ヘル・オア・ハイウォーター3 夜が明けるなら

ヘル・オア・ハイウォーター3 夜が明けるなら
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神34
  • 萌×27
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
9
得点
204
評価数
43
平均
4.7 / 5
神率
79.1%
著者
S.E.ジェイクス 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
モノクローム・ロマンス文庫
シリーズ
ヘル オア ハイウォーター
発売日
価格
¥1,000(税抜)  
ISBN
9784403560316

あらすじ

11年前CIAの密室で受けた拷問ーー悪夢から目覚めたプロフェットは、
部屋の中にかつての仲間で初恋の相手・ジョンの姿を見る。それが現実なのか、幽霊なのかわからないまま……。

EE社を辞めトムと一緒に暮らし始めたプロフェットはかつての上官・ザックからの依頼を受け、トムとともにアフリカのジブチに向かった。
だが待ち合わせのホテルで二人を待ちうけていたのは、CIAのランシングーーかつてプロフェットを拷問したあの男だった。
ランシングはジョンの関与を疑い、プロフェットを追っていたのだ。ジョンは生きているのかーー?
そんな中恐れていた体調の変化が起こり、ついにプロフェットはトムに秘密を打ち明けるーー。

情熱のバディ・ロマンス、第三弾!

表題作ヘル・オア・ハイウォーター3 夜が明けるなら

民間傭兵派遣会社勤務(元FBI・元保安官補),36歳
31歳,元海軍特殊部隊・元CIA工作員

レビュー投稿数9

完結編待ち続けます。

ヘルハイシリーズ一気読みしました!
あまり事前情報を入れずに読みだしたので、勝手に3巻で完結と思い込んでいました。
ページ数が少なくなるにつれ、なんか変だな…終わるのか…?……、え、これで完結???と疑問符の嵐(←完結ちがった笑)
かなり月日が経っているようですが、3.5巻と完結編4巻の翻訳版は果たして出るのかなぁ?出版社様ぜひよろしくお願いいたします。

さて。
3巻まで読み終えて、海外小説の骨太さ、雄同士のぶつかり愛、たっぷり満喫させていただきましたー!
男女の海外小説も好きでよく読んでいたのですが、やはり日本の小説とはちょっと違うんですよね。読み応えがすごい。

ヘルハイシリーズも、2人の持つ背景や背負っている過去、それに伴うケンカやすれ違いがありながらも絆を深め、いつの間にか、確実に、お互いにとって大切な存在であり愛を育む様子にぐっと来ました。
ふたりとも頑固だしなかなか全てを見せてくれないので、つい一緒になって「もーーーー!素直になれよ!弱み見せろよ!頼れよ!!!」と何度もやきもきさせられますが(笑)
それだけに2人がお互い隠していた秘密や心情を分かち合い支え合っていく姿には感動です。

一筋縄ではいかない男たちの物語、ありがとう大好物です。

総合的にはとても面白いのですが、時折どちらのセリフか分からない場面や、前触れなく現れる言動、時折あれこの人誰だっけ?となることがあり(自分のせい)
その部分を読み返すために若干読了スピードが遅くなりました。その辺りだけ少し残念かな。

小山田あみ先生が大好きなのですが、ヘルハイシリーズも表紙、挿絵すべて素晴らしかったですー!眺め倒しました。
外国人男性のガッシリ感やストイックな雰囲気なのにエロスが漂っていて最高です!!脇キャラも漏れなくかっこいい!
本当にありがとうございますありがとうございます。最終巻が出版される際にはぜひこのまま小山田先生の骨太トム&プロフが見たいです。

1

優雅

3巻にして遂に冒頭から全力でイチャイチャしてくれました。それも同棲してる…だと…1巻からの距離の詰め方がすごいな君たち。「プロフェットは手に負えないほどに抗うが、ひとたび折れると完全に、とことん優雅に、屈服を受け入れる。〜」って描写がとても好きです。潔いプロフ。

3巻は1,2巻に比べてアクシデントも少なく甘い巻でした。話が進展していないわけではなく、むしろ成し遂げたことは多い…失明の告白、ゲイリー、マルとキリアン、愛してる、サディーク……けれどドンパチが少ないのでなんだかぬるっとした巻です。

終わり方は、ほほぉ…という感じ。完結巻の翻訳、今読んだばかりの私の待ちぐあいどころではなく皆様待ってると思うのですが…出るのかな?

