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shugosha ga idakku haja no hikari
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
『守護者』シリーズの5巻目。面白かった…。めっちゃ面白かった。
ネタバレ含んでます。苦手な方はご注意を。
今まで謎だった部分が徐々に解明されていく展開に、もしかしたらこの巻が完結編になるのかなと思いながら読み進めました。
そもそも清芽と凱斗が出会うことになった自転車の盗難事件。
数多く行われてきた、人ならざる者による凄惨な事件。
祟り巫女の誕生と、そして彼女の子孫たち。
そして清芽の持つ、「加護」の真相。
1巻からの伏線を見事に回収しながら進む展開に圧倒され、ページを捲る手が止められませんでした。
祟り巫女の、母親としての恨みの気持ちは共鳴はできる、のだけれど、彼女をつくり、存在を増強させる「とある人物」の怖さがたまらなく面白かった。所々で出てくる凄惨な事件や霊的な描写と相まって、マジで怖かったです。
なぜ電話ボックスだったのか。
引きずり込まれてしまう人には何か共通点があるのか。
祟り巫女と彼女の息子の存在という霊的なストーリーも面白かったですが、凱斗と清芽、そして清芽の弟の明良とのBL的な展開にもぐっと引き付けられました。
清芽の存在を、自身の記憶の中から失ってしまった凱斗。
それでも凱斗を愛し、求める清芽。
そしてブラコンという枠では収まらない執着を清芽に見せる明良。
三人の気持ちが手に取るようにわかるだけに、複雑に絡んでしまった彼らの関係が気の毒で仕方なかった。
子どものころから見えざるものを見ることができてしまい、精神的に疲弊してきた凱斗と明良。そんな彼らの癒しと平穏は清芽によってもたらされているわけで、その清芽がどちらかのものになってしまったら…、という危うい関係。
最後の明良と、「とある人物」との対峙。
どうかどうか、彼が暗闇の中に自ら堕ちることがないようにと願ってやみません。
というわけで、はい、この間は完結編ではありませんでした。
むしろ、次巻がこの話のキモになる巻なんじゃないかと。
早く続きが読みたいです。
「うーん、清芽よ、そういう結論を出したのか……納得できんなぁ」
というのが一番の感想です。
祟り巫女との戦いは、多分ここが中盤のクライマックスだと思うのですね。
怖さは相変わらずなんですけれど、それぞれ小出しにしてきたエピソードが伏線になっていて、物語が『畳み始めた』と言うか、「へー」とか「ほぅ」と感心する部分が数々あり、読みごたえは充分です。
ただねぇ……
やはり、自分の存在意義の全てを他者に投影して生きることを許してはいけないんじゃないかと思うんですよね。どんなに努力しても他者が望む自分にはなり得ないので。
そもそもそれは『あるべきものをあるべき様に』という自然の摂理から外れちまうのではなかろうか?
そのことは、清芽を守護している『大きな力』から外れてしまうことではなかろうか?
と、思ったりしたんです。
このままでは明良だけではなく清芽までもがダークサイドに落ちちゃいそうな感じがします。
またしてもちょっと変わった部分に「怖い」と思ってしまったんです。
私、この巻で清芽と明良の父である真木がちょっと怖かったんですよね。
彼、悩み苦しんでいる2人に対して、その苦しんでいることに関しては何も具体的なアドヴァイスをしないんですよ。これ、自分で考えさせる『良い父』だからじゃなくて、彼が『神に仕える者』だからじゃないかと思ったんです。
神との関係から言えば、人間ごときの浅知恵は塵芥に等しいものだからなんじゃないかと。
『収まる所に収まるのが摂理』というのはその通りなんですけれども、話の進み方が不穏でしょうがないので、もう、そういう考え方も「怖い怖い怖い」と思えてしまってたまりませんでした。
シリーズ第5巻。
今回はついに祟り巫女との決着がつき、三角関係にも意外な展開が。
前巻に比べ、だいぶ話が動いた印象です。
物語は、語り手である「私」が亡き兄の遺品整理中、いわくつきのビデオを見てしまい…というホラー全開なエピソードからスタート。
その後は主人公の清芽たち視点の物語が展開されますが、間に度々上記のようなオカルトエピソードが挟まれるという群像劇のような構成。
語り手を変えて語られる様々な「怖い話」は非常に不気味で、ホラー感たっぷりです。
そして、一見関係なさそうなこれらのエピソードが、後半の展開で一つに繋がっていくという仕掛けはなかなか面白かったです。
主人公の清芽(受け)の方は、記憶喪失になった凱斗(攻め)のことを、相変わらず健気に想い続けています。
凱斗は相変わらず無愛想で俺様ですが、清芽を守るため彼から離れようとする優しさも。
清芽に惹かれる気持ちはある凱斗ですが、彼にハッキリした恋愛感情のない自分は彼のそばにいてはいけないとも考えており、そこに凱斗なりの誠実さを感じます。
一方、清芽の弟で、清芽に片想いする明良は、今にも闇落ちしそうなギリギリの精神状態にあり、なかなか危険な雰囲気。
祟り巫女を倒そうとする一方で、凱斗の記憶が戻ったら清芽はまた凱斗のものになってしまうという不安も抱えています。
そんな明良を心配した清芽は、物語終盤である決断をしますが、このまま凱斗とは離れ離れになってしまうのか?
凱斗の記憶は戻らないままですが、今後彼が清芽のことを思い出すのか、それとも記憶のないまま再び清芽に恋をするのか、どちらの可能性も考えられるラストのように思えました。
個人的に、俺様な凱斗にはいまいち魅力を感じないのですが、清芽の想いは報われてほしいなと思います。
全体として、いつものようにホラー描写が秀逸。
祟り巫女の生前の死に様(ややグロ)や、心理的恐怖を煽る描写など、和風ホラーの趣たっぷりで惹き込まれました。
次巻の展開も楽しみです。