イラスト入り
katatsuno no bouki
ここしばらく私的人外祭り開催中で再読。
やっぱりよかったぁ…!
と、この萠えを同志と分かち合いたいと、
いつもお世話になっているこちらをチェックしたところ、
まだレビューがあがっていないので
拙い感想ではありますがひとつ。
まずは表紙が素敵ではないですか?
長身で広い肩幅に締まった腰、黒髪短髪…
私はガタイのいいワイルド系の攻めに目がないのですが、
攻めの牙狼丸は鬼なので当然ワイルド、すっごくタイプです。
しかも無用な殺生はしない主義で、好感度増し増し。
鬼ながら普段は木の実や獣を狩って食べているという設定です。
人間は精気を補給するための存在で食用ではありません。
肉は生よりも蒸したものがお好みで、
鬼的なベクトルでいうと草食系?(肉好きだけど)
いやいや。終盤に牙狼丸の○○が分かるのですが、
ああ、この性質もなるほど、です。
受けの和氣は儚い健気美人なので、牙狼丸が惹かれていくのも解るよー!
村人からの呼び名からして辛い感じなのですが、
その役を受け入れていて(受け入れざるを得ない設定で)
その諦念が彼を一種神々しく見せています。
ストーリーはあらすじの通り、エロ展開のしかも短編なので、
大筋では意外なこともなくいわゆるセオリー通りに進むのですが、
文章がお上手な作家さんなので、その掌で転がされながら、
お話しを噛み締めることができました。
私の最大のおすすめ萌えポイントは、
和氣が牙狼丸の折れた角を口で愛撫するところ。
エロいことこの上ないんだけど、
相手を想う気持ちが溢れていて、切なさの方を際立たせます。
あ。あと、双子の兄の正体が最後に泣かせてくれますよ…
和氣が複数の相手をする場面があるので(胸糞…!)
地雷の方も多いかも知れませんが、
鬼と、鬼狩り一族の村に住む薄幸な青年の、せつない恋物語を堪能しました。
二人には幸せになって欲しい。
後日談でないかなぁ…
追記:萌×2と迷ったのですが
(作者さんの別作品の方がより好きなので、相対的にそれよりは下かな?と)
でも短編で読後の満足度高い小説って、あまりない気がするのです。
好きなCPのあまあま後日談SSなんかで満足感に浸るのは、
その前提として本編で既に萌えているからですよね?
こちらは起承転結が萌えと共にコンパクトに詰め込まれていて、いいなって。
私はどちらかというとコミックスより小説派なので、
あー、ちょっと萌えたい!小説読みたい!でも時間ない…みたいな時、
こちらのような作品は必要です。
という事情を鑑みて作者さまのテクに神を捧げます。
あと、後日談読みたいし!(2回目)
短編なので一気読みでした。面白かった。続編希望します。村人達の胸糞悪い事。どうせなら滅ぼせば良かったのにと。でも和氣の頼みならばきいちゃう牙狼丸。和氣を悲しませたく無いからとか。他の鬼と違い、角が黒くて、身体の紋様が複雑だったのは実は鬼神だったからって。良かった。胸糞悪い村長なんて雷で焼いてしまえ!まさか双子の兄の志氣は生まれてすぐに間引かれてたなんて。で、和氣の事が心残りであの世に行けなかったとか。ようやく成仏出来て良かったね!鬼神の力で赤ちゃん作って名前は志氣にするとか、牙狼丸はどこまで優しいの⁉︎しかもカッコいいし。
佐々木久美子さんの挿絵は初見ではありませんが、今回非常に魅かれました。
今までだって、お上手という印象はあったのですが、ここまで心惹かれる感じではなかったので少し驚いています。何が違うんでしょう。鬼(人外)だから?発行が新しいものですので少し作風が変わった?などと考えつつも…。
元々描き込み多めの方ですが、大変穿った見方をしてしまうと、アンソロジーの挿絵を全部おひとりで賄ったため、ガッツリ描き込むだけの時間が無くてそれが良い方向に行ったのではないかなと思ってしまう自分がいます。
描き込むのは悪い事ではないのですが、全方位(人物も背景も小物も効果も)同じく力を入れてしまうと、全体の印象が抑えめになってしまう事はままあります。多分それで今まであまり印象に残ってこなかったのではと。
とても横顔が美しいです。濡れ場でも渇いているので、あんまりいやらしさ(エロさ)はないので好みの枠から外れる人もいるかもしれませんが、「挿絵」という枠で考えると却って良いような気もします。このお話が神話のような雰囲気を持っているので余計渇いた絵が合っていると思いました。
お話については、「神話のような」と書きましたが、挿絵との相乗効果でそう感じたのかもしれません。
たまに出会う、「人間が嫌いになる」ような話です。主人公たちの物語としてはもちろん楽しみましたが、それとは別に、人間の業の深さとか人間が一番醜いとか人間の残酷さとかそういった物が多分に含まれていて、自分も同じ人間なのでさらに嫌な気持ちになります。ファンタジー系のお話の宿命かもしれませんがね。
しかしそこは本筋ではないので。牙狼丸の感情の変遷、和氣の白痴とも言えそうな程の純粋さと悲しさ。これは果たしてハッピーエンドになるのか、悲恋だったらどうしよう。辛いかも。とハラハラしながら読みました。結果は読んでのお楽しみで。
孤独も愛も知らない者と謎の美しい青年が今まで持たなかった感情を知っていく…という大好きな設定と、かわい恋さんは何作か読んでとても良かったので購入。表紙も挿絵も素敵です。牙狼丸が鬼味強過ぎず、時代設定ふんわりなのも読みやすかったです。
和氣は初めから包み込むような優しさ柔らかさをもって牙狼丸を癒します。角を舐めたりいじらしい部分が出てくるのが可愛くて堪らなかったし、人生に絶望する事なく最後村人に復讐しなかったのは牙狼丸に劣らず神です。
尺が短いなか充分楽しめる作品でしたが、ちょっとラストの急な設定追加は唐突な感じがしました。
でも志氣いいやつ…(泣)
神率の低さは内容に対してではなく、この短さによるところが大きい気がします。