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new boy old boy
こちら、前に旧版を読んだことがあるのですが、改めて新装版を読みました。もしかして書下ろしが追加されているかも?という淡い期待があったのですが、そんなこともなく^^;
旧作を読んだ方は新要素などはないので改めて手を出す必要はないと思いますが、円陣さんのイラストはすごく好きなので(旧作のイラストも好きですが)それだけでも読んでよかったです。
レトロな寮を舞台にしたルームメイト同士の淡い恋。
なんだか懐かしい感じのする作品でした。悲しいこともつらいこともあるけれど、それ以上に幸せなこともあると思えるお話でした。
葵は父親の借金のかたにある人物に売られ、山奥の全寮制の学校に通うことになります。
そこは親が海外赴任中だったり、帰国子女で日本の普通の学校になじめなかったなどの特殊な環境で育った子供らを預かる学校。
葵は最初不安でいっぱいなんですが、ルームメイトの詠生や、一風変わった先輩達に助けられていつしか学校での生活を気に入るように。
この学校がなんともいえずレトロで素敵です。
飄々と生きてるように見える先輩達もいろいろあってこの学校にたどり着いたことや、この学校の環境がとてもよくて、葵がここを好きになっていく様子の描写が自然で丁寧です。
キーとなっているのは父親の潔で、葵は父親と二人きりで貧しい中、ギャンブル好きでいい加減な父親の背中を叩いて生きてきて、極度のファザコン。
父親に売られても借金を返していつか学校に迎えに来てくれる事を信じ、思い出しては涙を流して見ているとせつないんですが、その父親が同時に詠生にとっては大きなライバルなんですね。
その葵が、売られたからでなく、自分からこの学校にいたいと思うようになるまでが青春だなあと思います。
タイトルのオールドボーイとは父親のこと、ニューボーイとは葵のことです。父親はこの学校出身で、何故葵が売られたのか、何故この学校に入れられたのか、最後のほうに明かされます。
読んでるうちにだんだんわかってはくるのですが、いつか葵もこの学校を卒業してよかったと思う日がくるんだろうなぁと思います
結局、潔の後を追う葵のお話が割合が多く、恋愛として詠生の立場が薄い気もしました。最後には父親でなく自分を選ばせるシーンがありますが、ごっちゃにして考えるものでもないのかな?とも思います。
そもそも、ずっと、二人で生きてきた父親と、高校三年間ならともかく、一年の一学期だけで人生の一番までいくのはちょっと駆け足な気もします。もう少し時間をとって二人の愛を育めたらよかったかも。
性格は、ジェットコースターのような葵とブレーキのような詠生だと評されているように正反対。葵が感情に真っ直ぐで泣き虫で、こちらも葵の感情に引っ張られます。
対して我慢強い詠生は損な役割ですね。
父親に嫉妬して、葵が好きなのにいまいち報われず…。
ラストはなんだか物足りない感じで終わっているので、この先のことや父親のこと、もう少し補填してくれていたら神評価を付けたかったなあと思いました。
先輩たちも個性が強すぎるので、これで終わらせるのは勿体無い!と思います。でもこれでおしまいなんですよねぇ^^;
個人的にはもう一冊書いてもいいんじゃないかと思える内容だったのでとっても惜しいんですが、それを抜きにしても、青春の一ページという感じの作品で、いつまでもひっそり本棚に入れておきたい類の一冊だと思いました。