あなたのカラダを愛したい

anata no karada wo aishitai

あなたのカラダを愛したい
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神7
  • 萌×24
  • 萌1
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
4
得点
55
評価数
13
平均
4.3 / 5
神率
53.8%
著者
吉田ナツ 

作家さんの新作発表
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イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイデジタルノベルズ
電子発売日
価格
ISBN

あらすじ

男のドライオーガズムを見てみたい!? エロ触診、ドライ実験…日向は隣に住む記録魔の医大生に体の隅々まで観察されて! 人体マニアな医大生×人気美容師のカラダから始まるエロティックラブ。

表題作あなたのカラダを愛したい

医大の学生
ヘアスタイリスト・26歳

レビュー投稿数4

いつまでもモヤモヤが晴れない

メインの登場人物三人のうちの一人がクズすぎて、最後までムカムカしっぱなしだった。おかげで相手役の大庭は、強烈キャラなのに印象が薄まる。主人公の日向は自己肯定感の低い従属タイプで、これもまた合わなかった。

日向は共感できない視点主。クズに何を求めても無駄なので岩崎はどうでも良いが、日向の行動は岩崎をさらに増長させる点で好きになれない。あんなに何もかもしてあげたのに、という自己満足の押し付けが、こちらの同情心を消してくる。

何かを決心しても、結局流されていってしまうので、日向が何を決めてもどうせズルズルいくのではという目で見てしまう。心理描写を追いながら、その言葉が信用できない主人公で、心理的な距離の遠さを感じながら読んだ。

大庭は超絶イケメン設定で萎えてしまった。日向の意志の弱さを見ていると、内面がどんな人間でも顔が良ければそのうち落ちていた気がして、大庭と日向がくっついても感動も萌えも得られなかった。

ストーリー的には断れないウジウジ君が、最後の最後で頑張って岩崎に断りを申し入れるっていう、成長物語の側面もある。が、こんな弱気な対応ではここまで溜めに溜めまくった岩崎への悪感情が消えるはずもない。

そもそもなぜ自分の過失と取られそうな断り方をするのか、仕事の場で必要とされる思いやりとは違う気遣いをする日向に、モヤモヤが止まらない。
時計の件は気になってずっとソワソワしていた。一言で終わらせるのでなく、少しくらいスカっとできる場面が欲しかったな。岩崎は盗む気満々に見えたし、許せない。

大庭が物理的にほぼ助けないのは良かった。日向が岩崎と対峙するときには姿を消すので、日向自身の変化を見ることができる。最後も、待っていると伝えることで心強さを与えた感じが良かった。

精神的に弱すぎるキャラを追う物語は楽しいと思えず、自分には刺さらない作品だった。

0

トンチキ医療ものかと思ったら(笑)

あらすじ、および内容の説明は前述の方がたっぷりと書かれているので割愛。

トンチキ医療ものかと思って読んだのですが面白かったです。
攻めのキャラがちょっと変わっているのですが、それがお話の流れになっていてスムーズに読めます。
エロ描写も多く、きゅんも萌えもあって楽しめる作品でした。

金ひかる先生のイラストも素敵でイメージにぴったり。
最初の顔があまり見えないという設定も面白かったです。
続編が読みたくなるラブコメでした。

5

コメディかと思ったら


先の方が詳しくあらすじを書いて下さっているので感想だけ。話はp150弱と短いのですが、本当に中身が詰まっていてすごく良かっです。

美容師としても人気があって、見目もいいのに、自分に自信がなく、周りの空気を悪くするくらいなら自分が我慢するほうがいいと自分を大事にしない主人公・日向秀(受け)と「人間のカラダ」の神秘に魅せられ観察記録魔になってしまったデリカシーのない医大生・大庭(攻め)が共に成長する話。

秀は本当に気の毒な人でした。初めての恋人が既婚者で遊ばれていたことから始まり、それ以降も相手からのアプローチで付き合い始めては振られるということを繰り返しています。
大庭が秀に過去一度経験したというドライオーガズムはどんな時になったのかと聞いたとき、「最初の恋人の時に相手を全面的に信頼して愛されてると思って盛り上がったからだったのでは」述懐するのですが、それがとても切なかったです。
初めの方は、前立腺がどーのとか尿道球腺駅がどーのとか括約筋がどーのとか色っぽいことはなにもない本当の観察で凄くシュールな絵面だったのですが、過去経験した経緯からドライは今までのようなやり方ではダメだと、二人でどうすればいいかと真剣に考えるのは笑えます。
いつもなら連絡がないことにやきもきし、相手の態度を深読みしたりして疲れていたのに、開き直った関係だからか、初めて秀は相手に対して思ったことを言えるようになりそれがすごく楽だと気が付くのです。

大庭は探求心が強く、自分が興味を持ったものは観察せずにはいられず、観察するためなら手段を選びません。女性の身体を観察したいがためにもてようと努力したり、交換条件を出して秀の身体の観察をしようとしたり、だいぶん変わっています。が、熱心に観察し世話をするところは秀に逆に愛情が深すぎて愛情の持っていき場がなくて困ってるのではないかと推察されます。
秀が今までの自分を反省し大きな決意をした後は観察は封印し、料理に目ざめ快適な空間を作って秀の世話をするようになります。それも出した料理の何から食べてどのくらい食べたかと詳細な記録をつけて。
おかげで、秀は初めて甘やかされることに戸惑うやら相手が好きでしてるんだからと開き直るやら忙しいですが、そうこうするうちに大庭を好きになってしまうのです。

