イラスト入り
inu to hatsukoi to romanchist
祖母から聞いた話だけでハルを女の子と思い込み三年も片思いしていた琥太郎と、自称ノンケな盲導犬訓練士晴人のお話。全体的に恋する心理描写が浮いていて、かつ無駄に多いと感じ、ノンケアピールに無理がある気がした。
晴人は出会いからずっと琥太郎の容姿にときめき、触れてはときめき、男同士なのに……とツッコミながらときめいている。相手が恋愛対象だったとしても相当に飢えているかのようなドキドキ描写なのに、お互いノンケという設定。
琥太郎は仕事ができて業界では実績のあるすごい人物らしいが、生活能力皆無のヘタレ。それは良いとしても、ランディを飼うと決めたはずなのに、散歩中にリードを持つ気がないとか、世話は晴人任せなところにモヤモヤする。
そうしてお互い赤くなったりドキドキしたりを繰り返し、ゲイじゃないけどキミだから好きなんだのBL展開。かと思えばあれだけ思わせぶりだった晴人が逃げる謎展開。からのストレートなカップル成立。
障害のない恋愛話な印象で、この経緯でラストに「愛してる」なんてセリフは説得力がなかった。
“犬がつなぐほのぼの愛”のアオリから期待して読んたが、商業未満な投稿作のよう。メイン二人の魅力が分からず、恋愛小説としても違和感が強い。
救いはランディが可愛いところ。老犬の醸し出す切なさがとても良かった。
無理に不自然な心理描写をいくつも書くより、惚れるエピソードで読ませてくれたら良かったのにな、と思った。