添い寝から始めました。 

soine kara hajimemashita

添い寝から始めました。 
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×25
  • 萌7
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
4
得点
57
評価数
18
平均
3.3 / 5
神率
16.7%
著者
水無月さらら 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
野木薫 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
価格
¥650(税抜)  
ISBN
9784829626511

あらすじ

放射線技師である圭太の元を、添い寝する友達の代理として訪れた玄一郎。
人付き合いだけでなく自分の感情にも不器用な圭太に興味を持ち、添い寝するだけのはずが、つい手を出してしまった。
賑やかに自由に生きている彼は、自分とは真逆の圭太をどうにも放っておけなく感じたのだ。
圭太もまた、玄一郎と過ごし温もりを知ることで、麻痺していた感情が柔らかく溢れ出てきて……。

表題作添い寝から始めました。 

33歳,実業家
26歳,放射線技師

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数4

癒された

添い寝というワードにひかれて購入。ゆっくり進むお話で、めっちゃ癒されました。ちょうどこういうものを求めていた時期だったのかも。色っぽいお話は少なめ、二人の心情をゆっくり書いたお話、本編260Pほど+あとがき です。色恋沙汰には関係してこないですが、女子が出てきますので一応お知らせ。全くもって個人的見解ではありますが、神!だー癒されまくり。

お話は自分の部屋でソイトモ(添い寝しあう友達)を待ちつつ、ゲームをするシーンから始まります。ソイトモ=「セクシュアルな関係は一切なく、寄り添って話をして側で一晩眠る間柄の友達」という定義。中学時代からの知り合い、瀬川麻里(♀)を待っていたのですが、ゲームの佳境にチャイムが鳴ったため、大声で「開いてるから入ってー」と伝えます。ゲームで圧倒的勝利を収めホッとした瞬間、後ろから「きみ、なかなかの腕前だね!」と声がかかり・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
瀬川麻里(♀、攻め受け共知り合い)、受けの同僚たち少々です。ほぼ攻め受け+麻里ちゃんで話進みます。
挿絵の先生は初めましてでしたが、めっちゃキレかったです。コミックも少し出しておられる模様。
好きな絵の先生が増えてとても嬉しいです!

**より内容に触れる感想・大好きだった箇所

恵まれない家庭環境であったせいか、人の感情に疎く自分も感情をあまり持たないタイプである圭太ですが、放射線技師としてしっかり働いているところや、変わったテイストのゲームのドはまりしている可愛いところ、ゆっくり自分の感情と向き合い、しっかり見極めて自分から行動するところ等々、じわーとスルメ、都こんぶ級にいい味だしてます。いいわ、この人。
玄一郎はゆったり自分のペースでいろんなことをできてしまう所謂スパダリさん。周りの評価に全く流されず、そして圭太のことをちゃんと待ってくれるところが大好き!!!

二人に関与する麻里ちゃんも大変いい女子で、圭太に「ちゃんと助けてっていえるようになりなよ」と言い残していくところにうるうるでした。
そしてクラムボム!、マンボウちゃん等のゲームや、玄一郎の芸名「ゲンイチロー・サンシャイン」等と笑わせてもらえる小ネタの数々。息抜きに絶妙。

いい本だった。水無月先生、申し訳ないですが「キタ」と思うときと「?」な時があるので、ドキドキなんですが、今回はめっちゃササリました。はあ。
夏のお疲れが体と心に来ている大人女子に、おススメしたいです。

4

優しい作品

文体も、お話も、登場人物も、なんというか非常に独特で個性的な1冊でした。
読みやすい読みにくいで言うのなら、読み始めはクセのある文とセリフにちょっと読みにくさを感じたのです。
けれど、20Pほど読み進めていけば、不思議なことにこの独特さに心地良さを感じている自分がいるではないですか。
流れに身を任せたままするっと読み終えて今に至ります。

添い寝から始めましたのタイトルから、いわゆる添い寝フレンドのお話を想像しましたが、その通りのようであってそこがメインではないお話なんですね。
攻めと受けの両視点で進む恋愛物語でもあり、成長物語や大人の青春物語のようでもあり…
なんだろうなあ…じっくりコトコト煮込まれた人間関係と、閉じていた感情の扉が少しずつ開いていく様を追うのが気持ち良い作品でした。
麻里という女性キャラクターがなくてはならないキーとなっているのも良かった。
麻里ちゃん、すごく魅力的な女性だったなあ。

はっきりとこれだとは明言はされていないものの、圭太は発達障害を抱えて生きている人なのかなと思います。
身近に似た特徴を持つ人がいるものですから、ああこの言動には既視感があるなと、ちょっとリアルに感じるところもありでした。
なので、特徴的な圭太の言動や行動が作品中で特殊なもの扱いではなく、ごく自然と良い方向に働きかけているようなやさしい描き方だったことが嬉しかったりもしました。

山あり谷ありな展開はありません。そこが良かった。
麻里をきっかけに但馬と圭太が出逢い、ゆっくりと寄り添い合っていく穏やかな話運びが素敵です。
但馬が包容力のある人だったからか、終始安心して圭太の成長を見守ることができましたね。
自分と同じだと共通点を見つけておっとなったり、かと思えば物事の考え方が全く違うものだったり。
そんな、個人を認め合って肩を並べる彼らのことを愛おしく感じた、あたたかな愛情に満ちあふれた1冊でした。

