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作家さんの新作発表
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初っ端からネタばらし的な感想で申し訳ありませんが、まずこの一言しかない。
驚いた…!
実に驚いた、この展開。
これもある種のどんでん返し、というのかな。
舞台は湘南。
地元で人気の歯科医院の三兄弟プラス勤務医の4人は日々波に戯れるサーファーでもある。
兄弟と言っても家庭は少し複雑で、人気院長で自らも女サーファーだった母の大空真澄(通称マー)が若くして病死してしまい、葬儀の日にマーが他の男性と結婚していた時の相手の連れ子・中学生の涼が戸籍抄本とマーの手紙とともにやってきて、長男の深海(ふかみ)がそのまま涼を弟として家に迎え入れる。
勤務医の朝川大樹は、マーの死後も変わらず働いているが実は年の離れたマーに惹かれていた?
そんな設定があって、今長男深海(ニィ)は歯学部の大学生、次男の千尋(チィ)はプロサーファー、涼は高校生。そして涼は学校で喧嘩ばかりしている。
深海は涼が何に苛立っているのかわからなかったが、ある日千尋は涼に、ニィとそうなれよ、とけしかける…
そして涼は血は繋がらないけれど兄である深海と…
この辺りからなんとも60年代っぽい日本映画みたいな空気感を感じます。狂おしい青春、みたいな。
そしてそれは意外と新鮮でもある。
真面目で頼れる長男・深海は、涼を失うことを恐れる弱さを見せるようになり、自分がけしかけた千尋は深海の変化に自分が取り残されたと感じたのか、自分たちには「マーの呪い」がかけられている、と言い出す。それも一理あるんですよね。なぜか大空家には女の影が入り込めない。
深海は誰とも付き合わず、チャラい千尋は実は女には勃たない。大樹も彼女はいない。マーは家に女を入れないようにしているんだ…と。
千尋にとって大いなる母・マーは「海の魔女」。マーを忘れない大樹を思って髪を伸ばし、仕草を真似て大樹に選ばれようとしていた千尋。深海と涼がくっつけば大樹は自分を選ぶ、と考えた千尋…
さてこういう恋愛関係と並行して、涼は皆に隠れて大人の女性と会っています。
深海は泣き、千尋は怒り。
ですが彼女が実は誰だったのか。
これがもう驚きの現実で。
まさか、全く思いつきもしなかったです。そしてそうだったのか…やはり「マーの呪い」っていうのはあったのかも…と思いました。そして感情が豊かな千尋には漂うマーの気配が視えていたのかな、と思いました。
そしてその「呪い」は、海の中で姿を現して涼を強くしてくれたのかもしれません。
あまりサーファー萌えというのはないのですが、(女タラシが多かったせいかも?)湘南の海を舞台ということで、風景が頭に実風景と重なって描かれてくる、そんな風景描写もまた見もの、そして一応兄弟モノ(血のつながりはまったくない)、に複雑な家庭、という実にその設定が面白い作品でした。
まずその家庭環境ですねv
深海は長男で歯学部に通う大学生。
次男の千尋はプロのサーファー。
末っ子の涼は高校生ですが、血は繋がってなくて母親が引き取った子供。
母親は地元でも有名なサーファーで歯科医だったのですが、病気で亡くなっている。
で、その歯科医院は母親にあこがれていた子供たちとも仲の良い歯科医の大樹が医師として勤めてくれている。
この男達4人の関係の変化が、この本では特に長兄の深海と末っ子の涼について掘り下げられて、そこから行方不明になっている兄弟達の父親について謎が解かれるという筋立てになります。
涼は深海が好きで仕方がなくて、その想いをぶつけられなくてワルイ事しては学校へ深海が呼び出される。
でも深海は涼が血のつながりはないけれど弟だからというので、涼の心に答えることができない。
そんなループなんですが、涼が夜にこっそり美女と会っているというので、深海が複雑な気持ちになるのがきっかけなのです。
次男の千尋は大樹が好きだけど、ひょっとして大樹は深海が好きかもと思い、涼をたきつけるのです。
結局は涼の押しに負けた深海のほだされ受けですね。
そして千尋も大樹に亡くなった母親の代わりに自分を抱けと迫り、想いをとげるのだが・・・
彼等のこだわりが全て亡くなった母親”マー”に繋がります。
涼の呼ぶ”マー”と、兄弟が呼ぶ”マー”は別人の”マー”だった。
これが全ての謎解きです。
ここからが、超ドビックリしたんですよ!!
皆の亡くなった”マー”はショタ・・・・!?
で、彼等の父親は・・・(これは秘密です、スンゲービックリしたので)
このお母ちゃんとお父ちゃんのせいで、みんなが振り回されたのです。
兄弟の恋愛というより、どちらかというとそちらの謎解きがメインだったような気がします。
恋愛的には、イメージが先行して少し前のトレンディドラマみたいです。
なので彼等の関係性については余り萌えを感じることができませんでした。
恋愛的には、次男の千尋と大樹のほうが(次の本でメインになりますが)面白いと思います。
そういった意味で、ギリ萌え。
ビックリさせられた部分で底上げ評価です。
しかし、イラストは新田氏の絵がとてもよくあってます。