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yasashii oni to hitotsuyane
人外ファンタジーです。人間社会で鬼が正体を隠して、人間と同じように暮らしている世界ですね。「お、ほのぼの同居系ね。ちみっこもかわいいなぁ…。」とのんびり読んでいたら、後半から急にシリアス展開!一気に話が動いて、過去編に至ってはかなり切ない…。(T-T) すっかり油断しきっていた私は、かなり衝撃を受けました。しかし、辛い過去があったからこそ、めぐり逢い幸せになれた事が本当に良かった!と心に染みます。
そんな訳でシリアス展開はあるのですが、所々でプッと笑える部分もあり、基本はほのぼの路線というとても読みやすい作品でした。
史遠(受け)は、持ち前のおっとりした性格から就活が上手くいかず、スーパーでのアルバイト生活。前向きに頑張っていたのに、今度はそのスーパーが倒産。そこで今でこそ出来ることをしようと、ダーツの当たった場所に一人旅に出ます。旅先の田舎で酔っぱらい川に落ちた所を親子連れに助けられ、元気になるまでその親子の家で面倒を見てもらう事になり…という話です。受け視点で進みます。
前半はひたすらほのぼの展開です。おっとりしていてちょっとボンヤリ気味ながら芯は強い受けと、田舎で何でも屋をしている、ちょっと事情がありそうな親子。実は受けは生まれつき鬼を見破る事が出来、この親子が鬼だと気づきます。しかし、本能的にその事は隠しているのですね。
面倒を見てもらってるお礼に、受けが何でも屋を手伝います。田舎なので、依頼もお年寄りの草むしりや話し相手と平和でのんびりです。そんな依頼を、ぶっきらぼうながら包容力のある左維(攻め)と、生意気なのに本当は甘えん坊という左維の息子と片付ける日々。ここで一番萌えたのが、天然な受けが攻めを煽っちゃうというもの。攻めの言動の端々から、受けに惹かれている事が分かりますが、天然な受けは全然気付いていないのですね。風呂上りに攻めの前で、無防備におなかを見せたりして、攻めが「はらが冷える!!」とあせったりする。そして客から言い寄られているのに、気付かない受けにやきもきしたりと、私にとっては大変萌えるシチュエーションです。( ´艸`)
そんな日々の中、攻めが想い続けている「誰か」の存在に気付いたり、たまに浮かび上がってくる自分のものではない誰かの意識だったりと、受けに不穏な展開です。自分が居ては二人の邪魔になると去ろうとした事で、大変な事になります。
ここから一気にシリアス展開です。攻めの切ない過去編になるのですが、結婚を約束していた半鬼の天夕との幸せな日々。しかし、鬼と人間とのいざこざで、左維や鬼達をかばって天夕が死んでしまいます。天夕が生まれ変わり、再び出会えるのを待つ長い時間…。本当に切ない…。(つд`)
攻めが掟を破った事で二人は離れ離れになりますが、受けが攻めの元に向かうここから、またほのぼの展開です。鬼の長も鬼達も、みんないい人なんですね。周りから認めてもらい二人は結ばれます。
そして絡みは天然な受けが、その言動で攻めを煽ってしまうという大変好みの展開でした。(//∇//) 無防備な受けが攻めを煽ってしまうというのに異様に萌えてしまうのです…。(^^ゞ
後、一つだけ。ちみっこが生意気なのに、とてもかわいくて…! 受けにやたらイチャイチャしているので、絶対受けが初恋よね!とニマニマしてしまいました。( ´艸`)
勤めていたスーパーマーケットが倒産したのを機に、鄙びた田舎へとやってきた史遠。飲み慣れない日本酒を飲み過ぎた史遠は、川へ転落してしまう。そこで彼を助けたのは左維と楽という名の親子。この二人の正体が実は鬼であるということにすぐ気付いた史遠だったが、それを隠し左維の元へ身を寄せることとなる。
ちなみに左維と楽は本当の親子ではありません。子持ち(実子)の設定に萌えられない私は、正直安心しました。
