてなくだからこそ苦しくてのめり込みました。

最後まで書ききりその後に収録されている甘い過去話を罪滅ぼしと言う先生に一生ついていきたいです。

1

愛に時間を

パラスティック・ソウルのシリーズ、全巻読み終わりました。
このシリーズ最終巻は1~3を順番に全部読了してから読んで正解でした。
1~3巻は、同じ時間と空間を行きつ戻りつつ、複雑に交錯しあうキャラクター達を通して、ハイビルアの謎に迫っていくといった趣の物語で、どちらかというとBL的なラブストーリーよりは、SF色の方が強めな感じでしたが、このendless destinyは、その謎を知った上での、愛の本質はどこにあるのかに迫るお話でした。
時間の残酷さを描いたお話には、無条件に弱いので、随分泣かされてしまいました。


1

読後にわかるendlessdestinyの意味

SFは苦手なジャンルだったのですが、モフモフに惹かれて思いきって1巻を手にしたのが最後。頭が混乱しながらも気がつけばシリーズを一気読みしていました(笑)もの凄く世界観に引き込まれます。

そしてたどり着いた最新刊。
一番読み進めるのに苦労しました。もう辛すぎて辛すぎて涙で紙面が滲みまくり。

今までは肉体同士だった物語も、今回は肉体と精神(完全体)。しかも25年と期限付き。いくら中身が同じでも容姿が違えば相手の反応は変わる。正体も明かせない。それでも相手を想い求めて愛とはなんて重たくて切なく美しいのだろうと思わずには居られなかったです。
そして本編の最後で撃沈。本当にしんどかった。
だから、書き下ろしは個人的に萌えより余計切なかったです。
苦しい展開、目を覆いたくなる描写も多いですが、色々深く考えさせられたし終わり方も個人的には有りなので読んでよかったです。
未読の方もぜひ1巻から読んでほしいです。が、他の方も言うとおり読み手は選ぶ作品です。

0

ハイルビア種の想い

ボーイズラブというジャンルでの中立評価と、お話としての神評価がミックスされて萌。4巻楽しみにしていましたが、気分的にはひょあーと落とされて終わりました(泣)雑誌掲載のお話260P弱+雑誌でのサービスペーパー7Pほど+書下ろし25Pほど。ハイルビア種の救いはどこへ・・・

endless destiny:
ハイルビア種の美しい教授(♀、27歳)に恋に堕ちたジェフリー(19歳)。ハイルビアなのであと3年でフェードアウトする運命。ハイルビア種の真実が、フェードアウト前のハイルビア種であるハル達自身により読者に明かされます。そして迎える悲劇・・・・うあああ。私的には救いがなくて絶望でしかなくて。なんでという気持ちでいっぱいのまま、一旦終わり。

rainy:
自ら死を選んだはずだったアーノルド。その絶望が新たな希望?、狂気?となったのかというお話です。ここで終わりなの?(涙)

love life:
少し時系列が戻って、アニーとジェフリーの甘めお話+虫の出番。

という構成でした。

人生も運命も美味しくない。上手くいかなくて当たり前。だから木原先生の書かれたお話は、納得がいくというか、うっそだーという感じがしない。なんだけど、本の中ぐらい夢を見たいんです、先生。3巻で読み終えることは出来なかったのだけど、この本を読んで突き落とされることになるとは。ハイルビア種の想いはどこへ。先生、読者をもてあそぶのが本当にお上手でw

先生にまんまと突き落とされたので、お話は神でした。はあ。さすがと言わざるを得ないのだろうか。厳しい。あとがきにあった「このシリーズには行き着きたい場所がある」という先生のお言葉はどのような事を意味しておられるのでしょうか。私はまだ読みたいです。救い上げてください。

0

マーメイドよ、人間に恋するなよ(涙)

