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tatoe sore ga ai datoshitemo
この本、何か好き設定があったから手に取ったはずなのに何だろう…?と思いながら読み進めたら、兄弟ものだったんですね。
兄弟設定が好きなので買っておいたという事に気づくのが遅れる程、兄弟だという設定が出てくるのがかなり後の方です。
最初から兄弟で近しい存在、というお話でなく、知り合って親しくなって口説かれて…心惹かれるけどまだ恋人でないという相手が、実は血が繋がっていたと中盤以降でわかる展開になっています。
昼ドラのような展開を目指した、とありますが、確かに何とも言えないドロドロ感は伝わって来ましたが、私が好きなのは最初から兄弟である体で始まる兄弟ものなので、むしろこの設定は本の解説文章でバラさずとっておいて読者をあっと驚かせるために使ったほうが効果的だったかもしれません。
初めて会った男に「服を濡らしたお詫び」として強姦される主人公。嫌々言いながら拘束されているわけでもない成人男性が最後までやられるわけないだろう…と何だかぱっとしない出だしだったのですが、実は兄弟だったと分かった後半は楽しめました。
そこまで重いお話でなく、むしろさらりと読める本だと思うのですが、「一生秘密にするなら」という約束で恋人になる決意にはぐっときました。
この兄弟はもともと姓の違う兄弟です。
兄弟って恋愛においてマイナス面が捉えられる方が多いと思いますが、「この際、籍を入れてしまおう。兄弟だから不自然じゃないし」という展開はむしろ兄弟だから出来るプラスな面だなーと初めて思えました。
ストーリー自体はそれほど凝った内容ではなかったのですが、攻めである仲條が弟で、主人公の樹が兄である、というのが良かったかもしれません。これが逆だったら全く印象が違う話になっていたかも…。
樹は天涯孤独の身の上のはずだった。
ずっと母子家庭で育ち、母一人・子一人で育てられたので樹は父親が誰であるかも知らずに大きくなり、樹が社会人になって一年目の夏休みにその母も交通事故で亡くなって以来、一人で生きてきた。
そんな樹に信じられない知らせがもたらされる。
誰ともわからなかった自分の父親が、自分の勤めている会社の社長でその社長が亡くなったため、自分にも莫大な遺産が入る、というのである。
おまけに自分には腹違いの弟がおり、遺産を受け取らなければ会うこともできない、というのである。
その真偽を確かめるため、帰省した樹だったが、そこで出会った仲條という男になぜか惹かれるものを感じてしまう。不思議と感じる懐かしさや湧き上がる激情に戸惑いながら、強引な仲條に引きずられるようにして関係を持ってしまう。
後日、その仲條が自分の半分血の繋がった弟であることを知り、樹は衝撃を受ける。
ちょっと自分の倫理観を試されるお話でした。
どうして近親がダメなのかって、遺伝できな障害のリスクが高まるからだと個人的には思っているので、それを除けば実はそれ以外何も問題ないんじゃないかなー……? と思うだけの倫理観しか私にはないので。
最初から子供ができたり、妊娠したり、というようなリスクのない男同士であれば、おまけに実の両親までいない、という状況であれば正直、何を問題にするのだろう……? というところ。
さすがに、実の父親が実の子供に……だったらさすがになんかいろいろ思うところは出てくると思うんですが……。
というわけで、個人的にはその実の兄弟だからうんぬんかんぬん的な何かはまったく問題にならなかったので、そういう意味での萌えというか勘定の揺れはまったくありませんでした。
多分、この本、そこが読みどころだと思うんですけど……。
そういうわけで、そこに対するものは何もなかったんですが、それを除いても十分に楽しめたと思います。