お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
renai habatsu
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
本作から大分後になってスピンオフ『雪の褥に赤い椿』が刊行されるわけですが、元ネタであるこちらの方が断然面白いのです。
若手政治家同士の、ライバル関係にありながら惹かれ合う二人@永田町なお話。
前半の「恋愛派閥」は瑞木視点、後半の「恋愛革命」は高透視点です。攻め受けのキャラクターが相手側からよくわかる構成で、コンパクトにもかかわらずエピソード満載の満足な読み応え!…といいますか、「萌えその他盛り込みがち」が通常の先生にしては程よい突っ走り具合です。しかもコメディ寄り笑
後半の方が萌え指数高めです♡
瑞木は与党の二世代議士。父親は与党最大派閥を率いる有力な次期総裁候補だったが、志半ばで病の為引退。その後も裏の国会と囁かれるほどの権力を保持し続けている。
他方、瑞木の政敵で野党第一党新人代議士の高透も二世議員。瑞木の父親の不正・汚職を追及していた高透の父親は、10年前に妻と高透の弟と共に謎の事故死を遂げている。
悪徳政治家二世と正義派二世が敵対しながらも、互いの信念に敬意を抱き恋に落ちる…というよりも、相手そのものまるごと惚れてしまうBL展開。
政治生命に執着がないヘタレな高透は仕事<瑞木。当の瑞木は相当手強い超のつく「ど」天然ちゃんなんです。
この瑞木が意外性の塊で、そのギャップに翻弄されてしまいます。めちゃくちゃ美人なのに色々とセンスがダサい。31歳だけど言動が完璧オヤジ臭い。高透の見立てでは、単に永田町常識に染まった生真面目で残念な仕事バカなのですが、お酒を飲ませたら最後、無防備になった瑞木が振りまく素直な色気に高透ともども撃ち抜かれてしまうわけです。
そんな危なっかしい彼を守る弟の優哉も注目キャラだし、瑞木の父親と秘書岸野の関係も気になるし、後半の高透視点では瑞木を狙う恋敵が登場するしで最後まで目が離せません。
シリアス一辺倒かと思いきや、安心して読める勧善懲悪コメディです。(注:華藤えれな作品比べ)
華藤えれなさんといえば、これほどペンネームと作風がマッチしている方はいないと思ってました。そう、この作品を読むまでは・・・
壮大な歴史ロマンか、華麗なメロドラマ。いずれにしても重厚でシリアスなものしか触れる機会がなかったので、そのどちらにも属さない華藤作品って、極めて新鮮。本当に同一人物が書いたのかと疑いたくなるくらい。
舞台は永田町。受けの瑞木はクールで辣腕の若手二世議員。攻めは対立政党のライバル議員高透。もちろん場所柄ドロドロの政争とか陰謀とかも渦巻いているんだけど、読み進めるほどに失笑、苦笑、ついには爆笑・・・すべてこれ、超あり得ない瑞木のキャラゆえです。
インテリアは金屏風、ペットは錦鯉、極めつけはオヤジ打ちの手拍子!!
せっかくの怜悧な美貌も持ち腐れ同然の、まことに残念な美人さんなのです。おまけに政治家なのにお酒に弱く、酔っ払ったら屋外だろうが、政敵の前だろうが構わず脱いじゃう!!実に危なっかしいというか、でも妙に可愛らしくてほっとけないというか。
高透とは与野党の対立以前に親同士の因縁もあり、本来ならロミジュリ的なせつない展開になってもいいはずなのに、瑞木の天然の破壊力の前にすべてぶち壊し。昼行燈を装いながら、実はちゃんと爪も牙も研いでいる高遠ですが、瑞木には降参って感じで、早々に甘い恋人兼保護者になってましたね。もちろん表向きはあくまで敵同士ですから、国会では激しく論戦の火花を散らしつつ、ですが。
この2人の?十年後の姿がちらりと垣間見えるのが「雪の褥に赤い椿」。2人とも出世して(瑞木なんて与党の幹事長ですよ!)相変わらずの好敵手で、ともに独身ってところが期待を裏切りません。
同じ政界が舞台でも「雪の」は正統派メロドラマで、これぞ華藤さんの本領なのでしょうが、私は断固「恋愛派閥」支持!佐々木久美子さん描く泥酔しておめめがぐるぐるになった瑞木も可愛かったし。
実際にこんな政治家さんたちがいてくれたら、解散総選挙ももっそい盛り上がるのでしょうに・・・
華藤さん、政治モノもいけるのですね!
華藤さんといえば京都を舞台にした純和風の伝統文化を扱った作品や、色んな意味で熱い海外モノ作品(ラテンとか闘牛とかマフィアとか)、はたまた身も凍えるような北欧モノ作品という印象でしたが、今回は政治。
政治を扱った作品て数多く存在していますが、さすがは華藤さんの作品でした!
新しい方向から攻めているというのでしょうか、いろんな意味で面白かったです。
受けの瑞木は頭もいいし、見た目も綺麗、政治に対する情熱も持っています。
しかし父親が大物政治家で裏で汚いことをしていて、知って強要され逆らえない歯痒さも持っている。
攻めの高遠は瑞木の敵方に位置する、これまた頭の切れる、見た目もオシャレでカッコいい若手新進の政治家。
しかし彼には辛く悲しい過去があり、その過去の復讐のために政治家になり、生きている。
こうくるとドロドロ・切ないお話かと思うのですが、それだけに終わらせないのがこの作品の光っていたところでした。
受けの瑞木が何ともセンスがないのです!
