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suitei renai
読み終えてレビューを書きにきて、え~、これシリーズものじゃないの!? 続編は? と愕然としてしまった……。
こんなおもしろ可愛い受けで、しかも弁護士もの、無限にお話が続けられそうなのに!
2003年刊行と古い作品だが、すっごく面白かった。24歳のおぼっちゃま弁護士・正実と、29歳やめ検の大食漢弁護士・憲章のお話。
正実は弁護士だった父を亡くし、自分が弁護士になるまでのその間、父の事務所を支えてくれていた高城に、長年苦しい片想いを募らせていた。
そこに現れた憲章は、以前正実が担当した裁判を傍聴していて一目惚れしたらしい。高城への秘めていた想いも初対面からバレてしまい、優秀だけど恋愛に免疫のない正実は、グイグイ来られて戸惑うばかり。
そんなところへ、ケーキ屋の遺産相続問題が持ち込まれ、ふたりで関わっていくことになる。
この受けの、「免疫がないため、好意を示されてもどうしていいかわからない」という感情の描き方が秀逸。
憲章に迫られて、思わず高城に電話を掛ける(フリ)、というのも内心のパニックぶりをよく表しているが、もっとわけがわからないのが、動揺したり気持ちがたかぶると、「米を炊く」っていうの。しかも一升。
で、炊きあがった一升飯を夜中に炊飯器ごと、せっせと憲章の住むアパートに届ける…。
BLとしてはエッチも最後までしてないし、仕事に割いているページも多いので、萌え度は人によるかもしれない。けど、全編に渡って描かれる「おいしいものを作ること」、そしてそれを「おいしく食べること」は愛である、というテーマ性が素敵。
正実と、ずっと成長を見守ってくれていた高城がいつも一緒に食べていた、あいのり蕎麦。ケーキ屋の養子に入った弟子の作る、芸術品のようにおいしいケーキ。なにかにつけて、正実が憲章のために炊いた一升米と、自己流の赤飯。そのお返しにと憲章が振る舞った、手打ち蕎麦。
物語の中に登場する美味しそうな食べ物はいろんな形の愛情の象徴で、そこかしこにとにかく愛がちりばめられていて、じーんとしてしまう。
終盤の「また炊いちゃったんだ…」って言う場面がもう、ほんとに可愛い。この受けが攻めのためになんども米を炊くお話を、もっともっと読みたかった!
新米弁護士の正実は、先輩の高城と2人、小さな町の弁護士事務所を経営しています。
そこに検事あがりの弁護士・憲章が新たに採用されてやって来る・・・という出だしですが、正実は勉強一筋で生きてきた真面目で誠実、繊細で世間知らずなお坊ちゃま。密かに先輩の高城を想っていることが憲章にばれ、普段は温厚な正実ですが、そんなこともあって憲章だけには刺のある態度をとってしまい後に引けなくなります。
町の人からは優しい弁護士さん、けれど憲章だけにツンデレ。
憲章は正実に見惚れてこの事務所に就職を決めており、グイグイ正実を口説きにかかりますが、正実の警戒心は崩れません。
そんな攻めの弁護士・憲章と守りの弁護士・正実のお仕事と恋愛のお話です。
がっつりお仕事していますので、恋愛とお仕事の描写が半々くらい…か、むしろお仕事のほうが比重が多いかもしれません。
恋愛ものとしてはどうか…というと、私の個人的な感想ですが、この話で2人が担当する裁判の内容が気になって気になって恋愛部分に集中できませんでした^^;
弁護士が題材のお話は好きだし、あまり悲壮でない事件なら楽しんで読むのですが、今回の依頼人はケーキ屋を経営する家族で、四人兄弟のうち長男は家のお金を持ち出し、危ない商売に手を出し、家族のことも省みず弟と妹の面倒も見ず親の葬式にも顔を出さない。
次男は養子で、下の弟と妹の面等を見ながらケーキ屋をのために尽くし家計を助けてきたのに、父親が亡くなると長男は遺産の取り分が少ない事に不服を申し立て、養子に遺産はやらないので家を出ていけと裁判を起こします。
家族の助けになってきたのは養子の方なのに、私は法律のことはわからないけど、裁判では人格は考慮されず血族を守る事が多いらしくて、この場合は養子が負ける確率が高いそうです。
そんな酷い話ある?!て思いまして、そっちの結末が気になり、やたら嫌がらせを仕掛けてくる長男に腹が立ち・・・正直怒りが大きくて楽しいお話としては読めなかった。
もちろん正実たちは奮闘するのですが・・・恋愛如何よりも裁判の結末が気になって読み急いでしまいました・・・。
やはりお仕事ものなだけに、恋愛をガッツリしてる感じとか、恋が育っていく部分の比重は少ない気がします。
ただ、この2人には特筆した個性があります。
