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sabaku no ouji to shinobi no koi
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
野原先生のクスっと笑わせる文体、トラブルと言えば嫉妬、カワイチハル先生のとにかくキュートな王子と、童貞だが異様にキスがうまい忍者。
精神的圧迫のない、楽しく読めるBLです
忍者×アラブというトンチキ設定だけどぶっ飛んでないんですね、不思議と。
攻め受けどちらも誠実でウブなキャラなので、ひたすら微笑ましいというか。
あ、でもそこはアラブの王子様。
日本の庶民の生活を体験したいと来日するんだけど、楽団を引き連れてきたり、一ヶ月の滞在のために分譲マンションを購入したり、学外にテント張って全員に菓子を振る舞おうとしたりと、スケールのデカさはやはりアラブ。
そして念願の日本で、目に入るもの全てが物珍しい!といった王子様の様子がとても微笑ましい。
アラブの王子様であるサラム(受け)がとってもチャーミングなんですよ!
母が北欧系ということで、抜けるような白い肌、金糸のように艶やかな髪、そして真っ青な瞳。
小説だけど、カワイチハルさんの挿絵との相乗効果で、その輝くばかりの美しさが容易に目に浮かぶんですね。
そして「育ちが良い」を地でいくというか、天真爛漫で、無邪気で、聡明で、とにかく素直。
性格も容姿も一点の曇りもないっていうんでしょうかね、とにかく存在そのものが、キラッキラとまばゆい。
あぁ、こんな子に好かれたら、どんなに硬派で朴念仁な隼人(攻め)でもクラっとしちゃうわ……と。
初めてサラムを抱くときに、男に恋情を抱いたことは一度もなかった隼人がこう思うんですね。(というよりも、修行に明け暮れていたので恋とは無縁だったというほうが近いかも)
「サラムが女だったらなどと考えたことは一度もない」
「サラムがサラムだからこそ、恋に落ちた」
実を申し上げると、私はノンケ男が男を好きになるときの「男とか女とか関係ない、お前が〜」というアレが好きじゃないんですね。
食傷ぎみというか、そんなわけないだろ……と思ってしまうというか。
ゼロじゃないとは思うけど、そんなに至るところで頻繁に発生するか?みたいな。
そういう天邪鬼な私なんだけど、この「サラムがサラムだからこそ」にはすんなり同意できちゃった。
そのくらいかわいい。
そして単にかわいいだけではなくて、意思を持った一人の人間としてしっかりと成長していくところも良かったです。
電子書籍で挿絵あり。
本物の忍者×本物の王子です。
挿絵のおかげで受のサラムがいかに可愛いかが如実に伝わってきます、ありがとうございます。
受のサラムが日本の忍者村で出会った攻の隼人を気に入って、3年後もう一度攻に会いに日本に短期留学に来るところから始まります。
ストーリーとしては基本サラムのラブアタックを、隼人が「相手は異国の王子様だから」と、額面通り受け止めずかわし続ける感じです。早く両思いになれよ〜〜ともどかしい気持ちになります。いざ両思いになると…この忍者、ムッツリですね(笑)。
攻の隼人は、忍者として修行しているので、肉体的な鍛錬はもちろんしていますが、それだけでなく語学も、ストーリーの終盤には大学に入るための勉強も、普通の人にはできないほどの努力を積み重ねる人。ただただすごい。そして修行のしすぎで恋愛をしたことがなく、受のサラムに心を乱される度に、「修行が足りない」とかいって自分を戒める始末。いやいや、修行どうこうの問題じゃないんだよ、君(笑)とツッコミを入れながら読めます。
受のサラムはアラブの王子様ですが、お母さんが北欧系でサラムの見た目も白人風。常に厳重な警備に守られているサラムが日本に留学するため、周囲を説得するのはものすごく大変だったはず。しかも日本語もめちゃくちゃ上手です(口語表現は苦手なようですが)。こちらも攻に負けないほどの努力家。それでいて、王子様然としていて一般人とは明らかに考え方や価値観が違うところも良く伝わってきました。
普通ではない設定は面白いのですが、全体的にはそこまで強く印象に残る点はなかったかも。サラムの従者・ファハドは良い味出してました。
アラブの王子と忍者、という普通なら一緒に並ばないであろう言葉が並ぶびっくりな組み合わせですが、主従ものみたいな感じでした。