あんなに綺麗な見た目の持ち主なのに、もうどこかのお爺ちゃんかという全てにおいて笑えるセンスなんですよ!
服装然り、部屋のレイアウト然り、勉強会然り。
そんな瑞木を見るたびに、高遠が頭を抱える様子がまた面白い。
このお話を通して、若手政治家は裏ではこういうことをしているのねと、いろいろ知りました。
私はテレビで映る面しか知らないもので、またそういう方と係わることもないし、あまり興味もなかったので、この作品を通して選挙も近いし色々妄想の種になりそうです。
瑞木は二代目議員で、キレイな顔とは裏腹に冷酷で有能と評されています。
対立政党の若手議員である高遠は、最初から1期だけで辞めると公言しているほどで、国会質疑にもやる気のない態度がありあり。
高透は瑞木がかつて憧れ尊敬していた議員の息子。
高遠の父は政治献金問題で失脚し、その後事故死していました。
憧れていた議員も自分の父と同じ「腐った国会議員だった」という失望と、高遠のやる気のなさが相乗効果となって瑞木はイライラ。
「野心がないなら何のために政治家になったのか」と問い詰めると、高透は「復讐のためだ」と。
高遠の父親が失脚した事件とその後の事故死は、瑞木の父親が黒幕にいる…と。
父親が政治献金がらみで様々な取引をしている現場に、瑞木も立ち会う事が幾度かありました。
「このまま父親とともに悪事を働いていくなら、きみも敵だ」
そう宣告した後、高遠の仕事振りは一変。
瑞木父は高遠を探りますが失脚に値する事実は出てこない。
そうこうしているうちに瑞木にも心境の変化が。
もともと高遠の父親の政治信念に憧れていた瑞木は、失望から自分の父親のやっている悪事に目を瞑っていただけでしたからね。
父親が高遠を始末するために暴力団を雇い金を払ったと知り、止めに入ろうとして窮地に。
もちろん、高遠が救出にやってくるんですけど。
瑞木という国会議員は、まるで60代のようなジジイ趣味(錦鯉・金屏風・大仏像・富士山の掛け軸…)。
なのに酒には弱くて、飲み会の席では裏から烏龍茶を手配してごまかすほど。
飲み会で烏龍茶の用意されている席を間違えて座り酔っ払った瑞木は、庭で服を脱ぎ始めてしまうんですよ。
高遠が何か裏でもあるのかと怪しんでいる間もどんどん脱いでゆく(笑)。
翌朝同じベッドにいた高遠を「強姦魔っ」と非難。
瑞木はコトが済んでしまってると思い込んでいますが、高遠は根が紳士なので(据え膳なのに…意気地なし?)最後までやってません。
後日押し倒されたときに「初めてか」と問われて「あなたとこの前(みたいな感じのことを)」…って気づかなかったんですか、瑞木さん。
バリバリの政治家なのに、この恋愛オクテっぷり。
ギャップ萌にやられます!
「恋愛改革」では高遠の対立候補の新人が、瑞木にちょっかいかける話。
高遠によく似た政治家の卵・長谷川。
瑞木は同じ政党の候補者として面倒を見ているのですが、気に入らない瑞木の弟は高遠の首を絞めながら(怖~)、長谷川に勝て、兄を守れ、と。
長谷川が高遠と同じコロンをつけている。
「そのせいか酒を飲む度に、あなたと間違えて長谷川に絡んでいるんですよ」と。
その一言に重い腰を上げた高遠って…。
兄とその恋人の情事を盗聴してるブラックな弟もすごいです(笑)。
民主党が与党になった現在ですが、これは明らかに自民VS民主をイメージさせる設定。
国会が舞台ですが、そんなに固く構えなくても大丈夫、
主人公のおやじ臭さに笑ってください。
瑞木は二代目議員として、将来の首相を目指す若手議員。
若手のとりまとめとしても活躍して、その職務に真面目に取り組んでいます。
しかし、本当はよく見れば綺麗な顔立ちと華奢な体つきなんですが・・・
ペットは錦鯉だの、部屋には金屏風だの、地元からの土産品だの、全く持ってオヤジ臭く、華奢な体を隠すため、肩パット2枚重ねだの、服装もセンスがないったらありゃしない!
しかし、そんな彼を気に掛けているのが、野党の新人議員・高遠。
何かというと突っかかって、仲も良くないのですが、あることをきっかけに親しくとまではいかないものの、よく話すようになるのです。
実は彼の父は陰謀に巻き込まれ亡くなっているのです。
それに、瑞木の父が関与していたということで瑞木がどういう態度に出るのか?
BLとしては、とても地味な設定ですが、ちょっと面白くないですか?
こんな高遠みたいな議員がいたらいいな~とは思いますが、瑞木みたいのは、いくらなんでもいないでしょ?
いや、ひょっとするといるかな?
なんて、今後国会中継なんかを見る時に萌えを探すきっかけになるかもしれません。
実際、今現在萌えるような議員は自分にはおりませんが・・・(残念)
話の中に瑞木の弟が登場し、最初は高遠サイドへスパイとして潜り込み、後に瑞木の秘書になるのですが、彼がまた頭が切れるんです。
そしてお兄ちゃん思いの子で。
その顔と人柄で、見事高遠陣営を取りこんでしまいましたから、彼のブラックぶりが注目です。
弟で一本作品できそうですよ。
ということで、おやじ趣味全開の議員がライバルと恋仲になるお話、楽しく読める一冊です。