作者さんならではのユーモアでつづられた、奇妙なやりとりというか、次第に憲章が気になってくる正実が取る奇妙な行動が2つ。
1つは、いいムードになった時に(そんな自分が許せないのか)高城に助けを求めるフリをして留守電に「助けて」と電話をかけます。留守電ですので実際に助けて!て思ってるわけではなく、その子供っぽい行動が可愛くて可愛くて笑えます。
もう1つは、歩み寄りたいのに、素直になりたいのに抵抗のある正実は白ご飯が好きな憲章のために、炊飯器を買って炊けるまでじっとその場で待ち、炊けたら炊飯器ごと憲章に持っていきます。
お詫びのつもりか譲歩なのか、ご飯を炊飯器ごと出しだす正実と、それも受け取って食べる憲章も含めて面白くて仕方ない。
何度も何度も持って行くので憲章の家は次第に白ご飯でいっぱいになっていきます。
「また炊いちゃったんだ・・・」という憲章の台詞が笑えます。
「一緒に住もう」とは言えない正実が心の中で言う台詞「ご飯いっぱいあるよ、ご飯好きだろう?」ってこんな変なプロポーズ(?)読んだことない。
うーん、白ご飯でプロポーズて・・・正実が不器用で、恋をしたらどう行動していいかわからない箱入りでなんですね。お仕事をこつこつこなしながら、堅苦しい場面と可愛すぎるシーンのギャップがありすぎる所がすごくよかったと思いました。
何気ない小ネタでどうしてこんなに温かい気持ちにさせられるのか。正実と蕎麦屋「初麦」二代目とのやりとりにクククと笑い、初代親父さんの『一蕎麦』命名エピソードでキュンとした。極めつきはやっぱり赤飯。やられた~!という意識と、そうでなくちゃ!とでも言いたいような嬉しさ、愉しさ、気持ちよさ。憲章と正実の愛、高城の正実を見守る愛、真一の寄せる親愛、初麦親子の愛、ケーキ屋の秘めた愛エトセトラエトセトラ…いくつもの愛がちりばめられた物語は始めから終わりまで笑いと幸福感を味わわせてくれた。読み終えて一言、「ごちそうさま!」
とにかく受けのお坊ちゃま弁護士がカワイイ。
勉強ばかりしてきて、世の中の事が分かっていないと自覚している。いい子でいる事が自然なタイプなのに、検事から転身してきた新人弁護士に、秘密を見られてからの悪態等のバタバタぶりは、読みながらクスクスと笑ってしまう程面白い。
その攻め様が大食いのお米大好き人間なので、自分の気持ちをどうしていいか分からないから、わざわざ炊飯器を買って、一升飯炊いて、玄関前まで持って行く。
その可愛いさを攻め様も良く分かっていて、[・・・最初の喧嘩のあとでご飯が届いた。これは『ごめんよ』の一升だ。二度目はキスのあとに届けられた。こっちは『嬉しいかも』の一升。・・・]などと嬉しがる。
ここの文章が好きです。
攻めも受けも、周りのキャラクターも皆気持ちが良い人達で、読後感がとても良いお話でした。
好き作家たけうちさんの弁護士物。
憲章[攻]は以前に正実[受]に一目惚れして弁護士になり、彼の弁護士事務所へとやってくるので最初っから確信犯的に正実狙いな訳です。
どこか野性的な魅力を持つ怖い物知らず的な憲章と正実は対極的。
正実はお坊っちゃま育ちで弁護士になりたいという一心で勉強だけやってきた男で、仕事に掛ける情熱は高い若き弁護士ですが恋愛面等には免役が無いというタイプ。
攻の憲章に守りの正実。
弁護士の仕事として、ケーキ屋の養子と実子との遺産分配争いに関わるのですがその事件に関わりながら正実が、すとんと憲章に魅かれているんですが自分でもまだその感情が恋と分かっていないのか行動がおもろいのです。
憲章は大食漢で特に米を大量にわしわし食う男で、彼の為に紅茶一つ入れられない正実が電気屋で一番良い炊飯器を買い店員に教えてもらった無洗米も買って一升飯を炊いてその炊飯器を憲章の元へと持って行っちゃう。
アホな行動なんですがそこが凄く良い。
そしてまた美味しいご飯を炊いて彼の元へ持って行こうと思う正実がもっそい可愛いです。
といっても健気受じゃないんですよ、ツンデレっていうかクーデレかな。
本人がいったって真面目なのが良いんです。
嬉しいと作り方は無茶苦茶だけど赤飯炊いて持ってたり、ともかく大量の米を炊いては炊飯器を運びます。
事件の方も正実と憲章の互いの力で無事に勝訴。
その裁判もなかなか読み応えがあり、
正実の兄貴分でもあり、彼の初恋相手でもある高城がまたいい味出してます。
憲章と正実の軽快なやりとりも楽しいです。
BLなのに、最後までやってないっていいの、それ、と思いますが、なんだか許せてしまうお話。
主人公たちの話と同時に、弁護士としてかかわる案件のラブストーリーもあって、なんともいえない読後感があります。
ほこほこの炊きたてご飯が、ものすごくラブいです!
わたしは大好きな一冊。