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wakareya honpo
面白かったー。
簡単にいうと「別れさせ屋が、ターゲットに惚れてしまう」というストーリーで、このミイラ取りがミイラになっちゃうパターンの小説は何作か読んだことがあるんですが、今まで読んだこの手のストーリーのなかで、一番面白かったです。
面白かったポイント、いくつかあります。
一番イイと思ったのは、別れさせ屋である攻めが、ターゲットを落とすためのテクニックをちゃんと持ってるのが伝わってくること。(恋愛感情に疎すぎて、「こんなヤツが別れさせ屋なんてできるわけないやろ…」と思わされて萎えちゃう小説も、なかにはあるので…)
受けも、はかなげな美少年のように見えて、いろいろと食えない男でした。
あと、脇役の充実っぷり。みんな個性的で魅力的です。
で、ラスト間際にあるスピード感のあるどんでん返しに次ぐどんでん返し!予想してたものもしてなかったものも、すべて含めて怒涛のような連続どんでん返しでした。
最初から最後までワクテカと楽しいお話で、これぞエンターテイメント!って感じがしました。
文体に挫けず喰らいついて(読み続けて)行くのに大変な労力を要しました。ツラかった・・・
『HP削られる』ってこういう心境なのかなあとしみじみ実感(ゲームしないのでわかんないんですが)。
日向さん作品は、この非常に個性的な文体・書き方にいったんは挫折しました(『極・愛』で。決してつまらなくはなかったんだけど)。
その後、何年も経ってようやく再度挑戦し、(面白いとは思ったので、その後も買って山になってた)積み本をかなり読みました。
特に、数こなした慣れもあってか最近の作品は結構すんなり読めるようにはなったんですが、やっぱりこの頃のはキツイわ・・・
ストーリーとしては、一緒に出掛けた雪山で双子の弟を亡くした男が、弟の恋人だった楓(受)に弟と認識されてしまい、楓に『弟(楓の恋人)は死んだ』『自分は弟じゃない』と告げられない男が別れさせ屋に依頼してと言う流れで、当初の予定とは違うものの結果的に楓を担当する『別れさせ屋』が幸太郎(攻)という流れです。
導入は楓と恋人の兄のシリアス~なシーンなんですが、それが一転別れさせ屋サイドになるともうギャグだ・・・
そもそも基本的にシリアスなストーリーなのに、脇のメンバーのキャラクターや台詞回し等、トーンが軽過ぎてアンバランスです。
もちろん『コメディ』として描くんならまた別だけど、これ違うしさ。
それに、もともとハートマーク等の記号乱舞は苦手なんですよね。
私が『日向さんのシリアス寄り』の作品が苦手なことが多いのは、おそらくこの『どっちつかずの雰囲気』だという気がします。
シリアスだからずっと真面目で暗くないとダメだなんて思ってません。ただ、いくらなんでも落差あり過ぎというかふざけ過ぎに感じてしまうんですよ。←このあらすじからしてちょっと無理。
もちろん、このコミカルなトーンが日向さんの持ち味だというのは承知してます。でも、ここまでやるんならもう完全にコメディで書けば?って思ってしまう。
せっかく設定やストーリーがよくても、それを楽しむところまで辿り着けないんです。
正直、こちらは何とか読み通すのがやっとで、キャラクターやストーリーの『よさ』を見出す隙もなかった気がします。
というより、個人的に好みの要素がひとつもないんだけど。『ターゲット・騙す』ってキーワードだけで避けたいレベルで苦手だし。
う~ん、とにかく私には合わなかったって感じです。それしか言えません。
さらに、個人的にイラストの如月さんが苦手なので、それがまた残念に輪をかけてました。
『しゅみじゃない』でもいいくらいですが、一応ちょっと迷ったので『中立』にしときます。