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アラサーリーマンと高校生のモヤモヤラブストーリー。初めて読んだ時はこのお話の滋味がわからなかったんですよね。でも何周かすると年を食ったせいもあるのか、攻め側の魅力がわからなくもないというのか。
出会いは、電車の中で受けが寝こけて寄りかかってた隣の人が後の攻めっていう、ほんと、ありそうでなさそうな始まりです。
攻めにも受けにも彼女がいます。高校生の亘が日課としている愛犬・タマコの散歩中に再会して顔見知りになった二人は、なんとなくいい感じになっていくんです。
なぜかわからないけれどお互いに気になる…っていう言葉にならない感情が恋に育っていくところがおそらく本作のメイン。そこはBLで飛ばしがちな聖域なのでガッツリ読めて嬉しいのですが、二人があまりにも淡々としている…というか、爺さん同士の茶飲み友達みたいなんですよね。でも枯れてはいない。
高校生の亘は彼女以外にもバイト先の男の先輩とエッチしたり適当に遊んでるし、サラリーマンの中野も彼女がいるのに女子高生とラブホに行くような節操ナシ。麻生作品に出てくる攻め受けはお盛んなのがデフォルトなのですが、そういう彼らが本気の恋に目覚める時に、セックス面での変化込みで描くための比較要素の一つになっていたりするんですよね。特にDKが好奇心で男と経験していたりすることが多いのは、攻めへの感情を本人に分析させるために効果的なんです(と勝手に思っている笑)
二人は修羅場をくぐり抜けて男同士で添い遂げる道を選ぶのですが、先のレビューにもあるように、最後のエピソードは確かにギャグです笑。深刻にならずに、明るく落としてくれるところがいいな〜。
今回のキューピッドはもちろんタマコ(パグ)。タマコの名前の由来に大体の人が噴き出すのに、中野は笑わない。そこも亘には何かしらフックになっていたのかもしれませんが、そんな中野の掴み所のなさからくる不思議な色気が妙にリアルで、しかもイラストが館野とお子さんときたものだから、、本作は攻めの勝ちということになりました。
面白かったです。
なんか要所要所にあるリアルさが怖いわ~。
この攻めを気にくわない方はたくさんいると思いました。大人のずるい男。でもけして性格が悪いわけではない、という。
受けも同じタイプなんだけど、若いぶん素直で、自分の気持ちに正直な面がある。
両者とも、他に付き合ってる彼女がいて、遊び相手も適度にいるという、普通の(これを普通というかどうかはともかく)リーマンと高校生です。
偶然知り合い、仲良くなって、一緒に過ごすのが楽しくなって。
ふたりとも二股状態で付き合うようになって、セックスを重ねるようになって。
その、本気とも遊びとも区別のつかない関係を続けるうち、離れがたい思いが強くなっていく。
覚悟なしには踏み出せない関係ながら、大人である攻めのほうはなかなか決断ができない。
受けは「覚悟をしたから」というより、若いから振り捨てれるんだよね。
お互いに偶然と意思の両方が作用して、少しずつ「唯一の相手」になっていく。
ラストはちょっとギャグだよねw
いったん決断したふたりの強さときたらもう。
このへんザ・大円団って感じですごく好きでした。