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抱きしめたいシリーズの新装版の第三巻です。
七年目の破局をむかえた彰と歴也のそれぞれの恋は、歯車が少しずつ噛み合わなくなっている。
三角関係ってとこにチェックしてますが、正確には四角関係です。
私、このシリーズの何が好きなのかなーって考えてたんだけど、自分でもはっきりは分からないです。
BLには遊び人の攻めってよく出てくるんだけど、たいてい『今まで遊んできたけど、お前(受け)に出会ってから、もう他の男なんてどうでもよくなった!これからはお前一筋だ!』ってタイプの遊び人なんですよね。
でもこのシリーズの攻め、彰は違います。付き合ったあとも、浮気を繰り返す。浮気じゃ飽きたらず、本気の恋愛までする。『お前を本気で好きだけど、アイツのことも本気で好きだ』みたいな。
最悪なやつだけど、それでも彰の魅力は損なわれないんです。歴也に対するジャイアニズム丸出しの独占欲や嫉妬に、ほのかな可愛げを見ることができて。そこにキュンとする。
ちなみに榊花月さんは、作品によってのアタリハズレが大きい作家さんだという認識に至っております。
やっぱり執行司の一途さに歴也じゃなくても安心してしまう…。
「あなたが誰を思ってても」だなんていじらしすぎる……!!
今はそうでもきっとそれじゃ耐えられなくなってくるような気がしてしまいますが
マメに携帯から家電にかけてくれたりとか
(そうか、当時は皆が持ってるわけじゃなかった…)
好きな人とちょっと話すだけでも嬉しいっていうピュアさがたまりません。
それに対して彰ときたら
司がつけた歴也のキスマークを見付けて更には三回も平手かまして
「この淫売が!」って……じゃあアンタはなんなの……。
こういう攻めやっぱりダメだ……完結する時までに好感度が上がる気がしない。
歴也の言動が正論過ぎてまた頭に血がのぼってしまっているのかもしれないけど
大体誰のせいかって話ですよ。
歴也、よく拒絶した!!!
こんな最低な男でもどうしていつも思い浮かべてしまうの…。
色んな意味で“初めての男”なのは仕方ないけど気の毒過ぎます。
自分の靴先にこぼれたコーヒーを歴也に「舐めろ」とか
彰のせめてもの強がりなんでしょうけど人として無理。
羽鳥が歴也に接触してくるのは意外でしたが
「彰のこと。なにも知っていない」ってあんまりじゃないかな。
じゃあ高校から付き合ってきた二人の年月はなんだったんだろう。
激しい感情だけが愛じゃないし
ましてや相手を思いやれない彰が荒れてるからって
なにも判っていないなんて言い方も無いと思ってしまいました。
秘かに傷付いて、今でも彰に日々抉られる様な仕打ちを受けている歴也のことを
羽鳥だってわかっていないくせに。
確かに羽鳥の過去はもう誰も愛せないほどしんどいものでした。
生きていく理由がわからなくなってしまったのも無理はありません。
その決意が間違ったものだとは言えませんが
彰を少しでも愛していたのなら思い留まる選択もあったのでは…。
それこそ普通の家庭に育ったものにはわからない感情なのでしょうか。
“誰かに愛されたいならまず自分から愛すること”とよく聞きますが
幼少期に充分与えられなかった羽鳥だから仕方なかったんでしょうね…。
『車のなかでかくれてキスをしよう』は
まだ彰と歴也が付き合っていた頃のエピソードです。
他人の恋愛事情を聞いてもやっぱり優しい歴也の人柄と、
高校の保健室のベッドで保健医の女性と関係した話をするとか
デリカシーも何もない彰の下衆さがわかるお話…。
「ずっとお前だけ愛してる」って結局嘘だし……。
その時はそう思っていたって言いそうですけども。
ふぅ、本当の幸せが訪れてくれるのか不安ですが見届けなければ…。