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nakanai bijin
福島県出身。福島県在住。・・の作家が書く、酒蔵の物語、
・・連想したのは、「津波で麹を失った酒造メーカー」の報道。
でも、この物語は、2017年発刊だけど、舞台背景は震災前の頃。
著者のウイキを読むと、
「エッセイは日常の出来事を題材にしたものや、体験レポートなどのノンフィクションが多い」と有って、
あとがきには、百貨店外商勤務の知人に確認をしながら書いて、外商では無理なので、「元外商」に変更した、と有りました。
・・・実際の状況に近づけて書きたい真面目な作家なんだなー。
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★「BOOK」データベース:紹介が端折られ過ぎているのでここにメモ
隼人はデパートの凄腕外商部員だったが、自身が招いたトラブルで企画課に左遷された。
腐る気持ちを抱えつつ、仕事で訪ねた日本酒の酒蔵で、桜の下に佇む美しい青年・要を見かける。
彼は杜氏の見習いで、清冽なる酒の作り手だった。
だが頑なに心を閉ざし、隼人の差し出す手を振り払う。やがて知る、要や周囲を傷つけた過去のある事件。
仕事のつもりが、いつのまにか要の孤独と傷に本気で向かい合うようになり…。
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遊び人の隼人が、桜の精のような美青年に一目ぼれ、真面目な恋人になる話。
要は美人。美貌が理由で事件に巻き込まれた過去があった。
事件の後、大人達に「お前が悪い」と責められ、要は顔を隠すようになる。
百貨店のイベントで成功を収め、要は自分の酒に自信を持つ。
事件以来久しぶりに笑顔を見せ、顔を一目にさらす事に抵抗があったトラウマも癒えて、髪の毛を切る。
ハピエンだけど、「将来、ひょっとしたら隼人の浮気で要が隼人の腕からすり抜けることがあるかもしれない」・・とあとがき。
こんな真面目な作家の作品に、萌え萌えしました・・なんて、ちょっと書きにくい。
上っ面で中身のないデパート社員の攻と、子供の頃に誘拐されて性的被害の可能性から腫物のように扱われている杜氏見習である受のお話。
「お宅の商品をうちのデパートで扱わせてくれ」的にごり押ししてくる作品はいくつかありますが、それらの大半と同様、こちらの作品の登場人物もカスでした。
終盤には改心(笑)するのもお約束通りで。
そういう辺りが読んでいて不快でした。
誘拐されたことがある受の寂しさに付け込もうと、傷口に塩を塗り込むようなことをする攻。
受の反応が和らいできたら、なんかキュンとしちゃって。
どんどんプライベートなことに踏み込んでいくのも、やりすぎでしょ、と。
罪悪感を抱きつつ何もできなかった受の兄や幼馴染が、攻に丸投げしまくるのも、気持ち悪くて。
で、思いのほか早く受がデパートの企画を受け入れちゃうし。
とはいえ、攻の上司がぶち壊しちゃうのですが(苦笑)。
なぜか上司は自ら謝罪に出向こうとしないし、攻も謝罪の場を作ろうとしないわけで。
まぁ、企画自体もかなり無理があると思いますけどね。
全体的に、お約束&予定調和な感じが強かったです。
そもそも、ゲイでもない攻が受に惚れるってのも、そうですが。
受は昔からその傾向があったようだけど。
攻にその辺りの葛藤が無さ過ぎ出し、2人の関係に気付いているっぽい兄も、ゲイでもいいから弟が外に開いてくれれば的な感じというのもなぁ。
あと、ラストの数年後辺りには別れていそうでもある(苦笑)。
ようやく過去から一歩踏み出せた受は、これからどんどん良い方へ変わっていくだろうし。
攻が変わったのは可哀そうな受に対してだけじゃないかなと思うし。
攻がデパートを辞めて受のもとへ移り住むことは、受の地元が誘拐事件を覚えている限り無理だろうし。
精神的に解放された受は、攻を必要としなくなるだろうな、と。
「美人」もせいぜいあと数年ぐらいでしょ、と。
2人の仲を認めているっぽい兄も、弟が明るくなれば「攻じゃなくてもいいだろう」と思うようになるかもだし。
あらすじ:
高級百貨店の外商部から企画部に左遷された隼人(攻め)。
仕事で訪れた城下町で、絶品の日本酒を作る杜氏見習い・要(受け)と出会うも、なかなか企画を呑んでもらえず…
やり手の外商だった隼人ですが、客の妻に言いがかりをつけられ左遷される羽目に。
寂しげな彼女につけこみ思わせぶりな態度をとったことは事実で、過去にもそうした営業スタイルで商品を売っていた隼人。
そんな彼が、嘘やお世辞の通じない要に出会い、誠意をもって彼に接するうち、営業マンとして少し成長するという展開です。
要は美人ですが、性格は無愛想で不器用。
子どものころ男に誘拐された過去があり、誘拐されたのはお前が悪いと父親に殴られたり、学校で同級生から好奇の目で見られたことがトラウマとなっています。
元々女の子のような容姿で、同性の幼馴染に淡い恋心を抱いていた要。
自分がこんなだから誘拐されたと思い込んでいる姿が痛々しいです。
要が片想いしていた幼馴染(今は妻子持ち)も、実は当時要のことを…というすれ違い設定。
事件の後、幼馴染は要を気遣うあまり彼の身体に一切触れなくなり、更に数年後、要への想いを封じるかのように結婚。
その行動が正しいとは思いませんが、彼の弱さや狡さ、不器用さが見える生々しい人物描写はなかなか良いと思います。
クライマックスは、要と幼馴染が当時の想いを伝え合うという展開。
事件被害者の要も、事件を利用して幼馴染に罪悪感を抱かせようとした狡い一面があり、メインの登場人物三人とも少し姑息なところがリアルで面白いです。
残念なのは、要と幼馴染のエピソードに対し、隼人と要のラブ展開の描写が薄い点。
隼人が美人の要に惹かれるのは分かりますが、要が隼人に恋した理由は?
想いを伝え合うシーンの前に、二人の心が通じ合っていくエピソードがもっとあればなと思いました。
全体として、作家さんが一番書きたかったのは隼人と要の恋より、要と幼馴染のすれ違い愛だったのかな、という印象。
誘拐事件が被害者やその家族、友人に及ぼす影響の大きさは丁寧に描かれていましたが、被害者の要を愛する立場の隼人には少々役者不足感が。
トゥルーエンドならまだしも、ハッピーエンドっぽく締めるのであれば、もう少し隼人に相手役としての頼もしさや存在感が欲しかったかなという感想です。