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sonohi dake denaku itsumo
短編五編収録の作品。最初の三編は、主人公の柚木がバイトで男に身体を売るお話で、その背景は主に四編目で明かされ、最後のお話が本命の相手。バイトはタチ役のみで、支援者の伊勢崎と本命の時田にだけ抱かれるところにぎゅっとなった。
バイトで寝ている相手とのやりとりは、柚木は仕事と割り切っていて、相手は本気を見せている感じ。それでも関係性はさらっとしてるかな。ただの家庭教師のバイト先でも迫られる柚木の仕返し(?)には笑った。
身体を売る仕事を斡旋したのは、両親を失った柚木を支援する伊勢崎。その前に伊勢崎も高校生の柚木に手を出しているわけだが。ここの関係は、今だと洗脳やグルーミングとされる類のものかもしれない。
でもこの作品中の扱いは、それは伊勢崎の愛だと言い、柚木の中でも好き嫌いを越えて離れられない存在で、優先順位は純粋に愛し合っている時田より上のよう。
時田と過ごす様子が描かれた五編目は、本当に幸せそうに見えたのに、苦痛を与えてくる伊勢崎を選ぶラストにモヤモヤ。
正直、捉え方が難しい。打算で支援者を取るのでなく、感情で離れないのには、引き取ってくれた感謝も含まれるんだろうか。伊勢崎の目的が性的に弄ぶことだったとしても、彼がいなければ今の自分はないわけで。
周りがどう思おうと、その人たちが生活を支えてくれるわけではないし、自分を貫く柚木はある意味強いのかもしれない。まあでも柚木は時田も離さないんじゃないかな。
最後に各章のタイトルを見ていろいろ納得した。