ただ、本当の主従である王子とその護衛の攻防戦も楽しかったです。
<あらすじ>
忍者村で忍者のパフォーマンスをする隼人(攻め)は正真正銘忍者の末裔です。
3年ぶりに来日してきたアラブの小国ラファード国の第4王子・サラム(受け)の護衛兼世話係としてサラムと一緒に聴講生として大学に通うことになります。
期間は一か月。
なるべくたくさんの経験をしてもらおうとする隼人ですが、無邪気なサラムの行動に振り回されっぱなし。
珍しい攻め視点。
隼人はサラムが忍者村に遊びに来た際、とても気に入られ懐かれます。
日本に残りたいと駄々をこねるサラムを宥めたのは隼人の主人の雅典でした。
「周りの皆を説得して再来日した際には隼人を世話係に付けよう」と。
サラムは納得し帰国しますが、隼人は再来日することは難しいだろうと思っていました。そんな隼人の予想を裏切り、3年で日本語を習得し父王や兄たちを説得して来日してくるのです。
初めは、過保護すぎる護衛との攻防やラファード国の慣習を持ち込もうとするサラムへの教育的指導などで大わらわですが、慣れてくるとサークル活動に参加したり祭りに出かけたりと二人で日本の様々なものを体験する様子がとても楽しそうでした。
特に大きな事件が起きませんが(小さいものはありますが)、サラムと一緒にいるうちに隼人がサラムに惹かれていく様子がよくわかります。
サラムはマイ手裏剣を作り投げる練習をしていたくらい忍者に憧れていていました。最初の手裏剣体験の時の護衛たちの慌てっぷりやげんなりした様子が、如何にあちこちいろんな方向に飛ばしていろんなものを壊してきたのかがわかってが笑えます。(某忍者アニメの良い子たちのよう)
世間知らずで無邪気で鷹揚で、身体が弱かったこともあり過保護に育てられていますが、芯が強く行動力もありただ守られるだけの王子ではありません。
何があっても自分の目的を果たす強さは好感が持てます。
隼人の方は少しづつサラムに惹かれていく感じでしたが、サラムははじめからあからさまでした。
でも、始めサラムは抱きついたり、「私の忍者」「私のもの」と言ったりずっとアピールし続けていたのですが、最初の突飛な行動のせいでアラブの王族は従者にはこういう態度をとるのだろうと勝手に解釈してスルーしているのが、サラムにとってはとても気の毒でした。
隼人にしたら、自分は雇われている立場だと思ってるし、まさかそんな理由だとは思ってなくて、サラムのアピールに気づかず動揺するたびに「修行が足りない」と何度も何度も呪文のように呟いているのが笑えます。
サラムと過保護な従者たちの攻防も楽しいです。
何をするのも危険だといって、サラムの行動を制限しようとする従者たち。
普通の暮らしがしたいとマンションを買って住み始めたときは、心配しすぎて部屋の中に隠しカメラを設置したり、サラムが生まれたときから従者をしているファハドにいたってはバスルームの天井に潜んでいたり(忍者か!)と面倒くさいことこの上ない人達でした。
サラムのお願いをファハドが情でもって対抗すると、そのさらに上をいく情に訴える作戦で許可をもぎ取るサラムとファハドの攻防戦も楽しかった。
それでも、皆サラムが大好きで心配しているが故の行動なのでなんだか憎めません。
隼人の主は別にいて自分のものにはならないと悟ったサラムがとった行動でちょっとすれ違います。
これは自分の立場を考えていない軽率な行動でしたが、それでも恋するサラムにとって周りが見えなくなっていたんだと思うと切なくなりました。
結局、「雨降って地固まる」で、お互いがちゃんと向き合って本音をぶつけ合ったことで丸く収まって本当に良かったです。
その後も鉄の意思で、隼人と一緒にいるために周りを説き伏せサラムはきっと両国にとって良い架け橋になってくれることでしょう。
電子限定おまけ
「鍋と炬燵と洗濯ネット」
大学に進学し二人の同棲生活を始めるにあたって、買い出しに出てきた隼人とサラム(と、ファハド以下従者たち)。
サラムはなんでも100円で売っているお店に大興奮。
洗濯ネットを見つけては使い方を聞き、便利だと言ってファハドたち従者の分も買うサラム。
普段外商が自宅にやってきて買い物をするサラムは自分で商品を手に取り選べることが楽しくて仕方ありません。
続いて夕飯の買い物です。
夕飯メニューを考えたサラムは炬燵で鍋が食べたいといいだします。
早速、家電量販店で炬燵を買い、鍋を作ることにする二人。