“千年”というキーワードが出てきますが、実際のところ壱呉が言っていた様に、人間界では千年でも左維がいた結界内ではほんの数年しか経っていないし、史遠も生まれ変わったのは千年ぶりだから、この二人が千年の永〜い間会いたくて震えてたというわけではないみたいです。でも、今際の際で触れる事も叶わず離れ離れになってしまったから、再会できたときの喜びはひとしおだったろうなぁ。
安曇ひかるさんの作品の中では『今夜ぼくはシェフのもの』に次いで二番目に好きな作品となりました。
回想シーンでも、二人の出会いについては描かれていなかったので、もし続編があるならその辺りも知りたいものです。
幼い頃から、人間にまぎれて住んでいる鬼を見抜くことができる受け。無職になったのを機に旅行に出たところ、怪我をしてしまい、鬼の親子に助けられる。正体に気付いていると悟られないように、怪我が治るまで同居することになったが、鬼の親子との生活は楽しくて…。
鬼の父親が攻めです。鬼とはいえ、ツノと牙が見えてしまう以外はイケメン父&可愛らしい息子で、まるで家族のように楽しく同居生活を送る受け。
でもなぜか、攻めにフェラさせられたり、エッチしたりする夢を見てしまいます。そのせいで意識してしまい、やがて惹かれていくのですが、攻めにはずっと忘れられない人がいるらしく…という展開。
ページも半ばを過ぎるまで、色々事件は起こるものの、ずっとほのぼのハートフルなコメディです。ちみっこがやたら可愛くて、なのに健気でキュンときます。最初の頃はけっこう攻めの影が薄くて、微笑ましさばかりであまり萌えがないのですが、ちみっこの可愛さで乗り切る印象。
でも前世の因縁が絡むあたりから、どんどん切ない展開になってきます。出て行こうと決めた受けに気付いたちみっこの反応が泣かせるし、その後はもっと悲愴な展開に。
最初の頃が嘘のようなシビアさでした。
ほのぼの展開が長すぎて、ちょっとシリアスパートが駆け足だったことや、受けがこの町に来たり、受けの名前さえもが運命によるものだったという乱暴さ、最初の攻めの影の薄さなどがあり評価は萌にしましたが、よくできた話だったと思うし、上質のファンタジーでした。
作者さんはずっと現代ものを書かれていたそうですが、最近空前の人外ブームが到来したそうです。またファンタジー読んでみたいなと思います。
鬼とちびっことの優しい物語。
受け様の史遠は、勤めていた職場が倒産したのをきっかけに一人旅で片田舎の町を訪れた。
川に落ちたところを気付いた親子に助けられる。
この父親が攻め様である左維。
史遠は、幼い頃から人の中で過ごす鬼の姿が見えていた。
と言っても、恐い鬼ではなく、隠した角と牙が見えるだけで、みんな真っ当に暮らしている鬼たち。
なので、史遠には、左維とその息子の楽の角が見え、2人が鬼であることに一目で気付くのだけど。
左維の家にお世話になることになり、左維達親子が鬼だと自分が気付いていることを悟らせないようにしていた。
楽は生意気でかわいく、左維は不器用ながらも気を使ってくれ、2人との生活は楽しい毎日。
そんな中、左維と抱き合う夢を見たりして、史遠は左維を意識するようになる。
でも、左維には忘れられない愛する“あいつ”の存在がいて。
キスしてる最中に、“あいつ”に会いたい、なんて思ってる左維の気持ちが流れ込む、とか悲しすぎる(。ノω\。)
左維親子が自ら鬼だと告げて姿を消した時はどうなることかとハラハラでした。
史遠が追いかけて山へ入って道に迷った時、天夕の声に導かれて、まさか崖から落ちるとは…
ここは辿り着く場面では(• ▽ •;)
今も昔も変わらずな方向音痴ぶりに笑っちゃいました。
ほのぼの家族愛的な雰囲気から、切ない再会愛になりつつも、最後はやっぱりほんかわハピエン。
最後までチビっ子楽がかわいかったです。
イラストは街子マドカ先生。
かわいくて色気もあって大好きです。
楽がやつぱりかわいい。