2

3巻目まで来て初めての……!

ヘルハイシリーズもついに3巻目ですが、小山田先生のイラストがまたまたパワーアップしていて絵画みたいです。
ヘルハイが小山田先生で良かった! というか、それ以外考えられないとさえ思います。
本当に綺麗!

2巻のラストで住みかを失くしたトムは、プロフェットの家で一緒に暮らし始めています。
1巻からずっと登場するブレスレットの件といい、プロフの本名を呼ぶ件といい、2人の距離が本当に縮まったんだなと思えて、こちらがうるっときてしまいます。

この巻ではプロフの過去に関わる幾人かが初登場します。
かつての仲間も登場するので、新規の登場人物がかなり多いのが特徴です。

またプロフの例の身体的問題についても、ついにトムへ告白します。
が、予想通り揉めてます。
プロフがかなり荒れてますが(自制しようとしているのが凄い)、トムもそれは言わない方がいいだろうというような言葉を言ってしまっているので、収拾がつかないかなと思っていると意外な人物が登場して驚きました。

ここで彼を絡めてくるのは上手いなと思います。
2人だけだと、嵐がおさまるのはいつになったか。

正直、佳境でプロフがトムにある約束をさせた時には胸が痛みました。
ただトムが約束してくれたのは良かった。
トムには辛過ぎることでしょうが、「そうならない」ではなくて、「なった時」にどうするのかの約束をしてもらうことって、個々人の性格によっては最重要だと思います。
プロフもそれでようやく前に進める感じでしたし。

とまあ、しんみりしたわけですが。
これ以降のその手のシーンでは、ついにコンドームなしでやってます。
「検査結果が出た、クリーンだ」っていうプロフの台詞が印象的。
そうですよね。よく考えると「なし」でやるなら重要だよねと妙に納得。

そして、コンドーム以上に驚いたのが「愛してる」の台詞。
この巻で初めてお互いに言葉にしているシーンがあるんです!
逆に、初めてだって気づいて驚きました。
愛してるの言葉がないのに、こんなに「相手のこと好き過ぎるよね」って感じられる(1~3巻全てで)のが凄い。

尚、個人的には、ある2人の(トムではない)プロフに対する根っこの考え方が似ていて苦手だなと思ってしまいました。
「プロフは素質・才能があるからそれを活かして生きるべき」(意訳)と考えているらしいんですが、2人の発言にはプロフ本人がどうしたいかについてが何もないんですよね。

片方は特にプロフの将来を思ってのことなのかもしれませんが、本人の気持ち置き去り感が半端なくてもやっとしました。

原著は3巻の後に3.5巻(50ページ弱)と4巻が発売されていて、その4巻目で完結したと聞きました。
人気シリーズなので4巻は翻訳されるだろうと信じますが、ぜひぜひ3.5巻も翻訳してほしい!
現時点では4巻翻訳の情報はまだありませんが、早く翻訳されますようにと心から願っています。

9

弱さすらも分かち合う運命の男

ああああ、何ということでしょう。
ネタバレ無しで読んでたので、これが最終巻じゃないこと…知らなかったYO!
まだ続くのね…しかもまだ出てないのね…

で、この巻。一気に読めれば良かったんだけど、時間が取れず数ページずつチビチビ読んでたせいか、ストーリーが迷子になってしまった…
もちろん、プロフとトムの関係性はわかります。そこは大丈夫。
だけど、ジブチの任務でランシングにあった後、仲間たちが遂に集結して〜からの流れ、よくわかんなくなった…
マルとキリアン?いつよ?
サディーク、ジョン、ランシング、あー?
ゲイリーとキリアンはどこで…
んんん
もう一回読もう。
それはそれとして、プロフとトムはますます深まっている。言い合いは相変わらずだけど、プロフは目の病気のことも、それをやはりどうしても恐れていること、ランシングに犯されたことに傷ついていたことも、つまりは「弱み」すらトムにさらけ出した。
酷くなっていくプロフのPTSD、トムの偏頭痛。セックスで、会話で癒し合う2人。
まさに「病める時も」。
プロフとトムだけでなく、全登場人物たちのタフな人生がめぐる超骨太な巻であることは間違いない。
ラスト、いよいよ近づいてくるジョン・モースの存在。
ここで放り出されてどうしてくれる?

