――一緒に帰ろう、幸成――

猫の笑う、幸せの棲家

neko no warau siawase no sumika

猫の笑う、幸せの棲家
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神1
  • 萌×24
  • 萌10
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
9
得点
53
評価数
18
平均
3.1 / 5
神率
5.6%
著者
綾ちはる 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
価格
¥660(税抜)  
ISBN
9784778120979

あらすじ

人ならざるもの『アヤカシ』の姿が見えてしまう藤代幸成は、特殊な力を身に宿すゆえ出口のない絶望の中を彷徨っていた。倦んだ日々に苦しみもがき続けていたある日、幸成のもとを焔と名乗る青年が訪れる。焔は、幸成が幼い頃に離別した祖父、敬三の養子だった。初対面にも拘わらず、自分達は共に暮らすべきだと頑なに主張する焔。幸成は焔の熱情に流されるまま、かつて暮らした故郷の家に戻るが……。

表題作猫の笑う、幸せの棲家

受の祖父の養子
アヤカシが見える大学生,21歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数9

相手を想う愛情に落涙。

作家買いです。あらすじも何も確認せずに購入しました。みずかねさんの描かれた優しい絵柄の表紙から、穏やかな優しい雰囲気のお話かと思って読み始めましたが、いい意味で裏切られた作品でした。

内容はすでに書いてくださっているので感想を。



好みの問題だと思いますが、BLにおけるNL表現は地雷でして。しょっぱなから主人公・幸成が女性と致したことが分かる表現に(あからさまな濡れ場の描写はありません)ちょっと萎え萎えな気持ちで読み始めました。
が、読み進めていくうちになぜ彼が不特定多数の女性と関係を持つのかわかってきます。

子どものころから幸成が持つ、『人ならざる者』が見えてしまう能力。
その能力を持つが故の孤独。そして自らの罪。
そんな彼の、唯一の慰めだった野良猫のヒボエ。

徐々に明らかになってくる幸成の気持ちに、いつしかどっぷりと感情移入してしまっていました。

そして一方のヒボエも。
悲しい過去を持ち、孤独だった彼が「ヒボエ」になり、そして「焔」へとなっていく過程にうっかり落涙。
幸成が、彼が「焔」になるための種をまき、そして幸成の祖父・敬三が水を与えて育てていった、という感じがしました。

「アヤカシ」が題材になっているので、ホラーチックなところも多く出てきます。
幸成や、幸成の母親が彼らの力によって行った「罪」の重さも大きい。
ストーリーを通して、ずっとシリアスな雰囲気で話が展開されていきます。

が、それと同じくらい、登場人物たちの「相手」への想いも根底に流れています。
頑固でいじわるだと思っていたのに、実は優しかった敬三。
息子にだけは業を背負ってほしくない一心で罪を犯し続けた幸成のお母さん。
そして、敬三を愛しすぎたゆえに歯車がかみ合わなくなってしまった「アヤカシ」。
お互い言葉が足りずすれ違ってしまうばかりの彼らですが、全員が相手を想う気持ちに偽りはなく。ゆえに温かく思いやりにあふれた作品だと思いました。

所々に撒かれた伏線を上手に回収しつつストーリーは進み、最後はパズルのピースがパチリと収まる。そんなストーリー展開に、さすが綾さんだな、と感心。

ただ、焔に深い愛情を注ぎ続けてきた鴉が気の毒すぎちゃって…。
彼を救済するスピンオフを書いてほしいな、と思ったりしました。

シリアスの中に隠された、深い愛情。
文句なく、神評価です。

4

健気攻めだわ、この猫わんこ

みずかね先生挿絵狙いでget。ほわわん表紙なのに、あらら妖ものだったのね。
しかも前半はかなり本格的!!!
やばい、夜トイレ行けなくなる系じゃん、どうしよう!!と思ってたら
(別先生のみずかね先生挿絵の怖い系も読めない私)
助かったー、ほんと、猫わんこが救ってくれた~最後まで読めました!
&猫わんこのおかげで 夜トイレも行けますよん、読後感よし です。
ちょっと怖い目でも大丈夫な方で 健気攻め!がお好きな方はどうぞー。
あ、受けさん、眼鏡君です!
(みずかね先生の眼鏡君 私が見つけたのは多分3人目。
 しかも最近の作品多し。偶然か)
それから、女子も少々出てきますのでご注意。