この時、いち早く荷物持ち要因を用意するなどファハドがいい仕事をしています。
食べさせあいっこをして新婚さんのようだと喜ぶサラム。
熱熱の食材を「あーん」され悶絶しながらも、このかわいい恋人のためなら火でも飲み込む決意の隼人。
結局、大して食べないうちに隼人がいたずらを始め、のっぴきならない状況になりベッドに行く最後まで甘々な二人でした。
念願の大学生活の始まりに喜びいっぱいの二人の様子がすごく楽しそうでした。
最初のころは過保護すぎて困ったちゃんな感じだったファハドも、炬燵で鍋と言われても危ないとか言わずすかさず炬燵を運ぶ要員を用意するんなど丸くなったなぁと感心しました。
でも、ファハドが二人の関係に気づいたら一波乱あるかもしれませんね。
野原先生買い。最後の方で、攻めにもうひと踏ん張りしてほしかったなあと思ったので中立より萌です。本編230Pほど+後日談17Pほど+先生のあとがき。純粋頑張る天使ちゃんがお好きな方にはよいかも。
夏休みを迎えた「秦野忍者村」の忍者ショーで、軽々と動き回る隼人。観客の中に青い装束をまとった少年がいることに気付きます。その後手裏剣体験で教えたり、ホテルでのパーティで再会したりして、その少年=ラファード王国の王子にすっかり懐かれた隼人。サラムは必ず日本に戻ってくるといって一旦帰国したのですが・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
攻めの主(スピンオフでてきそうな良さげな方なんだよな)、受けの従者(健気だわ・・・振り回されっぱなし)、大学での学友少々。従者のファハドが楽しいw
**攻めにもうひと踏ん張りしてほしかったところ
アラブの王子に、陥落するのはいいとしても、手を出しちゃいけないと思ったんです。溺愛されてそうな王子なんだから、うっかり手を出したら向こうの父親(=国王)が怒鳴り込んでくるんじゃないかと思ってw。それも楽しそうだなと思うのですが、とにかくもう少し踏ん張ってほしかった・・・
「言い寄られても「だめです」などと頑張る」→「不慣れな受けがひたすら誘惑するのに負けて敢え無く押し倒す」という展開だと、嬉しいなあと思ったのです、すいません。
天真爛漫な受けさんは可愛かったのですが、硬派っぽく思った攻めがさくっと手をだしたところがちょっと残念だったお話でした。
今回は観光施設で役者として活躍する忍者の末裔と
アラブの王国の第四王子のお話です。
忍者に憧れる受様に見染められた攻様が
受様の想いを受け入れるまでの本編と
受様視点よりでの後日談を収録。
攻様は室町時代から続く
由緒ある秦野家に忍びとして仕える
松下家の人間です。
松下家は秦野家の繁栄のために
忍びとして日々尽力してきました。
攻様は抜群の運動神経を見込まれて
松下家26代目の養子となって以降
27代目として様々な修行を積みながら
秦野家当主に仕えてきました。
攻様の父は
秦野家財政の起爆剤として
アミューズメントパークとして
「秦野忍者村」を創って成果をあげると
海外での忍者ブームに乗る国を回って
「忍者スクール」を創設し
攻様は忍者村の留守を預かり
看板忍者として活躍しながら
パークを切り盛りしいました。
そんなある日、
アラブの人族衣装の一団が
忍者ショーの客席の一角を占めた中
攻様の活躍に熱い視線を送る
青い衣装の少年がいました。
この少年こそが今回の受様になります♪
受様は攻様の指導の元
手裏剣体験を楽しみパークを去りますが
後日、
中東から来日した要人の歓迎会に
招かれた秦野家当主に同行した際に
その要人の弟だった受様と再会します。
攻様は当主の付き人として
パーティに参加しただけ(笑)ですが
受様は「運命の再会」と喜んで
日本に残りたいと切望します。
しかし、
受様の来日は兄王子の来日について
強引に決行した事であり
そのまま滞在等出来るはずはありません。
秦野家当主の執り成しで
受様が真頼を説得して再来日出来たら
受様の世話は攻様が責任を持つことになり
受様は再来日を約束して帰国します。
そして3年後、
受様は日本の大学に特別聴講生として
1ケ月の予定で再びの来日を果たし
攻様は受様の護衛を兼ねて
受様とともに大学に通うことになります。
受様は背丈は伸びたものの
3年前と変わらないキラキラした表情で
攻様をみつめ「私の忍者」と囁いて
攻様の手に唇を寄せてくるのです。
攻様は自分に熱烈な好意を持つ受様と
どんな1ケ月を過ごす事になるのでしょう!?