0

ゆっくりと進んでいきます

圭太と添い寝をする友達(通称ソイトモ)の代理として玄一郎がやってきた事により出会います。
麻里という女性の代理としてやってくるので、女性が出るのは…という人にはオススメできませんが、この麻里は圭太とは恋愛感情は一切ないので個人的には女の人だからというのはそこまで気にならなかったです。寧ろ麻里が良いアクセントになっています。圭太が「お母さんみたい」と言っていましたが、まさに保護者というか家族のようでした。

人付き合いの苦手な圭太はその言動から不自由とされています。麻里から手土産としてどのドーナツが良いかと訊かれ「黒糖きなこ一択」と答え、見慣れないものを食べて残すよりは手を付けない方が良いという事を言います。食事についてちらほら描写がありますが、食わず嫌いというか偏食というか食事の面でも面倒な子です。
そんな圭太とゲームの話しを含めかなり会話が成り立っています。マンボウを育てるゲームなどちょっと謎で面倒だなと感じるゲームで盛り上がっています。

両視点という事もあり、玄一郎が何故圭太に惹かれていくのか、ソイトモとしてやってきたのに手を出してしまった理由も早い段階で分かります。初日以降、既にソイトモとしてではなく最後まではしないもののそこそこの関係になります。
圭太も不器用ではありますが仕事はきちんとこなしているし、失敗事があると次はこうすればと対策を練るので、読みながら彼の成長を見守っているように感じます。同僚もフォローしてくれるので、あまり悪い人は出てこないです。
医師で学校が同じだった池田ですが、彼は圭太が好きですがまるで小学生かのように”好きな子をイジメたい”というタイプなので、全く実る様子は無いです。ちょいちょいウザいですがそれがアクセントになっているのかなとも思いました。ただ、中途半端な存在だったかなという印象でもあります。

玄一郎と麻里の関係が元恋人だったのではとモヤモヤしたり、人付き合いが苦手だった圭太が玄一郎に惹かれていき、積極的な行動(玄一郎の本を買うなど控えめではありますが)を取り始めるのも可愛いです。

ゆっくり進んでいく物語で面白かったです。両視点だったので分かりやすくもあったのですが、玄一郎の仕事面についてが多かったかなという印象もあります。
初日で最後までヤらないにしても、人付き合いが苦手な子が一緒にゲームをしたからといってそんなに受け入れちゃうのかな?とちょっと疑問点もありました。確かに玄一郎が言うように可愛いので止められない気持ちも分かります。

事件が起きて~とか華やかさは無いのものの、しっとりと物語が進むのが心地よいです。

7

「ウォーター!(ヘレン・ケラー)」を思い出しました

不思議な手触りのお話です。
そもそも添い寝をする友達(ソイトモ)なんていうもの自体が不思議な存在ですよね。

主人公の圭太については、やろうと思えばセンセーショナルに書くことも出来たはずなのにそうしないで、圭太の周りに彼を理解し守ろうとする者を置くことを選んだ水無月さんの優しさと配慮に、まず感動しました。
結果としてインパクトは薄くなってしまいましたが、とても気持ちが良く、知性を感じさせるお話になっていると思います。

ここから物語の重要な部分に触れます。
水無月さんが『隠している』とは思わないのですが、それについて圭太本人が話すのはラスト近くなので「自分で読むときのために取っておきたい」と思う方は、この先を回避してください。




圭太のソイトモである麻里ちゃんや玄一郎には「不自由」とか「不器用」と言われていますが、決まったルーティンに固執する・特定のことを除いて手先の細かい作業が苦手・人に触られるのが苦手・言語外コミュニケーションが理解出来ない・好みの味に偏りがあり決まったものしか食べない・好きなものや得意なことに対しての集中が凄い……等々、圭太は極めて発達障害的な特性を持っている人です。
本人も生きづらさを感じてはいますがそれによって生活の支障をきたしておらず、また、本人がそういう自分の特性を理解し納得しているという点で『障害』とは言えないという感じでしょうか。
また、本人はあまり覚えていないと言っていますが、亡くなった母に疎まれた経歴があります。

この圭太の描写がとても上手い。
上手いというか、非常に理解している気がしました。
「むしろ玄一郎の子どもになりたい」という発言など、圭太の様な人だったら言いそうですもの。

この子が自分の、玄一郎に対する気持ちが恋だと気づいてから「会いたい」という強い衝動に突き動かされる部分は実に感動的です。
「この感じ、何かに似ている」と思って読んでいたんですけど、あれですよ。
ヘレン・ケラーの「ウォーター!」っていう、あれ。

それは恋のドキドキでもあるのですが、気づきのドキドキでもある。
圭太と一緒に私もドキドキしてとても刺激的だったのですが、これ、『萌え』というのとはちょっと違うかもしれません。

子どもの発達や母子関係に興味のある方には大変面白いお話だと思います。
なにより、その手の生きづらさを抱えている人達を傷つけない様に、細心の注意を払って書かれているのが素晴らしい!
拍手。

3

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