体をつなげれば、心も少しはつながるかもしれない―

あなたに落ちていく

あなたに落ちていく
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神2
  • 萌×21
  • 萌5
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

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レビュー数
6
得点
29
評価数
8
平均
3.6 / 5
神率
25%
著者
麻生玲子 

作家さんの新作発表
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イラスト
北畠あけ乃 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
価格
¥857(税抜)  
ISBN
9784773002805

あらすじ

キスが苦手な兎束友実(うづかともみ)が出会った大人の男・八代武秀(やしろたけひで)は兎束がいままで寝た中で一番のテクニシャンだった。行きずりに始めた体の関係のハズが、遊びと割り切った八代の、そっけない態度とはうらはらな優しい手に、いつしか兎束は彼の心とキスが欲しくなって…。

表題作あなたに落ちていく

サラリーマン
キスが苦手な大学生

レビュー投稿数6

忘れられない作品

北畠あけ乃先生の挿絵を探っていた頃に手に取った中の一つで、初読みにして麻生作品にソッコー「落ちた」キッカケとなった作品。ホント大好きなんです、麻生先生。

リーマン×大学生の、身体から始まるラブ。ストーリーは超絶シンプルですが、純情な受けが遊び慣れた年上男性にのめり込んでいく過程にキュンキュン。

ゲイバー「虹とかげ」で出会った二人。二十歳の友実にスーツの男が声を掛け、いつものように一夜限りの関係で終わるはずだったのに…。男の巧みさにすっかりハマってしまった友実は、もう一度その男に抱いてもらいたいと願う。

本編は受けの友実視点で、相手の男・八代の気持ちが全く読めないところがいいんですよ。友実と八代は確かに身体の相性が良くって、二度目もあった。八代は本気になり始めた友実から身を引くのですが、スパッと関係を切れない情を残したりして。謎めいていて冷淡な印象の八代が、地味〜にだけどメッチャ魅力的な男に描かれています。うーん、友実じゃなくても惹かれちゃうかも♡

同時収録されている八代視点のショートストーリーは、最初、蛇足なんじゃないかと感じていました。でも、時間が経って読み返すと、いつのまにか自分が本編も攻め視点で読むようになってて、八代視点にノリノリになっていたっていう。結局、彼の魅力にやられてしまったわけですね。。

あとがきに、八代が車の中で聴いているCDがネタバレされていて、このお話全体のイメージアルバムにもなっているとありました。昔聴いていたバンドだったので、それも嬉しいサプライズとなり…。(麻生先生、意外だな〜!)そんなこんなで、個人的に大変思い入れのあるお話なのです。

麻生先生には色々な扉を開いていただいておりまして、大事に大事に読ませてもらっています。

2

体から落ちるお話

クロスノベルス作品。

作者様の作品は2作刊行されていますが、どちらもしっとり切ない系です。本作はストーリーのシンプルさで勝負に出ているところに、見事ストレート負けしてしまった記念碑的作品でもあります笑。北畠先生ファンなのもあって、これは手放せない…。

ゲイの大学生がハッテン場で出会ったリーマンと、セフレから本気になっていくだけのお話です。なのに、なんでこんなにキュンキュンしてしまうのだろう。

本編は大学生の友実(受け)視点です。
 
キスと後ろはNGだった友実が八代と初めて体を重ねた時、キスは避けられたものの挿入されてしまいます。友実は彼がバイだと察知しますが、相性がよかったことに安堵しつつ彼のことが忘れられなくて、再会を願います。

八代の態度から一度きりが暗黙のルールだとわかっていても、友実は何度もいきつけの店に通い続けて彼が現れるのを待ちますが…

うぅ〜、何度読み返しても切なくてキュンキュンしてしまう。黙って八代の名刺を盗んでしまう友実。抱かれる前から恋の予感はあったものの、一度抱かれるだけでよかったはずなのに…。次第に友実の欲が膨らみ、八代への思いが募っていく様がまさに恋に落ちていく姿そのもの。

本作は作者様には珍しい、淡々とした攻めです。あまり自分の考えを言葉にしない、即物的で省エネな感じが男っぽい。本編後の「この腕の中に」で八代視点が描かれているので、ミステリアスだった彼の心中がわかるようになっています。

主人公は大学の女友達や高校時代の友人など理解者に恵まれているので、彼らとのやり取りにホッとさせてもらえます。麻生作品に出てくるゲイはマイノリティっていう感じがしないのがいいですね。たとえ辛い経験をしていても、不幸な顔はしていない。悩んだり傷付いたりしているんだけれど、クヨクヨしない。

ラストはもう、切なくてキリキリして、結末はどうなることかと指の隙間から見届けたくなるような思いです。

エチもネチネチ描いているわけではないのに、八代が上手そうな気配が伝わってくる…笑。作者様が意識していらっしゃるのかはわからないけれど、エチシーンを通して受け攻めの心情がヒシヒシとこちらに伝わってくることで、よりエロスが増幅されるんだなーと気付かされた作品でした。