日本の忍者に憧れ来日した受様と
主家のために忍の者として生きる攻様の
ラブコメディになります。
アラブ人が主人公のお話だと
容姿も性格もゴージャスなアラブの王族が
お気に召した日本人を強引に攫って
後宮にてあれこれしちゃうとか
後継問題が絡んで命を狙われたりとかが
わりに王道な展開ですが
本作はラブコメなので
後宮とか暗殺とかスリル系の要素とは無縁、
純粋培養なアラブの箱入り王子様が
凛々しい日本男子に恋をして
彼を手に入れるまでの恋愛路線が
主流となっております。
受様は再来日のためを
日本語を勉強したりとする努力家で
王族らしく鷹揚で素直だけれど
けっこうマイペースなところは
アラブな王族なイメージを彷彿とさせて
とっても面白かったです。
攻様にも真っすぐなアプローチをするのですが
攻様は受様の言動を外国人ゆえ、王子様ゆえと
フィルターが掛かった受け止め方をしていて
受様の想いはなかなか伝わりません。
攻様が受様と自分の気持ちに気付き
恋人同士となるまで楽しく読ませて頂きました♪
受様の真意は伝わらなくても受様の言動は
ちゃんと攻様をドキドキさせちゃうから
そのすれ違いぷりも楽しかったです(笑)
基本ドタバタラブコメディなので
勢いで押された展開な感じもあり
今回は「萌」評価とさせて頂きました。
野原先生のお話は
何か裏がありそうというか秘密がある
ちょっと捻ったお話のほうが好みだな (^_-)
今回はアラブの王族が受様という設定で
砂床あいさん『王様に告白したら求婚されました』
をおススメ作とします。
受様が王族ってほんと珍しいです。
ともかくかわいいラブコメでした。
攻め様である忍者の隼人。
幼少期に養父に引き取られて以来、立派な忍びになるべく日々精進してきた人。
色恋沙汰とはてんで無縁な生活だったようで、真面目というかにぶいというか…。
なので、25歳で童貞だけど、気持ちを通じ合った人としたいんだから、と気にしてないもようです。
恋愛不慣れな分、受け様のサラムの言動に振り回されて、その度に精進が足りん、と反省してる姿がかわいかったです。
受け様のラファード国王子のサラム。
まさに天真爛漫の王子様。
欲しいものは欲しい、と素直に告げるけど、相手の気持ちを考えて引くことはできるし、欲しいものの為に頑張る事ができる、こちらも努力を惜しまない人。
愛を与えることも求めることもストレート。
砂漠の王子様なのに、傲慢でも腹黒でもないかわいい王子様です。
手裏剣にあこがれて忍者村を訪れて、そこの忍者ショーで隼人の忍者ぶりに魅了されたサラム。
周囲を説き伏せて、日本の大学へ1ヶ月の留学をもぎとり、その間の護衛として隼人と生活を共にする訳ですが。
サラムはけっこうわかりやすくアプローチしてラブラブ光線出してるのに、隼人の方が、王子様だから、習慣の違い、でスルー。
振り回されて精進が足りんって言ってる隼人に、いや、ソレって嫉妬だから!!独占欲だから!!!精進どうこうじゃないよ、と何度言いたかった事か。
あと、初えっちの後で目覚めた時、いつもと同じ時間に目覚めて、童貞じゃなくなっても習慣は変わらないんだなって、……けっこう童貞気にしてたんだねって笑っちゃいました。
特にどーなるの!?的なハラハラはなく、終始甘くかわいいラブコメ。
そして、カワイチハル先生の挿絵がかわいい雰囲気に合ってました。
えちシーンの1枚で、サラムの足の指の間をなめる隼人、というのがあるのですが、その時のサラムの表情がですね…。
恥ずかしさと快感に耐えてる涙目。
そうか、この表情に攻め様はやられるのか、と納得しちゃいました。
アラブの王子様版ローマの休日でしょうか。
お相手は現代の忍者!場所は日本。
もう王子のサラムが可愛くて可愛くて萌×2です。
アラブの王子様ものといえば傲慢でプライドが高く日本人受けをさらっていったりするイメージでしたが、こちらは王子から飛び込んできます。忍者の胸に!
