イラスト入り
kigurumi sentimental

電子中編。
昨今注目されている「着ぐるみ」界隈。(←ホント?)
こちらは小説での着ぐるみBLです。
主人公は広告代理店のリーマン・木野。
潔癖症気味で他人との触れ合いや体温が苦手。
他人には絶対秘密で、プライベートでは専らぬいぐるみや着ぐるみを推していて…
そんな木野が出会ってしまったのが「森の妖精モルモル」。
モルモルが出るキャラクターショーに毎回変装して駆けつけ、子供達に混ざって最前列で一眼レフを握りしめ。
今回、新作ビールの試飲会のアイデアとして「森の妖精と味わう癒しのひととき」を提案した木野。無事企画が採用となり、打ち合わせ等でモルモルと実際に会える!
当然魅入られる木野だが、おもむろに「中の人」が頭をスポッと取って挨拶し、急に現実に引き戻される。
中の人・加賀谷のカッコ良さなど目に入らず、逆にテンションが下がっていくが…
結局はこの加賀谷と木野がくっつくストーリーなんだけど、加賀谷は元々ゲイ設定。
一度は夢をあきらめて…という人物で、モルモルの癒しイメージとは違う印象。
一方木野は対人関係に臆病で、告白してくる加賀谷にかなり失礼な態度ばかり。そのくせ謝らなきゃとかウジウジ。
長編ではないせいか、すぐにHシーンになってしまう。
この恋を通して加賀谷はもう一度アクション系のアクターを目指し、木野は対人の硬さが和らぎ、全て良い方に回っていくラストで読後感は良いですが、総合「萌」。
『そのキャラが好きで好きで、もうすべてを追っかけていたら、当然のごとく中の人まで好きになってしまった』という経験をお持ちの姐さま方は多いかと思います。
このお話は『それ』です。
ああ!まさしくドリームではないか!
大手広告代理店(社名が『白凰堂』って……笑)に勤め、仕事も出来る男、木野一は軽い接触恐怖症です。両親が多忙なため寂しかった子ども時代、大切にしていたクマのぬいぐるみを母親に捨てられた時から、人に触れられることを苦手としています。そんな彼の現在の愛の対象は人間ではなく、着ぐるみ。ある出来事を切っ掛けとして三津鷹市非公認キャラクターのモルモルに夢中になり、追っかけをしています。愛が高じて、ビールの試飲会の仕事にモルモルを登場させる企画を提案。これが取り上げられ、木野はモルモルの『中の人』加賀谷と親しくなっていくのですが……
前半の『着ぐるみに対する愛』を描いている部分はたいそう面白かったです。
オタクの末席を汚す者として「あーわかるわかる。こうなるよね」というのは勿論なのですが、木野の『着ぐるみ愛』は、両親から愛してもらいたいのに愛されていると感じられなかった結果であることが納得できる書かれ方なので。
他人は、たとえ恋人であっても自分の思う通りにはなりません。
それはちょっと悲しいことでもあるけれど、だからこそ、そういう他人と関わった結果として自分も豊かになっていくと私は思っているんですね。
このお話は、そういう意味で木野の成長物語なのですけれど、加賀谷との関りが結構すんなり行ってしまうものですから、ちょっとだけ喰い足りない感を感じてしまいました。
でも、その分『ドリーム感』は高いです。
「大好きだったあのキャラの『中の人』とどうこうなってしまったらどうしよう。うふっ」っていう感じ。
読み終わって振り返ると、自分の中に『夢女子』がいることを発見して、ちょっとびっくりしました。