0

健気な友美に同情します。。

大学生の主人公友美は、大学でもカミングアウトしています。決まった彼氏を作るのは面倒だと、ハッテン場で一夜限りのセフレを探します。
そんなある日、顔もテクニックも自分好みの男性とであってしまい、仄かな恋心をいだきます。
連絡先を教えたのに連絡がなく、それでも会いたくて八代の職場に連絡し脅すような形でもう一度会う約束をとりつけます。
八代はバイでいつしか女性と結婚するつもりだと言い切る男で、それでもいいからと懇願する友美に押し切られ、仕方なくつきあっているはずなのに、いつしか、月に2回と言う逢瀬の約束を破るのは八代で・・
八代の悪男っぷりと、そんなろくでなしとわかっているのに、惹かれていく友美の切なさ具合が、良い感じに交じり合っています。
健気な友美の想いに、八代でなくても、あーもう引き返せないって思いますよ。
約束だからと相手のために身を引く友美の潔さに、八代の方が傷ついてやっと自分の気持ちに気づく八代。
友美に惹かれている自分をやっと認めることのできた八代。短編で八代視点のおまけがついていますが、やっぱり八代は自分勝手で嫌な奴です。(笑)

3

シンクロしすぎ

麻生さんはたいてい落ち着いたしっとり系の話を書かれるので地味作家さんなイメージが強いです。そこが大人の女性が書いている感じがして好きだったりします。
あけ乃さんのイラストの効果か、榊花月さんの「それはなにかとたずねたら」を思い出してしまいました。両方とも体から始まる・・・っていう設定だし。
小説を読むときって、たいていまあ、主人公の方に感情移入して読むんです。(当たり前だ・・・^^;)感情移入って言っても普通は軽く共感できるな~と思って読むじゃないですか。ところが今回は主人公の友美ちゃんにめっちゃ感情移入しちゃって!一緒に八代さんにどきどきしたり、切なくなったり、痛い~とか思ってしまいました。久しぶりにシンクロして物語に酔ってしまいました。ああ、素敵だった。
ラストはハッピーエンドなんだけど、そのハッピーエンドが唐突で、そこだけちょっと惜しいかな~と思いました。もっと、ページを割いてしっとり納得のいくように読ませて欲しかったです。八代さん唐突過ぎ!それで友美ちゃんみたく嬉しいと思えることなく(そこだけはシンクロ出来なかった)混乱したまま終わっちゃって余韻があまり楽しめなかったの。う~そこだけ本当に惜しい。それ以外はとてもとても素敵で良いお話でした。

3

なにかとても、せつない!

体だけの関係から、心も欲しくなる、一途な気持ちの友美、
初めのころの、八代は、体の関係は、男性とでも自分は、
結婚も出世もほしい、普通の男性。

でも、体から始まった関係も、しだいに惹かれあい、
見合いであった、女性よりも友美を選んでしまう。

せつないけれど、素敵なお話でした、やはりイラストの北畠先生の影響が、
おおいにプラスされていると思います。

初めの主人公は、友美の目線で、続編は、八代の目線で書かれていて、
同じ所のお話なのに、新鮮で2度楽しめる、お話でした。

2

後日談とか見てみたいー。

偶然手に取った本。
何か面白そうなのないかなーと書店を彷徨っていて。
「あ、この作家さん、このレーベルでも書いてるんだ」と手に取ったつもりが、実は隣の本(コレ)で。
初読みの作家さんだったんだけども、あらすじ見たら面白そうだったので買ってきました。

バイの会社員・八代×ゲイの大学生・兎束友美

特定の相手を持たずに一夜限りの相手と過ごすことを繰り返している友美。
その日もそんな気分でいつものバーにいると年上の男に声を掛けられた。
それが八代だった。
八代とは肌の相性もよく、また会いたいと思ってしまうのだが…。

一夜限りのつもりで関係を持った相手に気が付けば恋をしていて。
相手に都合のいい関係でもいいから、関係を断ち切りたくなくて。
譲歩して縋って。
そうして手に入れてみても、肌の温もりは一瞬で。
むしろ、肌を合わせても心が冷えるばかりで。
実らない友美の想いがせつないです。
八代が中途半端に優しいせいもあるんだけども。
八代は恋なんて煩わしいと思っていて。
誰かと恋愛しようなんて気は少しもない。
単なる性欲処理として肌を合わせるだけ。
将来的には女性と結婚して子をもうけて。
しかし、それも自分の地位的なものでしかなくて。
それなのに衝動に惑わされる自分自身に戸惑ったりして。
最後には実るけれど、それまでの優しさは非常に都合のいい優しさのように感じました。
ま、友美もセフレとしてのルールを守れてない部分があったのでお互い様といえばお互い様のような気もしますが。
ちょっと友美のやり方も必死すぎとはいえマズイと思うんですよね。
昼間の顔と夜の顔があるわけで。
その中で生きる八代にあんな仕打ちをされても仕方ないかな。

「この腕のなかに」
こちらは八代視点でのダイジェスト版みたいな感じ。
後日談ではなく、あくまで本編の八代視点。
その時、八代はどう思っていたか、みたいな。
別れのシーンとか好き。

でも、どうせなら後日談とか読みたかったなー。

2

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