2

IF I EVER

ソフトクリームを一舐めって感じですが、
とりあえず、読了しました。

【IF I EVER】

これは、【夜が明けるなら】の続編で完結作となります。

皆さん、公式発表されているジェイクス先生の信条を知ってますよね?

『ハッピーエンドと、求めるものを手に入れるために戦うこと』

ジェイクス先生、素晴らしい!!!

日本のBL小説ならドン引きされるレベルで戦うプロフとトムは、私の約35年にわたる美少年耽美小説時代から含め、過去最高のベスト・カップルです☆

新書館スタッフさま、最終巻、どうぞ、よろしくお願いします!
冬斗亜紀先生、翻訳、心から、お待ちしております。
小山田あみ先生、先生の挿絵がない長文英語を読むのは、マジ、滝行レベルなので、どうかイラストを授けてください!

3年間、くじけそうになりながらも待ち続けたかいがありました。

世界中の皆さん、一緒に、この喜びを分かち合いましょう☆

19

やえこ

kissweissさん、気付かなかったんですか?!

もう3巻で既にプロフとトムは結婚し、子どもがいるようなもんでした。
その時点で、2巻の女性占い師の話しは当たっていたんですよ!

さて、3巻の最後に守りたい家庭を持ったプロフが、
4巻では、どうなるか?!

楽しみに日本語版を待ちましょうね☆

2019年1月に4作目がリリースされます!

この一冊を読んでからもう3年がたちました。
ここでレビューするのはほかではない、最終作がまもなくリリースされることに気づきました。
IF I EVER: Hell or HighWater 4 – releases January 21, 2019
https://sejakes.com/2018/12/20/if-i-ever-blurb-and-pre-order-link/
あああ、もう諦めかけているところを、やっと出てきますね!
待っていました!同じく長いこと待っていた方もお疲れ様です!

11

やえこ

告知、ありがとうございます!

私も長年、待ち続け、正直、9割は、あきらめていました。

先ほど、とりあえず、読了。

私の中学レベルの英語では、伏線の回収どころか、

『AさんとBさんが同一人物って、ホワッ?!』

と、さらに、こんがらがっているのですが、

ジェイクス先生の信条は素晴らしいです。

【ハッピーエンドと、求めるものを手に入れるために戦うこと】

たぶん日本の小説だったら、ココまでやるか?!ってレベルまで、イッちゃってますが、だからこそ日本のBLにはない最高峰の完成度でした。

もう一度言います。
ジェイクス先生、素晴らしい!!!

深い信頼、深い愛情。

個人的に海外翻訳小説は内容はもちろんですが、訳文のリズムに嵌まれるかどうかも重要になっています。
内容は素晴らしいけれど訳文がしっくりこなくて・・・。という本があるのもホントのところ。
この作品も初読の際は主要人物のトムとプロフェットのどちらが喋っているのか分かりにくかったり、突如現れる幽霊(幻覚)のジョンの出現シーンに戸惑ったりしました。
しかし、その辺りのマイナス要因があっても失われない物語の吸引力で一気に読了。
訳も巻数を重ねる毎にこなれてきて(偉そうにごめんなさい)3巻ではあまり引っ掛かることなく読み進められました。

トムとプロフェットは二人とも屈強で男前(小山田あみさんの挿絵がそれはもう素晴らしくて眼福)。
そして各々、過去の出来事によって心に深い傷を負っています。
また、互いに一筋縄ではいかない非常に難しい性格。
1巻において最初はトムが常識的でプロフェットのサポート役/無茶をしないように見張るお目付け役かと思いきや、読み進めるうちになんだかトムの方が手が掛かってたり。
プロフェットの方が仕事の力量においてかなり上ですが、二人とも自分の能力に自信とプライドがあるので当然ぶつかり、まさに雄のマウンティング!という火花バチバチのシーンも数多くありました。
けれど2巻ではトム側の事情が明らかにされて二人の関係が縮まり、この3巻ではプロフェット側の諸々も明かされ1巻の二人からは想像がつかないほどの甘い雰囲気も漂い、信頼関係も強固なものになります。
互いの弱さも晒した上で、依存とは違う相互補完といった寄り添い支え合う関係性が3巻かけて築き上げられています。

