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「俺にその体を寄越せ」獣とのスキンシップはちょっぴり過激!?
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
久しぶりに読んだ、高月作品。
ちょっと偉そうな人外の攻めと、一見弱そうでも実はしっかりしている人間の受けの、恋と服従の駆け引きを描いたファンタジー。
設定は、妖獣を使役して魔を祓う一族の子が、18歳になって自分の獣を手に入れて調教するって言う、結構コテコテのファンタジーなのだが、登場するキャラクター達がみんな、揃いも揃って個性的。
幸倫は、気位は高いけど子どもっぽい黒耀に翻弄されているようで、実は黒耀の方が最初から、、、
割と薄い本なので、あっという間に読めちゃうけど、こんな風に甘くてポジティブなお話も、たまに読むと楽しくていいね。
鑑夜幸倫(受け)は18歳の誕生日に獣を与えられます。
鑑夜一族は占い・物の怪退治・鎮魂など普通に聞いたらちょっと怪しい一族で、18歳になると獣を従えることを義務付けられているのです。
契約できないと追放されてしまうということで弟妹のためにも頑張らねばと気合をいれます。
引き合わされた獣は金色に耀く瞳を持った、とてもきれいな毛並みの大きな黒い犬のような獣でした。名前を付けるように言われ、黒耀(攻め)と名付けます。名付けた瞬間から幸倫の獣となったのですが、ひと月以内に契約をしなければなりません。契約をしろといっても素直にはしないので調教しようとするのですが、黒耀は格が高いため気位も高くちっともいうことを聞きません。
一族の人間は仕事は強制されないものの基本は獣を使役して自分の能力にあった一族の仕事をしています。幸倫は生まれたときから力が強く一族の長の祖母から物の怪退治ができるほどだと言われ期待されています。が、幸倫の父親は本家末っ子で
一族の仕事をしていないためいろいろと軽んじられています。間違って当主になられてはたまらないと、次期当主家族以外からの迫害が凄かったのですが、父親の使役する獣は優秀だったため今までつつがなく生きてこられました。
顔もよく運動もでき強豪バレーボールチームの副主将をつとめる人望もある幸倫ですが、霊感が強く背後霊などに気を取られてしまうため彼女ができても気味悪がられてすぐに振られしまうので未だ童貞です。
黒耀はどういうふうに捕らえられたかはわかりませんが、格は高いがまだ中学生くらいの若い獣です。そのためなかなかいうことを聞かすことができません。
ひと月で契約できないと一族からは追放されると言われていますが、実際は契約できないと獣に食べられてしまうのでなんとしても契約しなければなりません。
そのことはこれから契約を結ぶ際に萎縮する可能性があるため公にはされていないので、嫌がらせをする従兄妹たちは契約失敗しろと何回も言ってきます。
幸倫は大丈夫ということで事実を知っており、そのたびに非常にむかつきますが、まだ契約していない従妹のためぐっと我慢します。従妹は一目惚れした黒耀がほしくて嫌がらせばかりしてきますが、黒耀は名前が気に入ったからと相手にしませ
ん。
結局、どうやったら契約になるかがわからないまま話は進みます。
獣が主を死なせなくないと思い、主は自分が主であることを理解したことで完成する契約だったようですがやっぱりよくわからなかったです。
話自体は、獣を与えられてお互い一目惚れ状態で契約は瞬時になされていたようなのですが、それをお互い認めることができるようになるひと月の話でした。
その中に幸倫に迫ってくる従兄や嫌がらせしてくる従妹が絡んでくるという感じです。二人とも知らないとはいえ、契約失敗しろ(死ね)と何度も言ってくるのは気分が悪かったです。
この二人が絡んでくることにページ数が割かれていて、あまり内容がないように感じました。私としてはできればこんな小物が絡んで嫌がらせをしてくる場面よりはもっと黒耀との絆を深めるような内容の方が萌えたと思います。結局、幸倫にどんな力があるのかもわからずじまいだったのも不満です。
SSは黒耀を諦めきれない従妹とのお菓子対決で、黒耀がクッキーが好きだからと対決することになります。
本編がもっと濃い内容だったり、続編があるのならこれでもよいのですが、これで終わりなら、契約がすんでいるのに気が済まない大して力もなさそうなバカな従妹のために行う茶番にページ数を割かないで、契約が済んでからの修行と称したバイトか二人の関係がもっと進んだところとかが見たかったです。
黒耀にとって幸倫はとても美味しいらしく、精をよこせと迫ってきますが清くなくなったらまずくなるかもと最後まではしません。結局最後まで一線を超えることはなかったのがちょっと残念です。でも、挿入は無くても濃いです。それと黒耀をもっともふもふしてほしかったなぁ。もふもふが足りない。
とても美味しい設定で主人公二人もとても気に入りましたが、話自体はあまり萌えられませんでした。この設定だったらもっと面白くできたのではと残念に思いました。
絡まれて我慢するばかりの幸倫ではなく二人の活躍するところが読みたかったです。
黒耀は大きくなったり小さくなったり様々な大きさに変化するのですが、イラストがかわいいです。もっともふもふのイラスト見たかったです。
あらすじ:
代々「獣」を使役し、妖怪退治等行う家系に生まれた幸倫(受け)。
満18歳を迎えた彼に授けられた獣・黒耀(攻め)は、強い力を持つものの
俺様に見えて実はワンコ気質な黒耀がなかなか良いキャラ。
最初は幸倫にでかい態度をとっていたものの、打ち解けてからは意外にも主に忠実になったのは意外でした。
一度目のH以降、幸倫のことを思いやり「待て」が出来るようになったり、周囲に幸倫との関係を話す際照れまくったりと、最初の俺様な印象を裏切る可愛い一面が魅力的でした。
幸倫は高月さんの作品の受けによくある、やんちゃ絆され男前系のキャラクター。
サバサバした良いキャラではありますが、身長170センチ台後半で、性格的に女子受けがイマイチで…という設定が既刊と非常に似通っており、ややマンネリ感がありました。
ファンタジーとしては、獣を使役する一族、という設定がある割に妖怪退治のシーン等が詳しく描かれるでもなく、ほのぼの日常寄りの展開。
本家の跡目争いでシリアス展開になるのかと思いきや、お菓子作り対決などコミカル路線に走りがちで、良くも悪くも平和な世界観でした。
モフモフや、ワンコ攻めの可愛さを堪能できるという意味では楽しいですが、ストーリー的にはややドラマ性に欠けるかな、という印象の作品です。