『パラスティック・ソウル⑷』
木原音瀬先生 読了

…。堪えました。かなり堪えました。ここまで来るとは…流石にこんな話、木原さんしか書けない(書かせてもらえない)でしょうか。編集部様、ありがとうございました!(涙)もう目が文字追っていく度涙がどんどん溢れてくる有り様で…最近木原さんって昔みたいに(『WELL』とか『Rose Garden』とか?)極めて痛いの書かなくなってるな…って思ってたのですが、読み終えて気持ちを落ち着かせながらも今はまさに「来たー」って感じがたまらなく爽快そのもの。やっぱり木原さんの作品にはハズレがありません。木原音瀬っていうお名前がすでにわたしの中で神作品保証同然です。

そんな話はどうでも良いのですが、感想を少し垂らします。今回の作品はざっというと、(当社比)『COLD』シリーズの切なさと、『箱の中』の切なさを合わせて、その倍の絶望感と悲しさが詰まっている1冊でした。新書館様の時の元々あった2冊も読んだ時辛くて辛くて、すごく好きな作品だけど2度と読みたくないと思いました。今回文庫化を機にもう一回(また泣きながら)読んで、4巻に進もうとしたら、
まさかの新しいキャラの話で、正直一瞬ちょっとガッカリはしていました。私の中では、スピンオフやら続編やらで同じ世界観を続く違う話はだいたい個人的に原作に比べてしまうと劣っていて、でもそんな事思う余裕もなく読み始めたらすぐにこの理不尽な物語にどんどん引きずられていく。

愛ってなんなんでしょう。そんな疑問を抱きながらこの魂がこの世に浮遊していて答えを探し続ける。ふとマーメイドの話に重ねてしまいたくなる。

マーメイドは人間を愛してはいけない。しかし彼女の美しい心はやっぱり王子を憧れて、命をかけて痛い思いをたくさんして、愛をようやく手に入れたのに、最後の最後に結局愛する人の他人と睦み合う姿を見せられ…

マーメイドの美しい魂は泡になって天国へいった。この魂はどうなんだろう。人間は愚かで、不器用と理性的に物事を判断していた魂が、初めて愛という感情の素晴らしさを味わい、永遠の命を持っていても愛する人を引き止めることが出来ないことを思い知らされ…初めて人間の限りある命を憧れるという魂が愛おしい。

膨大な知識を持ちながらも、愛することを知らないというのは、これほど寂しいことかと。人を愛すると、いくら頭が賢くてもこれほど盲目的になってしまうかと。あの魂も、ジェフリーも、力尽くしてお互いを愛していても、いつもいつも、最初から最後までどこかずれていて、

最後の終わり方がダメな人も絶対少なからずいるかと思いますが、私はこれで逆にあれほど色々あった2人にこそ、一番潔く綺麗な終わり方かと思います。下手に無理矢理にハッピーエンドにするほうが逆に惜しいくらいです。

ここで話変わりますが、ジェフリーは最後まで真実を知ることもなかった。もし知ったらどうなるでしょう。自分が愛したのはハルの体なのか、アーノルドの体なのか、あの精神体なのか、よほど混乱してしまうでしょう。知っていても、精神体はある意味ハルを殺し、アーノルドを5歳児にした犯人とも言えるし、精神体を愛するのか、憎むのか、元々繊細な人だし、2種の感情が頭で混ざってしばらく立ち上がれないでしょう。
なのでもしやこの精神体が粉々になって天国に行く日が来て、2人(?)が天国で会えたらまた長〜い修羅場になるのではないかと今妄想しながら…でもあの精神体は根気強さ半端ないから、10年でも20年でも追いかけてたらジェフリーも曲げてくれるのかな?とどうでも良い話を一人で思いながら少しほっとする。


今回も、素晴らしい旅をさせて頂いて、先生に感謝です。(木原さんの本読む度旅しているような気分を味わわされて、毎回不思議な体験をさせられています笑)この作品は絶対好き嫌いがはっきり分かれる作品と覚悟しているのですが、私は完全なる「神評価中の神評価」派です。

4

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