主人公の一人のプロフェットは仕事に対して非常にストイックで、義務感(使命感)もあればそれを越えたところで自分のすべきことを見出だしていて、仕事を自分の存在意義や拠り所としているようにも見受けられます。
そんな彼は遺伝性疾患の目の病を抱えて失明するかもしれない恐怖と戦っており、視力を失ったら自分のできること(仕事)がなくなってしまうかも、との恐れも胸のうちに存在しています。
そして、いつの日かそんな自分にトムを縛り付けてしまうかもしれない事態を憂慮し、そうなったときは自分を捨てろ、と。
トムはそう言い募られて了承はしますが、そんなことにはならない、残りの人生でそれを証明する、と。
二人の互いを想う姿が真摯で胸が締め付けられ、行く先の未来が悲しいものでないように願ってやみません。


FBI、CIA、核、テロ、スパイ、トラウマ等々の設定が詰め込まれているので、そうしたジャンルの小説としても面白いのですが、そこはM/M小説なのでセックスシーンが頻繁に挟み込まれます。
「え?今このタイミングで?!」と思う読者を置き去りに(いえ、嬉しいんですけど)始まる行為。
ちなみにリバです。
その都度ポジション争いというのではなく、なるべくしてそうなったという雰囲気でその役割を受け入れるスタイルが新鮮。
役割の固定しないフレキシブルな関係っていいなぁ、と個人的には思っています。
平等で対等で、まさに私の思い描く理想のバディ。
日本の作品ではあまりお目にかからないリバであり、セックスもある意味潔くてスポーツ的なので受け付けない方も多いと思いますが、少しでも興味があればご一読を!



おそらく次の4巻で物語は完結を迎えると思うのですが、プロフェットとトムが二人揃って歩む未来である事を祈るのみ。
次巻が大変楽しみです。

15

ラストに用意された更なる大きな謎に次巻への期待が高まります

電子書籍で読了。挿絵有り。

2巻は地方巡業でしたが、お話は再び、軍やらCIAやらとテロリストがらみの本筋に戻りました。大河ドラマです。それも日本の川ではなく、合衆国の、スケールのどでかい、まさしく『大河』。
1~2巻で散らばされていた数々の複線が回収される巻で、これがまた見事な回収ぶりです。「最大の謎は次巻に」なのですが、それを期待させる、引き際のけれんみの利きぶりも素晴らしい!
このシリーズの面白さは、文章のリズムにもあると思います。私にとっては若干、解りづらい描写の部分もあるのですが、そんな小さなことは気にならないスピード感。翻訳の冬斗亜紀さんのM/M愛が滲み出ています。また、小山田画伯のイラストが、一枚絵としても美しいのですが、硝煙と汗の臭いが漂うような男臭い世界観を完璧に補完していると思います。
『男の闘いもの』がお好きな方は必読です。

4

シリーズ史上最高にアツい怒涛の展開…!

ヘルハイシリーズ第3巻。

今回は1巻から小出しに語られてきたプロフェットの過去と、彼を苛む「幽霊」の正体に迫る怒涛のドラマが展開されます。
原書を読んで以来邦訳版の刊行をドキドキしながら待っていましたが、読み終わった今も興奮さめやらぬ状態です…!

あらすじ:
トム(表紙右)と一緒に暮らし始めたプロフェット(表紙左)は、元上官の依頼でトムと共にアフリカのジブチへ。
そこで、11年前プロフェットを拷問したCIA局員・ランシングと再会。
更に、元恋人で裏切り者のジョンの行方を追う最中、目の病の進行という恐れていた事態に直面し…

2巻はトムの故郷が舞台ということで物語のスケールとしてはやや小さめでしたが、今回は謎多き男・プロフの過去に迫る物語。
任務でアフリカへ飛び一時休息、その後アムステルダムへ飛び帰国…と場面転換が多く、ハリウッド映画顔負けのドラマティックな構成となっています。

といってもアクション一辺倒という訳ではなく、要所要所でベッドシーンや帰宅後の二人の日常風景等が描かれるため、そこここで萌えたりギュッと切なくなったりとドラマ感もたっぷりの内容となっています。

見どころとしては、まずプロフとトムの今まで以上に親密でアツい関係性。
1巻では出会って数秒でケンカップル的雰囲気を醸し出していた二人。
本書でも喧嘩はありますが、互いを想うが故の衝突であり、既刊以上にラブ度の高い二人を見ることが出来ます。
トムがプロフを本名で呼ぶ瞬間の甘さや、洗濯などちょっとしたやり取りの可愛さなどそこここに萌があり、1巻から二人を追ってきたファンには堪らない内容となっています…!

