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誘拐犯と誘拐された子供、という読んだことないような雰囲気の作品でした。出だしが昭和50年代なのでそんなに昔のお話なのかと思ったらこれ自体が20年以上前に出た本でした…。
最後まで読むとああ、そういう事なんだ、という雰囲気系ミステリーです。せつなくてドキドキもします。
お話がうまいなあという感じでした。
主人公の二人は甥と叔父の関係なのですが、甥である鳴海は家出をして叔父の家に逃げ込み、叔父である要は捜索届が出されている彼をかくまって何年も暮らしています。
鳴海は学校にも行かず、身元不明なので保険証もないまま、外に出ないように、人に会わないようにひっそりと暮らしています。
叔父と甥でありながら、誘拐犯と誘拐された子供という関係の二人。
五年の時効が来るまで二人は誰にもばれないよう生活してるんですね。
でも時効を目前に、要は刑事にマークされ…。
誘拐犯と誘拐された子という関係にまず不安や背徳感を感じ、読んだことないようなスリルを味わいました。
せつないし、ハラハラします。二人が望んで一緒に居るのだから、早く時効の日が来て!という気分でした。
そして、地味ながら、終わらせ方もすごく良かった。細部までよく考えられてるなあという感じでした。
しかし、ストーリーがおもしろくても萌えとはちょっと別かもしれません。むしろストーリーが面白かったから、うまく恋愛部分とからませきれてないような気もします。
もしこれがただの誘拐犯と誘拐された子供が逃げる話で、ただの甥と叔父でもストーリーそのものは成り立つ気もしました。
要は、中学生のときに結婚を約束していた女の子がいます。
今は独身なので別れたのでしょうが、なぜそれで今10以上歳下の甥が恋愛対象になったのか、とてもわかりにくかったです。
それ以上に、二人にはもっと大きな複雑な関係があり、それを踏まえて読むと、どう考えても恋愛対象になるのが不自然な気がしました。
鳴海の要に対する思慕や愛情は素直でかわいらしくて共感できるものでしたが、反対に大人である要が子供の鳴海を性的対象と見た上で恋人に向けるような愛情を持った説得力はちょっと薄い気もしました。
普段は近親ものは好きなのですが、これはただの親戚じゃだめで、恋人でなければならない理由がもう少しあればもっと萌えられたのにという気がします。
しかし、ストーリーとしては今はないようはちょっと古い感じも相成ってとても良かったと思います。
鳴海[受]は虐めを受けて不登校となり家出をして、叔父の要[攻]の元へと行きます。
そして叔父の元で、彼に勉強を教えてもらいながら通信教育で学校に行かずに過ごしている。
そこまでならまあ有りなストーリーなのですが、この作品が特殊なのは、鳴海には5年前に捜索願いが出ていてつまり行方不明状態のままなのです。
何故か、要は鳴海を己の元へと置いている事を姉夫婦にも隠しておりそうして2人は暮らしています。
そこの理由がどうにも分からないのですが、反してそこがこの作品の奇妙な雰囲気にも繋がっているのでストーリー的にはこれはこれでいいのかも。
時間軸はころころ変わりますが分かりにくいという事は無いです。
一応誘拐事件になる訳ですが、この時効が近付いていて彼等に目を付けた刑事が執拗に追ってきます。
要は職場も辞め、鳴海と逃亡します。
最後はついに時効を迎え、鳴海と要は法律で罰せられる事なく共に過ごす事が出来る様になった訳です。
最後の最後でどんでん返しというかさらりと真実が明かされます。
そういえば一応伏線はあったんですけどね、これは上手くひっかかってしまいましたですよ。