挿絵話~
カラー口絵は二人のキスシーン(着衣)問題なし!
イタしておられるところは最後の2枚。
前半眼鏡君だったけど、後半は眼鏡なしくん(だて眼鏡だったので)。
いちばん好きな絵は、小学生の眼鏡受け君 猫ちゃん撫でるの図。
やっぱ先生のちみっこは癒される・・・・

登場人物 結構いろいろ出てきます
受け:妖見えちゃう大学生。「黒いの」に夢の中で襲われ続け、限界間近。
受け母:いじめられる受けを見かねて爺さん元から転居。3年前に自死。
    同じように黒いものに飲み込まれて自殺したと受けさんは思ってる。
受け爺さん:半年前に死亡。資産家だった模様。
      どうしても住んでたところから離れたくなかった。
日笠:力ある政治家。受けさんに仕事を依頼する代わりに金銭面全てを負担。
攻め:受けさんの爺さんの養子。浮世離れした美青年。
   爺さん家に受けさんと住むべく、受けさんを迎えに行く。
   一緒にいたいと強く願う。
ヒボエ:受けさんが小学生時代に可愛がっていた野良猫。真っ白猫。
家鳴:やなり。小さいヒト型で 家、家具なんかをみしみし鳴らしちゃう妖。
   めっちゃ人間くさくなってるが顔は爬虫類系らしい。
   ブロッコリなんかも食べる(爆)イグアナを連想しちゃうよう。
   お話の突っ込み役、進め役 担当。
鴉:土地神の眷属。なんだかんだいいながら 見守ってくれてる。
  人型になったら黒スーツ イケメン。

中盤で 受けさんに大事件発生し、攻めさん行方不明に。もうどきどき。
ちゃんと二人して家に帰れるのですが、読んでるこっちはハラハラでした。
こういう息詰まるお話って久しぶりに手にした気がする。。。。
私は受けさんの追い込まれ感にシンクロしちゃったのと、
女子が出てきてもへーきなので、評価は神寄りに近い萌2です。

強ーい「一緒に居たい」って気持ちって、恋っていうより
愛情という言葉が似合う。
家っていうワードに、改めて いいわと思った作品でした。

0

幸成がヤ○チンでさえなければ“神”でした。

おまけで“萌”です。
私はどうも下半身の貞操観念が低いという設定が苦手なのです。
表紙の柔らかな雰囲気とあらすじから、某友人帳の様な優しいストーリーを想像していたのですが、受けが序盤でヤ○チンである事が判明した為ドン引きしてしまいました。
そもそもこの物語は、受けが行きずりの女性と一夜を共にした場面から始まるのです。(ちなみにこの時の女性は最後まで出てくる)実はこの幸成、人を殺すことを生業としていて、酒と女とタバコに癒しを求めるという、どこのゴル○13だ的な人物だったりします。

最初の数ページで挫折しそうになりましたが、大好きなみずかねさんの絵だった為最後まで読みました。
やっぱり健気な焔には鴉の方がお似合いだった気がするのですよ。焔を先に好きになり、見守り続けていたのは幸成ではなく鴉だったわけだし。BLとしては中立だったのですが、離れていても最後まで孫を慈しみ続けた敬三と、自分を犠牲にしてでも息子を守りたかった幸恵と、そして一途に幸成を慕い続けた焔に胸を打たれました。
幸成の幸せは色んな人の努力と愛情と犠牲によって成り立っていると思うので、彼はそれを忘れないでほしいです。

6

幸せの棲家に帰るまで

あらすじ:
人ならざるもの『アヤカシ』が見える大学生・幸成(受け)は、亡き祖父の養子を名乗る青年・焔(ほむら・攻め)に頼まれ、田舎の祖父の家で一緒に暮らすことに。
幸成を慕う焔の正体は…