「恋愛ってなんなんですかねぇ」といっていた大庭は大概だと思いましたが、大庭視点はなかったので、どのように秀のことを意識しだしたのかははっきりとはわかりません。
ただ、何度も出てきては秀の心を乱す元恋人が秀を軽く扱うことに腹を立てているところからも結構早い段階で意識しだしたのかもしれません。

クズな元恋人・岩崎には本当に腹が立ちました。どんだけ面の皮が厚ければあんな勝手な行動がとれるのか逆に不思議でした。借りていた秀の時計を返さず勝手に新しい恋人に貸したり、今までさんざん利用してきた秀を別れてからも平気で利用しようとするのも全く理解できません。
大庭の愛情を信じることができて初めて、自分がどれだけ軽く扱われていたかということを自覚し、ちゃんと決断実行できた時は、こちらの心も晴れ晴れしました。
やっと、自分を大事にすることを覚えた秀と恋愛することを覚えた大庭。
今度こそ幸せになってほしいと思いました。

話は二人がちゃんとくっついたところで終わっているので、思惑の外れた岩崎がどうなったのかとかちゃんと時計は取り返せたのかとかとても気になります。今までの報いを受けていることを願います。
いっぱい大庭に甘やかされて自己主張がきちんとできるようになった秀をもう少し読みたいです。

7

不覚にも泣いた

『小説b-Boy 2014年5月号』掲載作品の電子書籍化。挿絵あります。

上にある『あらすじ』はお話のイメージとかなり違います。
このお話は、綺麗で仕事も出来るのに自信がない所為で人からのお願いを断り切れなかった主人公が、恋をして自分を大切にすることを覚え、過去の自分と決別する物語です。実に感動的でした(感激醒めやらず1600字を越えてしまいました。お許しくだされ)。

ヘアサロンに勤める人気美容師の日向秀はどん底の気分を味わっていました。今日は何故か嫌味な客ばかりに当たり、スタッフはミスを連発し、頼んでいない大量の業務用品が納入された後始末に追われる始末。SNSで恋人にちょっとした愚痴を聞いてもらおうとしたら、返ってきたのは「俺たちそろそろ潮時かもな」というショックなメッセージ。何もかも忘れるために帰宅途中のコンビニでワンカップを買い求め酔っぱらって部屋に着いて……ドアの鍵がないことに気づきます。失意のあまり悲鳴の様な声で文句を言っていると、隣に住む医大生、大庭亮介が親切にも自分の部屋に入れてくれます。しかし、部屋に入った日向は亮介に「男同士の性行為についてお尋ねしたいことがある」と切り出されます。どうも『あの時』の声が隣の部屋に漏れ聞こえていたらしいのです。『人体研究マニア』の亮介は、前立腺に快感を感じる機能はないはずだけど本当に感じるのかと、失礼なことを執拗に聞いてきます。怒った日向は酔いに任せて「そんなに知りたいんなら、実際にしてみます?」と言ってしまいます。すると、あれよあれよという間に『触診』され、射精する羽目に。次の日、もう絶対関わらないと決めていた日向が帰宅すると待ち伏せていたように亮介がいて、日向の部屋から元彼が荷物を持っていったことを知らされます。顔すら会わせないまま去って行き、挙げ句の果てには新しい相手とのツーショットを送りつけてくる元彼の仕打ちに逆上した日向は仕返しに亮介との写真を撮って送ってやろうとするのですが、亮介に「科学的好奇心からあなたの体に夢中です。何でも言うことを聞くので俺のお願いも聞いてください」と請われ、彼が抱く『ゲイの体に対する不思議』を解くためにセックスすることに……

ああ、お話のさわりを書いただけでもはや900字を越えてしまいました。
もう、ここまででも、ほのかなトンチキの香りがするジェットコースターノベルです。よくもまあ、こんなシチュエーションを考えられるものだなぁと、えらく感服いたしました。

誤解を受けると困るのですが、亮介は本当に『人体オタク』の『記録魔』。それ以外はとても良い人なのですよ。日向もその真剣な人体探求の姿勢に絆されて『二人でドライオーガズムを目指す』なんていう話に乗る訳ですので。

日向がどんどん亮介に惹かれていって「勘違いしちゃいけないっ」と思い始めるのは、ちょっとでもBLを読んだことのある姐さま方なら簡単に想像がつくと思うのですが、ここからの展開も凄い。
凄いんだけど、ぐっと我慢して書かない。
書くとこれから読む方のお楽しみが減ってしまうから。

日向はお話の中で2度ほど、大きな決断をします。
1つはお話の中盤、もうひとつはクライマックスで。
この最後の決断の部分で……泣いちゃったんです、不覚にも。
まさか、このコメディベースのお話でこんなにこみ上げるとは!
今までしてきた恋について考えた結果、自分が変わる必要性を感じて、精一杯の勇気を振り絞って行動する。昨日と違う自分になろうと一歩踏み出すその決意が、激しく心を揺さぶりました。

蛇足かもしれませんが、こういうお話なので濡れ場は多いです。
面白いのは、二人の関係性によってセックスの甘々度が違うんですよ。
最後のデロ甘にニヤニヤしながら、日向のみならず亮介にとっても、過去の自分を変えるお話だったのだなぁ、と確認。
途中の亮介の『口説き文句』もそうでしたけれど、この辺も含めてとても洒脱な物語でした。
吉田さん、凄すぎでしょう……

12

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