サラムが素直で真面目で気品があって健気で王子としての自覚もあり従者を大切にしつつ、魔性小悪魔的な魅力と意思の力でなんとか周りを説得し、やりたいことを叶えるのが良かったです。
隼人の言うことにも真摯に耳を傾け反省したり自重したり。
超絶美形で白い肌と金髪と青い目を持ち青い民族衣装を着こなして。なのに裸はエロいと。
隼人がどんどんサラムにひかれていって嫉妬や独占欲を見せるのも良かったですね。
事件と言えばパーティーでのハプニングくらいでしょうか。それも隼人の為にしたこと。
ここで隼人も自分の気持ちを真正面から認めとうとう二人は結ばれますね。
私の忍者!私の隼人!いいですね!
ところで隼人は童貞のはずなのにとってもスマートにサラムをリードして巧みに初エッチを完遂します。
さすが忍び、下調べもばっちりなのでしょうか?ここだけ不思議でした。
サラムが半年後にまた来日し、日本の大学に留学し隼人も猛勉強して同じ大学に通い一緒に住めるようになります。サラムすごいね!
理解のある雅典さんと父のお陰でもありますね。
現代の忍者とアラブの王子様のカップルの設定にはさすが!
サラムは最初から隼人が大好きで手にいれたい三年かかっても約束を守り来日し、今度は大学を卒業しても隼人を手離す気はありませんね。
可愛いのにサラムなかなかです。
私の中のベストオブ受けになりました。
そもそもタイトルがすごいですよね。
『砂漠の王子と』まで読んで「ああ、アラブものね……アラブ?野原さんのアラブ!」と思ったんです。で、その後に続くのが『忍者』。
なんで忍者〜っ!
トンチキBLファンなものですから、お気に入り著者刊行ダイアリーにこのタイトルが現れた時にはかなりそそられました。
あ、設定こそ変わっていますが、お話自体はトンチキではないです。
一生懸命頑張る2人の可愛らしい恋のお話です。
変わった設定と書きましたが『王子と忍者のカップル』という以外は「なるほど」と思わせちゃうんですよ。ラファード王国が『人口が少なく天然資源に富んでいるけれど、将来の為に他国との繋がりを広げようとしている』とかね『第4王子のサラムの母はキリスト教圏出身っぽい(イスラム教の縛りが弱そうな国なのね)』とか。アラブものを読んでいる時にしばしば表れて、読書への集中を妨げる「?」がとても少ないんです。忍者の方もね、主との繋がりが『代々受け継がれて来た家と家との付き合い』として、いかにもありそう。
これが違和感がなくてとっても良かったんです。
家業をしっかり継ぐのに人生を費やす事だけを考えて来た変わり者と、賢く素直だけれども過保護に育った為に世間知らずの御坊ちゃまの恋愛のお話として、ほんわかクスリと出来る。
爆発的にゲラゲラ笑うタイプのコメディではないですが、サラムの『王子ぶり』に時折突っ込む隼人の独白はかなり面白かった。
あまり人を選ばずお勧め出来ます。
いや〜、ホントに可愛いよ。上手いよなぁ、野原さん。
蛇足
隼人の父(義父)と主の間に何かがありそうなんですが……
スピンオフ、書いてくれないかなぁ。
こちら、砂漠の王子と忍びの末裔による、笑えて可愛いラブコメです。
それぞれ単品でも濃いのに、この2つを組み合わせちゃうってどんだけ力業やねんと、濃厚なトンチキ系の気配に警戒される方が多い事かと思われますが!!
これが、思わずプッと吹き出しちゃうコメディ仕立てで、超キュンキュンと萌えさせてくれる所も多数と、めちゃくちゃ好みの作品でした。
いやもう、天真爛漫な王子の無邪気な行動に、振り回されてる攻めが楽しすぎるんですけど。
可愛すぎる王子の無防備な姿に、翻弄されまくってる攻めが気の毒過ぎるんですけど!!