幸成は母譲りの特殊能力者で、普段は能力を抑えるためメガネを着用。
日笠という政治家に生活費を支援してもらっており、その代わりに彼に命じられるまま『殺し』の仕事を請け負っています。
そんな日々に嫌気が差していたところに焔が訪ねてきて、彼の屈託ない優しさに癒やされていくという展開。

焔は日本人離れした美青年で、素性も祖父の養子になった経緯も不明。
とにかく幸成のことが大好きで、一緒に暮らすようになってからは手料理で一生懸命尽くす等、行動が完全にワンコで微笑ましいです。
幸成に執着するあまり周囲の人間に嫉妬する等、ちょっとアブナイところもありますが、幸成に対しては一貫して健気。
幸成を狙う『影』を追い払おうと、毎夜こっそり闘ってそのたび傷を増やしている姿にグッときます。

亡き祖父を慕う焔は何者なのか?
幸成の母親が3年前自殺した理由は?
幸成がこなす『殺し』の仕事内容は?
など、様々な謎が少しずつ明らかになっていく構成。
ヒントは序盤から出ているため意外性はあまりありませんが、幸成一族や焔の抱える問題の一つ一つが重く、切なくなる内容です。

日笠と幸成の関係、祖父の過去など、一つ一つの要素にはワクワクさせられるものの、それらのエピソードが互いに関連しているわけではなく、それぞれ単体で完結してしまったのはやや残念。

母親の過去についてもちょっと釈然としないものが残りました。
祖父との絶縁についてはもう少し話し合えば分かり合えたんじゃないかな、という気がするし、
日笠が幸成に接触しない筈ないのに、幸成を残して自殺してしまうというのは、あまりに早計すぎるように思えました。
息子想いの母親、として描かれているだけに、もう少し彼女の行動に説得力ある背景描写が欲しかった気がします。

しかし、ワンコな焔と男前な幸成という組み合わせは素敵で、命をかけ互いを救おうとする姿も感動的でした。
祖父や母の不器用な生き方故に様々な苦労もしてきた幸成が、その能力のおかげで焔と出会え、祖父たちとの思い出の詰まった『幸せの棲家』を取り戻すというラストにも余韻が残ります。

評価は萌×2寄りで。

4

登場人物のそれぞれの愛が切ない


大学生の幸成(受け)は生まれつき人ならざる者が視えてしまいます。その力を使ってクズ政治家の言われるままに人を呪っていました。そのせいで、呪った人からの恨みの塊の影に取り込まれる恐怖に常に取りつかれています。人を呪った後は酒を飲み、ゆきずりの女性と一晩過ごして気を紛らせてています。あと少しで取り込まれるだろうと悟っており人生を投げやりにしています。
そこへ、絶縁した祖父の敬三と養子縁組をしたという焔(攻め)が迎えに来ます。
敬三は半年ほど前に他界しており、いっしょに暮らそうといいます。
その熱心な様子に、幸成はもう余命も少ないので、残りの時間を田舎で過ごすのも悪くないと一緒に帰ることにします。

幸成は子供の頃、敬三と母親の幸恵の3人で田舎に住んでいました。ついうっかりアヤカシが視えると言ってしまったためいじめに遭います。同じく視える幸恵がそれを心配し、引っ越すことにしました。
敬三も一緒にと誘うのですが、寡黙な敬三は理由も言わず拒否します。
幸恵は敬三と縁を切り二人で実家を出るのですが、結果幸恵は政治家に利用され人を呪う仕事をするようになり、「愛してる」と言葉を残してた自殺してしまいます。一人残されてしまった幸成は政治家に利用される道を選びます。
母親しかいない幸成にとって、母親がいなくなってしまったことによって生きる希望のようなものがなくなってしまったのではないかと思うんです。だから危ないとわかっていても、母親の後を追いかけてしまったじゃないかと思いました。自分で選んだ道だけどやはり怖くて酒や女に逃げてしまったのは仕方ないかなと思いました。

