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honoo no kioku
今回のクライアントは花輪燿くん。
『炎を見ると記憶が飛んでしまう』という悩みを抱えています。
問題は、彼が通う高校の近く(それは如月先生の自宅の近くでもあるのですけれど)で、連続放火事件が起きているということ。
燿くんは自分が意識を失っている間に放火をしているのではないかと不安に思っています。
今回は洸太くんが大活躍だと思うのですよ。
如月先生の『可愛い弟』のポジションから脱却し『恋人』となるために、料理の腕を磨き、家事全般をこなし、時には先生のクライアントに対しても心を砕く……洸太くんって『金持ちエリート』ではないけれど、とんでもない『スーパー攻め様』ですよ。この人、理想の恋人だよ。
特に洸太くんが「凄いなぁ」と思うのは、幼少の頃に起きた事件での喪失感を昇華していること(これは当時の如月先生の努力も大きいのですけれど)。
その経験から、同様の痛みを持っている子どもに対する共感と言うか、身の寄せ方が素敵なの。
もう洸太くんの中では整理されていることなのですけれど、仄かな後悔というか、悲しみが漂うのね。
この感じにグッと来ました。
そんな洸太くんですから、燿くんが滅茶苦茶懐くのです。
それに嫉妬を覚えてしまう如月先生。
私はここに萌えましたよ。
理性では馬鹿らしいと思っていても嫉妬して、そして『恋』を明確に自覚する辺りが。
精神科医も人の子ですものねぇ。
博史という燿くんの友人のねじれ具合もなかなかでした。
ベタ(闘魚)のエピソードが、痛い、痛い。
でも「こういう子、いるよなぁ……」と思ったのです。
如月先生のクライアントは特殊な状況に置かれている子ども達なので、当然のごとく誇張されて書かれていますが、そのエッセンスはリアルだと思いました。
残念なのは(前作もそうなのですが)電子書籍には表紙絵以外に雪船画伯のイラストがないのよね。
見たかったなぁ……
児童専門の臨床心理士、東栄は現在10歳年下の恋人、洸太と暮らしている。
いい大人の東栄だが初めての恋にはとまどうことばかり。
自分のことだけでも手一杯な彼の元に、また新たな事件がやってくる。
気づけば自分たちのことよりも患者を優先しがちな東栄に洸太は……
カウンセラーとしては有能な先生の人間的な成長編とも言える2巻。
初めて恋を知った先生の葛藤っぷりが楽しいです。
しかし今回本当に成長したなあ先生。
いい大人に成長っていうのも変な感じですが、先生は精神的にお子様なので仕方ない。
相変わらず事件と二人の話とボリュームは半々くらいです。
今回は炎に関する事件。
友人同士の友情を越えた葛藤と、トラウマの話。
ラストの櫂の男前っぷりにやられそうになった。
あれだけのことがあったあとにこのセリフ。
なんて大物。
男前な受には弱いです。
炎をみると記憶を失うという高校生が登場し、人の記憶力の不思議が語られています。( ゚Д゚)
記憶をなくしていた間になにかされているという不気味さはあるものの、それが親友の仕業であると高校生がうすうす感ずいているので不気味さもそれほどではないです。
今回は如月先生の心理分析は、佐々木に対してと自分の恋ゴコロに向かっているので、前回ほどのさえはないです。(´ヘ`;)
しかしながら、心理分析の妙はおいておいても、天然っぷりはかわいいです。ご飯をまって口をあけている雛鳥のようで・・
身を挺して火事から高校生たちを助けようとする佐々木の姿をみて、初めて如月先生は押しつぶされるような不安感を抱き。。如月先生もやっと自分のなかの佐々木への想いを自覚してくれたよ!
甘甘の二人の姿もみられ、よかった、よかった!で終われます。
雪舟薫さんイラストも美しく「水の記憶」と併せてぜひ読んで頂きたい作品です。
水の記憶の続編。1話完結形式で書いていると作者さんは言ってますが、やはり順番に読んだほうが内容は分かるかと思います。
前回同様、カウンセラーである如月と元患者の佐々木の恋と、クライアントである子供の恋が同時進行です。
前回は佐々木の存在が驚くほど薄く感じたのですが、今回はきちんと如月の生活に入り込み、如月を支え、また如月も佐々木のことを考える時間が増え、嫉妬もし、前回よりも経験値がアップしているといえます。
佐々木のライバル(?)となるカウンセラーも登場しますし…
如月がクライアントのことばかりでなく、自分の恋についてもきちんと考えるようになってきたのは良い傾向と思えますが、子供のカウンセラーという重大な仕事を担ってる以上、自分の恋とカウンセリングをごちゃまぜに考えてしまうのは如何なもんかと思いました。
クライアントにまつわる事件についてもきちんと書かれているのですが、やはりクライアントの口伝に聞いてる事なので、そちらの恋話にものめりこむというほどでもなく、前回よりも若干中途半端な気がしました。
せっかく題材が面白いので、カウンセラーという仕事と自分の恋愛をクロスさせるにしてももう少し面白くまとまらないかなぁというのが今回の感想です。