hayuko
Blue bird
これは……いい!
正直、オメガバースはどーにも嵌らず『いい』と呼ばれる本は色々試したのですがいつも結果は『うん、ないな』に終始してました
買ったオメガバースは全て手放していて、今後買うことはないだろうと思っていたところ、こちらを発見
木原さんなら、もしかして……と思い購入
期待を上回る神作品でした!
読み返しちゃったよ!
短編ながらも丁寧に書かれた設定、受けの河内の抱える葛藤、どうしようもないヒートを迎えたことでの望まない行為、そして妊娠と出産……
挿絵が苦手でしたが(申し訳ないです)文句なしに面白かった!
救いようがない感じのラストですが、これはこれで幸せなのかもしれません
運命の番である犬飼の執着があれば次第にほだされそうな予感がある
さすが木原さん!
この白黒表紙のシリーズって短くてエロというイメージがあるんですけど、いや確かにエロがえげつないんですが、えげつなくて萌えないですが、印象に残ったのはストーリーでした。
オメガバースは基本的に苦手です。ふんわりよくわからん。なんでそうなるんじゃいとか歴史どうなってんのとか細かいことが気になるのがいけないのか。この話は短い割に世界観が結構しつこく書いてある。そこが自分的には良かったかな。
秀逸なのはタイトルだと思う。救いがないストーリー、ラストにこのタイトルだよ?
ああ。幸せは傍にいましたかー
犬飼、いい人ではないですか。望まない形で交わってしまったけれど、河内を気遣う優しさがあり、生まれた子どもを引き取って育てたいとまで言ってくれて。犬飼はαで、圧倒的に優位な立場にあるのに、人としての誠実さがあり、愛があると思うのです。
河内を無理やり抱く挿絵が鬼畜な感じで、犬飼の印象が悪くなっている気がします。子どもを優しくあやす場面の挿絵があったなら、ずっと好印象だったと思うのです。
Ωに生まれ苦労してきた河内が願ったささやかな未来が打ち砕かれてしまったのは、本当に胸が痛い。でも、人生はそんなものだとも思うのです。努力して積み上げたものだって、簡単になくなってしまうことがある。オメガバースを読んだのが初めてで、Ωへの共感が足りないかもしれませんが。
犬飼と河内。一緒に暮らすうちに、きっと寄り添えるような気がします。河内も本当は分かっているのではないでしょうか。今はまだ時間が足りないだけで。
自分が願った幸せだけが唯一じゃない。今そばにいる青い鳥が飛び去ってしまう前に、河内に気付いてほしいです。
誰に感情移入するかで、感じ方が大きく変わる物語だと思いました。
医者ってたまに無責任な事言うよねーって思った。いくらそんな研究があるからと、自分の患者での実例が無いのに言う?今までのΩバースものはファンタジーっぽいのが多かったけど、他の方も書いてたけど現実的でした。治療の描写とか現実的かつ具体的だしね。高校時代レイプされたのもゴツい柔道部員。そりゃあ、そんなの見たらトラウマになるわ。しかも、本人も至って普通の容姿だし。でも攻めはちょっと美形っぽいですね。この作品、治療場面で終わってるので続き書いて一冊にしてもらいたいです。問題作になりそう。
『小説オメガバースアンソロジー』(2017年10月発行)収録の一遍。
「木原さんのオメガバース?」と読み始めたのですが……木原さん、相変わらず無慈悲。
ここのところ『心と体の反応が異なる人』のお話が多いですね。
いやー、辛い辛い。
河内はΩですが、抑制剤でコントロールしながら一般企業での仕事に就けるほど発情期が軽い体質です。この様な体質のΩは35歳までセックスを経験せずに過ごすと発情期が消えるという研究報告があり、35歳の誕生日を目前にした河内はその日が過ぎたら異性の恋人と結婚しようと考えていました。河内が高校三年生の時、学校で初めての発情期を迎えた下級生が、学生の面前でレイプされるのを目撃してから、彼はそのようなことになるのを恐れ、充分に注意しながら暮らしてきたのです。しかし、誕生日の四日前、会社で、今まで経験したことのないほどの強い発情期を迎えてしまいます。抑制剤を多量に飲んでも収まらず、社内で倒れてしまった河内を見つけたのは彼の『運命の番』かも知れない犬飼で……
誰も悪くないのに、悪いどころか細心の注意を払って回避しようとしてきたのに、訪れる悲劇。
他人の事だから「最悪だ」で済むけれど、でも、実人生ではこんな形でとんでもないことが起きるのを私も知っています。
だから身につまされるのよ。
また、上手いんだ、木原さん。
もう、河内に感情移入しちゃって胃潰瘍になりそうだった(ちょっとなっちゃったかもしれない)。
一番悲しいのは、頭と心はそれを望んでいないのに、体がそれを望んじゃうって事ですよ。そうしないと死ぬほど苦しい目にあうっていう……
幸せな結末とは言えない所でお話は終わっています。
でも、運命の女神の様に、無慈悲にその杖を振るう木原音瀬という作家の有り様に、冴え冴えとした萌えを感じてしまいました。
木原様、
出来るのであれば、河内を救済してあげていただきたいです。
木原先生のオメガバースということで読んでみましたが、やっぱり木原先生でした(笑)
甘くもなくハッピーでもなく、けれど心に残るオメガバースでした。
こういう内容が書けるのは木原先生ならではだし、書けるのも(編集的にOKが出るのも)木原先生だからと思いました。
しっかりねっとりあとを引く、ビターチョコレートのような作品です。
できれば長編で読みたいです。
書いて下さらないかな。
幸せへと向かう希望の羽を無慈悲にむしり取る現実。
自分のより良い未来を思い描き、それがそこまで現実に迫っているのを感じている河内は、体調の変化よりも仕事を優先して無理して出社する…。
人生の展望が見えなくなって肉体的にも死へと向かう状態において、性を通して生きながらえさせられる苦しみ。そんな中で自分を見つめる男の行為により、赤ちゃんがまた産まれるという未来だけが見えるというエンド。
愛されることで生きる価値を見出すだろうと予感されたのですが、犬飼に番にされたため、
愛を失えばおそらく死が待っていることも、後から感じました。運命の番なので、もしかしたら愛を失っても体の関係を続けられるかもしれませんが、もしそうなったら河内はおそらく死を受け入れる気が。
しかし、このように結末がハッピーエンドではなく、また不安の残る終わり方でも、不思議とこの2人は上手くいくのではないかと、思ってしまう、信じたくなります。
希望の描き方・捉え方が木原さんは本当に上手だなと思います。