とにかく、ひたすら笑えて可愛く明るいお話なので、元気を貰える事請け合いですよー!!
内容ですが、忍者の末裔で忍者村の役者・隼人×砂漠の国の王子・サラムによる、コミカルテイストの両片思いものです。
本物の忍者の末裔である隼人。
外国人に人気の忍者村でアトラクションの主役をこなす彼は、砂漠の国の王子で大の忍者好きであるサラムになつかれます。
日本をもっと知りたいと、周囲を説得して再来日したサラム。
留学生として大学に通う事になった彼の警護を請け負いますが、共に過ごすうちにどんどん惹かれてしまいー・・・と言うものです。
野原先生と言うと、捻りの効いた予想外の展開だったり、心情を深く掘り下げた切ないストーリーと言った印象が強かったりしますが、実はドタバタ系のコミカルな作品もお得意なんですよ。
終始、プッと笑わせてくれるような。
で、今回はコミカル路線。
受けが砂漠の王子ですが、命を狙われてだの政権争いだのの複雑なエピソードは一切ありません。
それでストーリーとしてはつまらないかと言うと、複雑な設定が無い分、二人の恋愛部分がページをたくさん使ってじっくり書かれてまして!!
受けであるサラムですが、病弱だった事から兄王や周囲皆から愛され、大切に育てられたんですよね。
なので天真爛漫でとにかく素直。また、その言動から聡明で芯の強さなんかも感じられと好印象なのです。
で、攻めの隼人ですが、彼は忍者の末裔。
未だに主家である秦野家の当主に忍びとして仕えていたりします。
その傍ら、秦野家がオーナーの忍者村で役者もこなす。
で、隼人の忍者パフォーマンスを観覧したサラムになつかれる。
真面目でやや堅物、しかし面倒見が良い感じですかね。
こちら、そんな隼人の視点で進みます。
サラムが庶民の生活を体験したいと言うことで、二人はマンションで同居する事に。
サラムはですね、王子様だけあって超箱入り。
自分一人でお風呂に入った事もなければ、寝る時は宿直が居てと一人きりになった経験も無いんですよね。
そんなワケで隼人の前でも躊躇なく裸をさらし、眠る時は一緒に寝て欲しいと駄々をこねる。
振り回され、理性と忍耐を試されてる隼人の描写が楽しくて仕方ないんですよね。
また王子様ならではのエピソードなんかも楽しくて。
大学での休憩一つとっても、天幕を張って豪勢にだったり、「庶民の生活をしたい」とマンションを購入しちゃったり。
サラムが突拍子も無い事をし、その都度フォローしたり教育したりする隼人。
彼の内心でのツッコミなんかも、プッと吹き出しちゃうんですよ。
これ、このままならただの馬鹿王子ですが、こんな失敗を繰り返しながら成長してくのも見所だったりするのです。
そしてそして、個人的にイチオシなのが超過保護な護衛頭のファハド。
彼は厳つい親父なのですが、サラムに対しては心配性のお父さんみたいと言いますか・・・。
(彼にとっては)悪い虫でしかない隼人を追い払おうと、躍起になってるのが楽しいのです。
二人に常について回り、隼人と二人だけになるマンションでは心配のあまり浴室の天井裏に潜む。
で、親の敵のように隼人を見る。
また、サラムに甘えられれば孫と居るお祖父ちゃんみたいなデレデレな笑顔。
脇役なのに存在感が強すぎるんですよー!
彼が登場する度、楽しくて仕方ないんですよー!!
オヤジ好きにはもうたまらないんですよーーー!!!
あとですね、サラムの留学は一ヶ月間だけー。
帰国の近付いた彼が、とある事件を起こします。
ここでのちょっとしたすれ違いなんかに、自分でも意外なほど心が痛んで・・・。
いや、サラムの思慮が足りなかったのは否めないんですけど、とにかくいじらしいんですよね。
こういうエピソードにグッとくるなぁ。
まぁ、そんな感じのドタバタラブコメながら、主役二人のラブがしっかり書かれてるのが魅力的な作品。
攻め視点が新鮮で面白いのですが、結ばれた後の隼人の愛情暴走ぶりも大変楽しいです。
あと、ぜひファハドでスピンオフをお願いしたい!
彼はサブで終わるには惜しい男だよ!!