第二に、プロフの抱える様々な問題について。
ランシングから受けたレ プのトラウマ、
元恋人で幼馴染のジョンの裏切り(恐らく)、
母親の精神状態など、
子どもの頃からあまりに多くのものを背負って生きてきたプロフ。
その半生に圧倒されるのと同時に、こんな境遇にあっても良心を失わない彼の強さ、優しさにグッとこみ上げてくるものがあり、
そんなプロフのことが益々(2巻以上に!)好きになってしまいます。

第三に、プロフの抱える遺伝性の目の病について。
将来的に失明する可能性があることは今までも示唆されてきましたが、
今回症状が進行し、失明or視力の大部分を失う未来がより現実的なものに。

※作中の説明によると、網膜色素変性症と黄斑変性症をミックスしたような症状で、フィクションとしてあえて2つの眼病を組み合わせたのかなと思います。

自殺した祖父や父の血と闘い、表向きは冷静に、失明に備え様々な準備を整えているプロフ。
常に強くあろうとする彼が、症状の進行に取り乱す姿は大変痛々しく、
プロフの目のことを知ったトムが、プロフにかける言葉が見つからず苦しむ姿にもただただ切ない気持ちに。
トムがプロフのいないところでこっそり涙するシーンには思わずもらい泣きしてしまいました。

プロフの目やPTSD等の問題で一時期レスになる二人ですが、その後のベッドシーンの激しさと甘さは格別。
言葉より行動で気持ちを表現することの多い彼らですが、今回は遂に!決定的な台詞が飛び出しており、ただのピロートークというにはあまりに尊すぎる貴重なやり取りに注目です。

第四に、魅力的な脇キャラたちについて。
プロフの海軍時代からの友人⚫マルと、
プロフの階下に暮らすイギリス人スパイ・キリアンが今回急接近。
プロフとトムに負けず劣らず曲者同士な二人の物語は、スピンオフのDirty Deedシリーズ(現在1巻のみ刊行。続刊はヘルハイ完結後になる予定)で詳しく読むことが出来ます。

役者が出揃ったところで気になるのが、死んだとされる「幽霊」ジョンの動向ですが、本書終盤で思わぬ事実が明らかに…!
クリフハンガーな引きに戦慄を覚えるのと同時に、プロフの最後の行動に胸が締め付けられる、まさに映画顔負けの秀逸なラストシーンです。

今回一番気になったのは、やはりプロフの目のこと。
病気や障がい設定で悲劇を演出するような作品は基本的に苦手ですが、本書の場合はこの設定が非常に効果的だと思います。
タフで有能で破天荒で、とにかく一貫して魅力的に描かれているプロフ。
そんなプロフにもどうにもできない遺伝性の目の病という設定を付け加えることで、彼も決して万能ではない生身の人間なのだということを読者に印象付けていると思います。

今まで幾多の試練を殆ど一人で乗り越えてきたであろうプロフですが、今回ばかりは誰かに頼るという形で試練を乗り越えざるをえず、
本書はそんな生き方の転換の様子が描かれた巻であったと思います。
プロフとトムが、互いを人生のパートナーとして改めて強く認識する様も描かれており、二人の等身大の三十代男性的なリアル感をより強く感じられる内容でもありました。

1巻から一貫してリバップルな二人ですが、読めば読むほど、この二人にはリバしかないという説得力が凄いです。
トムの方が年上で大柄なのに、傭兵としてはプロフの方が圧倒的に先輩で師匠的ポジション。
プロフがトムを甘やかす場面があったかと思えば、やんちゃなプロフをトムがフォローする場面もあり、
どちらが上とも優位とも言いきれない心身ともにリバーシブルな関係性が大変魅力的です。

そんな二人に次巻で早めに出会えること、ハッピーエンドに終わることを強く望みます!

※ちなみに原書の方は、番外編(3.5巻)を含めると全部で4冊出ており、
最終巻(4巻)は作者HPで2017年4月刊行予定とアナウンスされたものの、
7月現在音沙汰なしという状況です(必ず刊行されるものと信じていますが…!)。

作家さん側の事情は現状知り様がないので、とりあえず日本のファンとしては、3.5巻も何らかの形で邦訳版が出ることを願うばかりです(できれば小山田あみさんの挿絵付で!)。

25

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