アネモネと嘘

anemone to uso

アネモネと嘘
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×24
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
2
得点
34
評価数
8
平均
4.3 / 5
神率
37.5%
著者
天瀬いつか 

作家さんの新作発表
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イラスト
ビリー・バリバリー 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
価格
¥660(税抜)  
ISBN
9784778124489

あらすじ

鹿島は会社帰りに喧嘩で怪我をした美しい青年・犬童を拾う。お人好しの鹿島は、女の家を転々としていた犬童を「家族は旅行中だから」と家に住まわせた。その後、知人の娘・ひかりを預かり、孤児だったという犬童を含め、本当の家族のような温かい日々に幸せを感じる鹿島。ある日、犬童に「好きだ」と告げられ、現状を壊したくない思いから受け入れる。だが幸せな日々が続く中、犬童は一向に帰ってこない鹿島の家族を不思議に思い始め…

表題作アネモネと嘘

路地裏で倒れていた青年, 20歳
会社員

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数2

ゆっくりと流れる時間の中で家族や愛について考えさせられる作品

初めてレビューを書かさせていただきます。
最初は表紙に惹かれて気になった作品でした。
もともと漫画はよく読むのですが、小説はほとんど手を出さなかったのですが、試し読みをしてみて続きが気になってしまい即購入しました。

ネタバレになるか分からないですが個人的な感想です。↓

犬童に対して優しすぎる鹿島に違和感というか不思議に思っていました。しかし、少しずつ分かっていく鹿島のほの暗い部分や過去を見て、優しくする意味が分かっていきました。
個人的に、登場人物、彼らの時間を重視した作品だなぁと感じました。時々、不穏なところもあるのですが、それぞれのペースで良い方向へ変わっていく彼らを見守ることができるのはすごく面白かったです。
ゆっくりと流れていく時間で少しずつでも変わっていくところは読み応えが有ります。
表紙にもいるひかりちゃんの存在により良い方向にも悪い方向にも彼らの感情が変化していきます。ひかりちゃんの存在はとても大きかったですね。
家族についても考えさせられる作品でした。
最後は彼らがいつまでも幸せでいて欲しいと泣いてしまうほどでした。

うまく表現出来ないのが悔しいくらい素敵な作品でした。あまり商業BLの小説を読まない私ですが、どうしても続きを読みたい!と1日で読み終えてしまいました。
初オリジナル作品とのことなので今後の作品も楽しみです。

4

個人的に『期待の新人認定』をしました

こちらの『あらすじ』を読んだらどうも気になり始めて、仕事帰りの書店で『完璧な幸せに似ているこの日々がいつまでも続きますように。』という帯を見た瞬間に「あ、この本、買うしかないな」と家に連れて帰り一気に読了。このお話の評価は『萌』を付けましたが、実は「今後とても期待したい作家さんを見つけちゃったかもしれない」と打ち震えております。

鹿島聡は会社帰りに、雨の中、泥だらけで血を流して倒れている金髪の男を見つけます。傷ついた獣の様に鹿島を威嚇し、救急車を拒絶した後に気を失ってしまった男を放っておけず、自宅に連れ帰りますが、その男、犬堂健也には家族がおらず帰るところもないと知って、このまま家に居てもいいと告げます。自分の家族は今遠くに行っているから、と。当初は鹿島を警戒し頑なな態度を崩さない犬堂でしたが、鹿島が自分を傷つけないこと、その親切に他意はないことを知るにつけ次第に打ち解けてくる様になります。また鹿島も、当初の荒々しい言動とは異なり、甘いものが好きだったり意外と子どもっぽい犬堂に好感を持つ様になります。犬堂が施設出身で高校を中退していることを知った鹿島は彼に通信制高校への入学か高卒認定試験を受けることを勧めます。最初は激しく反発した犬堂でしたが、鹿島が自分のことを考えてくれていることを知り、同居を続けながら高卒認定試験に挑戦することに同意します。
しばらくして、鹿島は以前同じ会社で先輩だった鶴川から「自分の娘を二週間だけ預かってくれないか」と頼まれます。鶴川はギャンブル依存症の夫と別れ一人で子どもを育てているのですが、母親が末期ガンになりどうしても帰省しなければならなくなったのです。鶴川に恩義を感じている鹿島はそれを引き受けます。四歳のひかりの可愛らしさ、犬堂との子どもっぽいやりとりで、鹿島の暮らしは一気に騒がしくも暖かいものに変わっていきます。しかし、その暮らしもいつかは終わってしまう。そんな寂しさに気づく中、犬堂から「好きです」と告白され、鹿島は現状を失いたくないばかりにそれに同意してしまうのですが……

こう断言して良いのか悩む部分もあるのですが、JUNE風味を感じました。耽美のJUNEではなく、家族の物語としてのJUNE。
ちょっと不満なところと、グッとくるところと両方あったんですよ、このお話。
文章が説明くさく感じる部分があるんです。
淡々とした文体とか甘さのない文章は大好きなのですが、ちょっとそれとは違う感じで、なんか「解らせよう、解らせよう」という文章の様な気がして、こっちの気持ちが乗りずらいところがあるんですね。
ただ、それを消して余りある魅力も感じるんです。
鹿島が自分についている嘘や、その嘘を繕うための狡さや痛さなどは、クルものがあるんですね、かなり。
また、子どもの無垢で残酷、勝手な感じの描写が上手い。
途中で薄々感じさせながらも、クライマックスまで不穏な感じを引っ張る手腕も好きです。何たって一気読みしましたもの。

あとがきによれば『初オリジナル作品』とのこと。
次作も読みます。
すごく期待しています。
小説読みの姐さん方、初物はイイよ(うわーヒヒじじいみたいなセリフ!)。

5

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