焔は猫のアヤカシで幸成に焔の別名「ヒボエ」という名前をつけてもらい、それ以来、幸成が大好きで幸成と一緒にいたのですが、幸成が幸恵と出て行ってからは人に変化し敬三と暮らしていました。最終的に養子縁組をしてもらい、敬三から幸成を頼まれます。
幸成を連れて帰ってきて、一緒に暮らせることが嬉しくて甲斐甲斐しく世話を焼く姿は猫だけど犬みたいです。付いて来る影と傷だらけになって闘って、彼の努力が報われるといいなと切なくなりました。
そして、アヤカシを見ないようにしているせいで、全く気付いていない幸成になんで気付かないんだ!と歯がゆくなります。

幸成は、焔に自分がしてきた行いも全て受け止めてもらった上でずっと一緒にいようと言ってもらい、もっと一緒に生きていきたいと思うようなります。そこで自分を脅かす影をなんとかできないかとあがいてみることにするのです。

ついてきた影は毎日の様に焔が攻撃し弱ってきたので、うまく行くかと思った矢先、二人に試練が。
お互いが命を懸けて相手を思う気持ちにグッときます。

両方の視点で話が進むので、お互いの状況がよくわかります。それだけに、焔だけが知っている敬三の本当の姿が切ないです。
とはいえ、敬三ががもう少し話をしていれば幸成親子の悲劇はなかったと思うと残念でなりません。

敬三、幸恵、祖母の葛葉の3人からの愛を受け取った幸成。
これから幸成の身体がどうなるかわからないので期間はわかりませんが、一蓮托生になったからには命ある限り二人で幸せに暮らしてほしいと思います。

化け猫になる前からヒボエを見守っていた烏(土地神の眷属)。素直に好意を伝えられず小学生のようなことをしているうちに、ヒボエは幸成に心を奪われてしまい、結局二人の仲を取り持つ役割をすることになってしまいました。ずっと憎まれ口を言っていたため焔には嫌われてると思われてしまっていて気の毒ではありますが、次の恋ではちゃんと好意を伝えられるといですね。
幸成たちはまだ始まったばかりで、贖罪も兼ねてやりたいことができ、目標に向かって歩き始めたばかりなので続きが気になります。
今回失恋してしまった烏にも春が来て欲しいので、スピンオフ読みたいです。

話としてはとても良かったです。ほのぼのしたと思ったとたん来る危機、どうなるのかドキドキしながら読みました。ずっと一人で寂しかった二人だから恋人としての愛より家族としての愛の方が前に出ていたように思ったのでBLとしては萌えが少ないですが、話の内容は読みごたえのあるものでした。
もっと続きが読みたいと思いました。

3

アヤカシと人間が家族になるまで

小さい頃からアヤカシを見ることができ、そのため辛い目に遭ってきた受け。母を亡くし、1人で暮らしているアパートに、ある日絶世の美青年が訪ねてくる。彼は受けの祖父の養子だといい、家族として一緒に暮らそうと言い出すが…。


訪ねてきた美青年が攻めなのですが、最初受けがシモのゆるい生活をしているし、訪ねてきたのが美青年だったもので受け攻め逆だと思っていて、それを脳内で修正するのに時間がかかりました。攻めならいいというわけでもないですが、受けが女性と一夜限りの付き合いを繰り返しているタイプだというのにはあまり萌えられませんでした。
そのことを含め、受けが割と考えが足りないというか浅はかというか、もうちょっとどうにかなったでしょうよ、と諭したくなるようなおバカさでした。言ってしまえば受けの祖父や母親も、言葉と考えが足りないせいで大事なものを失う人たちで、家系かな? という気も。
攻めのほうは、正体は読者には割と早くに明かされるのですが、猫のアヤカシなのですね。なのに性格はワンコ。超ワンコ。健気で、受けが大好きなのですが、これ家族として受けを好きなだけじゃないの…? という感が否めませんでした。唐突に「これが恋…⁉︎」とビビッときていましたが、家族としての執着がどのように恋愛感情に変わったのかがいまいちよくわからずじまいでした。

最後の方の展開には泣かされてしまったし、とってもいいお話だったのですが、BLとしての評価は萌です。普通のファンタジーノベルとか、友情少年マンガの原作とか、そういう作品だった方が自然な気がしました。

