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耽美時代の山藍先生の特徴あふれる短編集。
初期の短編集「金蝕環」と同様、読後感にチリッとしたものを感じる。
それが、皮肉であったり、恐怖であったり。
山藍先生、実はけっこうな短編の名手でもあります。
本作では和テイストを前面に出したゴシックホラーといった趣が強い。
山藍ファンにとっては必読の書かと。
「妖童」
江戸時代を舞台としている。「色闇」や「長恨歌」のあやしい空気をまといつつ、
キャラクターの名前を見ると「藤若」。「花夜叉」の主人公と同じです。
幽玄な美少年があちこちのお屋敷に出入りしている謎から、
一瞬、悲恋かと思いきや、最後の一行で突き落とされる。
「密会」
ひと昔前、話題になった映画「カストラート」からインスパイアされた物語なのだろうか?
カストラートは、少年時代の高く澄み切った声を維持するために
睾丸を去勢された歌手で、
1920年代に死去したアレッサンドロ・ムスタファが最後のカストラートだと言われています。
今日ではさすがに睾丸切除はしませんが「カウンターテナー」と呼ばれているものです。
芸術の世界で「悪魔に魂を売って才能を得た」と呼ばれる人はいますが、
これもそれに通じる話。
「山禍」
これはどちらかというと、日本の怪談・奇譚のように感じられる。
美少年に化けた銀狐と、二人の男。
獣が動物系なのは、最近のBLのトレンドだが、
狐が受けっていうのはちょっと珍しい。
「捜神記」
日本神話のような話。
神話っていうのは世の東西を問わず、不条理なものですが…。
「金蝕環」よりも、個人的にはこちらの短編集のほうがおすすめですが、
山藍カラーという意味ではやや薄いかもしれません。
とくに、エロス描写があっさりとしています。