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おれたちは――どこで、間違えたのだろう?
toriko
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
旧版は未読ですが、吉原さん×稲荷家さんという事で期待値MAXで手に取りました。
ごめんなさい、ネタバレ含んでいます。
主人公は高校生になったばかりの浩二。
どうしても入学したかった高校に親友の将人とともに合格し、これからの高校生活に胸を膨らませている青年。
けれど、そこで出会ったのが沢田。
誰となれ合う事もなく学校でも浮き気味な存在の彼ですが、そんな沢田と将人は何やら因縁があるようで…。
というお話。
吉原作品ならでは、というのか、この作品はかなり痛いです。
沢田と将人の「過去のトラブル」を軸にストーリーは展開していきますが、天真爛漫な浩二が抱える浩二の実兄絡みの話も盛り込まれ、読者をぐっと惹きつけそして読ませる文章力はさすが吉原さんといったところか。
ただ、こんな高校生いるかなあ…。
という感想も。
俗っぽい言葉で言ってしまうと、中二病感半端ない、というのか。
そもそもちょっと古い作品ではあるので書かれた時代を考えると仕方ないのかなとは思うのですが、「今」の時代にはちょっとそぐわない作品だったように思います。
けれど、初めは沢田と将人の過去絡みのトラブルがメインで、彼らの関係という点ではあくまで脇役でしかなかった浩二が巻き込まれていく様は圧巻。その理由も。
ある種の三角関係のストーリーだと思いますが、ありきたりの三角関係ではない。異質だし、かなり衝撃的な関係です。この三人の関係が、この作品の面白さの一つであることに間違いないのですが、その「異質さ」ゆえに、この作品は好き嫌いがはっきり分かれるんじゃないかと思います。
個人的には沢田と将人の歪んだ愛情が、とても面白かった。
新装版は旧版に大幅な改稿と描き下ろしを加えた、とのことですが、旧版は未読なので加筆した部分に関しては分かりません。
新装版の描き下ろしは、将人が高校に入学し沢田と再会したときの彼の心情を、彼視点で描いたもの。
新装版も、「え、これで終わり?」という所で終わっています。旧版もおそらく終わり方は同じだと。BL的な意味合いで甘い決着がついているわけではないので、最後はハピエンで終わってほしい、という腐姐さまにはやや不向きな作品かと思います。もし旧版をお持ちで、最後の三人の関係がどうなったのか知りたい、そういった文章が書きおろしで書き足されているのでは、と期待されている腐姐さまがいたら、おそらく肩透かしを食う新装版になっているんじゃないかと思います。
けれど、この終わり方がこの作品の魅力の一つだと個人的には感じました。
沢田と将人、そして浩二。
彼らが、これから行きつく先は。
それは、読者一人一人が妄想すればいいのかな、と。
レイプとか、いじめとかが題材になっている作品で、濡れ場も鬼畜的な行為に満ちているし、甘い要素は皆無です。
終わり方も、なんだかもやもやした終わり方。
痛い話は好きじゃない、とか、最後くらいはハピエンで、といったストーリーをお望みの方にはお勧めしづらい作品かと思います。
私も痛い話はあまり好きではないので途中で挫折しそうになりつつ読み進めましたが、沢田の真っ黒な感情(様々なベクトルで)が非常にツボでした。
そして、何より、浩二の強さがまぶしかった。
あと、稲荷家さんの挿絵。
稲荷家さんなので綺麗なのは当たり前なのですが、正直、読み始めたときこの作品に稲荷家さんのこの表紙はちょっとイメージが違うなと感じました。
が、読み進めていくうちに、この清廉な絵柄が、浩二の内面を描き切っていると思いました。
読み終えると、タイトルの秀逸さにも気づきます。
読み手を選ぶ作品かなとは思いますが、ちょっと変わった三角関係のストーリーが読みたい、痛い話カモン!の腐姐さまにはお勧めなんじゃないかなと思います。