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isekai kara kita oujisama ga inko ninatte boku ni kyuaishiteimasu
トンチキ系のタイトルですが、これがしっかり練られたストーリーといい、キュンキュンさせてくれる二人の恋愛部分といい、とても面白い作品。
多分、冒険ファンタジーの部類に入る作品だと思うのですが、その中で異文化交流みたいなエピソードが効果的に使われておりまして!
それぞれの常識の違いによって起こるアレコレが、笑わせてくれたり萌えさせてくれたりと最高でした。
まずこちら、真面目で人の良い塾講師・阿久津と、力強い異世界の王子様・アグワンと言うカップリングです。
三角形に心を惹かれる阿久津。たまたま手近な文房具で作った三角形が異世界と繋がるゲートになってしまい、そこからやたら偉そうなインコ・アグワンが登場します。
実はアグワンは異世界の王子で、こちらの世界に迷い込んでしまった大切な人を探して欲しいと阿久津に頼んで来てー・・・と言うものです。
こちら、ストーリーがかなりしっかり練られていて面白いです。
異世界と繋がるゲートしかり、アグワンがこちらでは鳥になってしまう理由しかり。
あと、阿久津がたまたま作ってしまった不安定なゲートにより、アグワン達の世界に「綻び」が生じてー、みたいな手に汗握らせてくれる、ハラハラドキドキの展開も面白いんですね。
と、ストーリー自体も大変面白いのですが、それに加えて「あちら」と「こちら」の異文化交流的な部分が魅力的。
むこうでは名前に「あ」が付いたり、文字数が多くなるほど身分が高いとの事で、たまたまながらゲートまで作ってしまった阿久津は神官扱い。
あとですね、心が通じ合った者同士は、互いの事を感じとれるんですね。アグワン達の世界では。
阿久津が携帯電話で友人と会話してるのを見て、「私以外にも他の男と心を通じているのか!!」と、アグワンが嫉妬したりするのが大変萌える。
個人的に、攻めが受けの周囲の男に嫉妬したりするのが大好きなのです。
また、こうゆう異世界ものだと、主人公がある日いきなり異世界に行ったきりになってしまうと言うパターンが多いのですが、ゲートを使って二人が行ったり来たりするのも面白い所。
とは言え、たまたま出来てしまっただけの不安定なゲートを破壊しなければと、結構な緊迫感のある山場は訪れますが。
ここでのアグワンがなかなか泣かせてくれますが、そのへんはネタバレなしで。
と、色々盛りだくさんで楽しませてくれる、魅力的な作品でした。
まだこの作家さんの小説を読むのは2冊目だったりしますが、それぞれ結構印象が違う作品で、良い意味で驚いてます。
あと、インコなのにとても頼りがいのある攻めにはシビれました。
う~ん・・・。インコ攻めを格好良く感じさせてくれるんだから、すごいなぁと素直に感嘆します。
とても面白く読めました。
電子書籍で読了。挿絵あり。あとがきなし。
BLですから、本来なら『男性同士の恋物語』の部分に萌えるのが本筋なんですよね?ここの所「どうも私はちょっと違う様だ」と思う様になりまして……このお話もLOVEより別な部分がいたく気に入ってしまうという結果に。
私基準では「うっわ、おもしれー」なんですけれども……
阿久津は算数が苦手な教室を受け持つ塾講師。フェチとも行って良いほど三角形が好きで、本当は大学院に進学し三角形をめぐる研究をしたかったのですが、卒業論文に対する担当教授の評価は「これは数学的研究じゃない」。担当する教室でも、受験での点取りよりも数学の楽しさを教えようとして上手くいかず、生徒にも事務員にも侮られています。授業が終わり教室の片付けをしている最中、阿久津は棚の上に無造作に置かれているボールペンとマーカーが三角形の二辺を作っていることに気づきます。そこにもう一辺を足したら自分好みの三角形が出来上がると思い、バックの中に入っていた美容院の割引券を当てると、ぴったり!その出来に満足していると、いきなりその三角形が光を帯び、小さなセキセイインコが出現していました。アグワンと名乗るそのインコは、三角形が聖なるものとされる異世界の摂政王子で、聖なる三角形のゲートを通じてこちらの世界に来た『大切な人』を探しに来たと言うのです(安心してください。鳥人間ではななくあちらの世界では褐色黒髪の美丈夫です。古代ギリシャ数字のtriが誤変換されて現代日本では鳥になっちゃうというオチが付いています)。アグワンに協力を頼まれ、阿久津はその、人(いや、鳥なんだけど)探しに協力することになります。いつ壊れるか解らず、一度壊れたら復活は難しい不安定なゲート、一緒に行動する中で芽生えてくるアグワンへの好意、そしてゲートが生み出した『世界のひずみ』。正直だけれど引っ込み思案で、どうも人生が上手くいかない阿久津の大冒険の行方や如何に?
何に萌えちゃったかと言いますと、阿久津の『三角形愛』です。
こういうこだわりってありませんか?
私、小さい頃、ボタンがダメだったんですよ。あの形がね、嫌いっていうか、むしろ「怖い」って感じ。
こういうの「わかるー」って言う方は、このお話、大変興味深く読めるのではないのかと思うのです。
『合理的ではないと解っているのに捨てられない感覚が、実は異世界とつながる鍵だった』なんて、ロマンじゃないですかぁ。だって他人と違う事が、そしてそれが自分の生き辛さにつながっている様な気がするんだけれど、それでも捨てられないこだわりが、一気に幸運の入口に変わっちゃうんですよ。『大貧民』で『革命』のカードが揃う様な気持ちよさ!
評価がちょっとばかり低いのはLOVE部門が盛り上がらなかったから。
信頼が恋愛に変わる部分がもう少し丁寧、かつドラマチックに描かれていれば、もっと好みだったのになー……惜しい!