2

どうにも切なくて

幸成(受)や焔(攻)の視点だけでなく、状況が分かりやすく、本の厚さの割に読みやすい作品でした。

アヤカシというファンタジーの世界観にもすんなり入り込めましたし、悪役も出て、ピンチもあり、どういう決着に落ち着くのか気になって、あっという間に読んでしまいました。

問題は解決してハッピーエンドではあったのですが、幸成の母親が不憫で悲しすぎて…。どうにもその辛さを引きずってしまい、読後には安堵より切なさが強く残ってしまいました。終章の幸せな光景では払拭できなかったです。

登場人物たちの薄幸な内容に、みずかね先生の繊細なイラストが雰囲気にぴったり素敵でした。
小さな幸成の笑顔が可愛らしかったです。

1

自分の読み方は間違っているとは思うのですが

電子書籍で読了。挿絵(「あれあれ?口絵がないよ」とがっかりしていたら、カラーイラストが巻末にありました。たいそう美麗)あとがきあり。

綾さんの書く不思議な話は好きです。
どこが良いかと言えば、つじつまが合わないところが好きなんです。
説明できないけれど説得力がある。どうしてそういう現象が起きるのか全く分からないけれど、結果としてこの様な状況になってしまうことに納得がいく。そんな部分に惹かれます。

今回のお話の主人公達はアヤカシということで、とんでもない不条理を見せてくれるんじゃないかと勝手に期待を高めちゃったのが悪かったのかも知れません。
なんか『すんなり』終わっちゃった感じで。

LOVE方面も、焰の一途さはとても可愛いのですけれど、ゴメン、どう読んでもうちの犬を思い出してしまって(化け猫なんですけれど)。みずかねさんの美しいイラストがあるのに、頭に浮かぶのはうちの犬の絵面なんです(あああああああ!)。結果、上手くお話に入り込めないまま読み終わることに。

それでも「面白かった」と思ってしまったのは、二人の女性(!)が異様に印象的だったからなんです。
一人は土地神の眷属の狐。
もう一人は拝み屋の小野原加奈。
『恋する者が一番でそれ以外には執着が大変薄い』という、人とは異なる愛のあり方を持つアヤカシや、人を呪うということを仕事として行い、生き死にに対する考え方が倫理とは異なる能力者の科白が、やたらハードボイルドで「なにこれ、カッコイイ……」となっちゃった訳です。

すみません。
この感想、BL読みとしては間違ってますよね。申し訳ない(反省)。

1

登場人物の行動が上滑るかな

綾さんの新刊は妖物。
ただ申し訳なくも中立にさせて頂いています。

**********************
受けの幸成は21歳の大学三年生。
亡くなった母から受け継いだアヤカシを見ることのできる目を使い、人を殺めることで生活しています。

攻めは、幸成の祖父の養子だと言って現れた焔。
幸成が子供の頃世話していた野良猫で、実はバケネコ。
**********************

うーん、今までの作品の中で一番ハテナが多かったかなぁ。
焔が幸成に執着したり好きになるのはまあわかるんです。
孤独で人間に対して夢も希望も持ってなかったところに現れたのが、純粋な子供だった幸成だから。
でも幸成の方がわからない。
というか、こちらに納得させてくれないまま進んでしまいます。
え?いつ焔のこと好きになったの?という感じで、完全に置いてけぼりされた気分になりました。
そして脇役の鴉もわかりづらい。
格が上で種族も違う焔へ執着する辺りも書かれていないので、台詞だけでそれを察することになります。
もちろん視点が鴉ではないので、ある程度は仕方ないのかなとは思うのですが。

厚みもある作品なのに、心の移り変わりにページを割いてもらえないのがひじょうに残念…
話の内容がというよりも、話の進め方や登場人物のえがかれ方が綾さんの作品らしくないなあと感じてしまいました。
綾さんは日常に不思議な出来事を織り交ぜるのがとてもお上手なのですが、殺し屋(まずこの単語がひじょうに浮いてます)稼業についてもさらりと触れられるだけでその場面は書かれていませんし、序盤に出てくる女性の再登場の仕方にしてもメインの困難を解決する方法にしても、モヤモヤさせられることがあまりに多かった。
楽しみにしていただけに残念です。

3

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