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ore ga inaito damedeshou
役者になりたくて上京してきた奎(受け)には、2歳年下の、自分を追いかけて上京してきた幼なじみがいる。その登吾(攻め)は、奎の食事の世話をし、パシリをして、日々世話を焼いてくれている。しかし小劇団の役者である奎に、有名劇団の客演の話が出たあたりから登吾の様子がおかしくなり…。
昔から大好きな作家さんなのですが、今回は少々自分の好みには合いませんでした。
幼なじみの攻めに世話を焼かせている受けがあまり好きになれなかったのが大きかったです。何でこんなに世話を焼いてくれるんだろう、とは思ってるけれど、やってることはまったく遠慮がない。食事を作ってもらい、翌日のアラームをセットしてもらい、飲み会で酔っ払ったら連れて帰ってもらって、夜中でも平気で「アイス買ってこい」と命令する。攻めは嬉々として世話を焼いていますが、そのへりくだったような態度にも萌えない。攻めの言葉はなぜか敬語。攻めが昔のように「奎ちゃん」って呼んだら「有坂先輩か有坂さんて呼べ」。
受けは役者バカで、可愛げはあるんですが、基本芝居のことしか考えていないキャラ。そんな受けにひたすら尽くす攻めが、糟糠の妻とかそんな感じに思えてしまう。
攻めが、自分の気持ちを受けに伝えるつもりがまったくないことにも萌えなかった。これで「自分がいなけりゃ何もできないようにさせていつかは身も心も我が物に」とか思惑があるならまだ理解できるのですが、そんなつもりもなく…。
こんな2人の関係が変化したのは、ありがちですが受けにチャンスが舞い込み、そのチャンスを餌に枕営業を持ちかけられたときです。
これ、たとえ枕営業が未遂に終わっても、完遂しても萌えないなぁ…と思いました。実際にどうだったのかには触れないでおきますが、「なんだそりゃ!」と突っ込んでしまうようなオチです。
それを機に攻めが自分の気持ちを抑えきれなくなり、ちょっと距離を置いたあげく、受けが自分の気持ちに気づく…とこれまたありがちな展開。意外性はほぼなかった。
業界ものをちょくちょく描かれる作者さんで、そういうときは作中作も割とこってり説明されるのですが、今回はその作中作もあまり面白そうじゃなかったです。
良かった点は、あとがきにも書かれていましたが、作者さん比でエッチが割と濃厚だったことでしょうか。 基本ラストにだけなんですが、ページ数が多くて読みごたえありました。
役者を目指す奎には、登吾という名前の幼馴染みがいる。
登吾は、幼いころから奎について回っていて、「役者を目指す!」と言い、田舎から出てきた奎の後を追って、東京まで出てきて、奎の身の回りの世話をずっとしてくれている。 そんなある日、劇団員の一人が、登吾のことを「好きだ」と言い、それを聞いた奎が、その仲を取り持とうとする。
その行動に気づいた登吾が、奎から距離を置かれてしまう……。
いつか彼女ができればそんな状況になるとは理解していたけいだったけれど、思ったよりも登吾を必要している自分に気が付いて……という話でした。
普通だったらここで終わるんだと思うんですが、これだけではなく、まだ二山くらいもある。
いや、なぜ、ここまで行って、付き合わないんだろう?? という展開。
私なら手っ取り早く、押し倒して物語を完結させてしまう……という状況が2回も3回もありました。
本当に登吾の忍耐強さを尊敬します。
ただし、最後はきちんとハッピーエンド。
登吾の忍耐が実って、ちゃんと二人の気持ちが寄り添ったハッピーエンドだったので、ヨシとさせていただきます。
初読み作家さまでした。
役者を目指して地方から東京へ飛び出し、小劇団の役者として活躍する役者ばかな受けと、それを追って裏方スタッフとして支える攻めという幼馴染同士のお話です。
世話焼き執着年下攻め×鈍感演劇ばか年上受けの組み合わせ。
以下、辛口なレビューです。
地方に住んでいた長年の幼馴染が都会に出て来ても一緒に居たり、お互いの部屋の合鍵を持っていたり、部屋を行き来してほぼ一緒に住んでいるようなものだったり、年下の執着攻め…と、定番かつ好きな設定だらけのはずなのに、なぜか萌えず。
攻めの登吾が受けの奎のために家事全般・その他生活面をかいがいしく世話をし、まずは胃袋から掴みにいっては徐々に自分無しではいられないよう依存させている様子はまさにタイトル通りですね。
執着と言っても、束縛したり受けに何かを強要したりするような感じではない世話焼きなので、べったりとした重たさは感じられないかと思います。
やがて、少し離れただけで攻め無しではいられない事に気が付いた鈍感な受けが〜という、超王道展開なのです。
これは通常であれば萌えるところです。
しかし、今作は受けの奎があまりにも身勝手かつ無神経のわがまま放題で、登吾の奉仕にも似た行動の数々にもあぐらをかいたような態度。
この時点でちょっと合わないかも…なんて思いつつ、もしかしたら今後良くなるかもしれないと読み進める。
けれど、挙げ句の果てには登吾に女の子をあてがい、登吾を傷付ける子供っぽい暴言を吐いては、後日登吾が女の子の一緒に居る姿を見て勝手にショックを受ける。
なんだかもう、萌えるどころか受けの人間性にがっかり。
劇団の公演内容の突拍子のない設定にもウーン?となり、奎が小劇団の役者として誇りを持っているという描写にも説得力がそれほどまでに感じられず。
なんで登吾は奎が良いの…?なんて思ってしまう。
盲目的なまでに想っていて好きでやっているようなので、登吾的には幸せなのかな…
こればかりは相性だと思うのですけれど、今回は受けがとにかく不快でした。
登吾は登吾で、奎に執着しているのは分かるものの、生活のほぼ全てが奎で埋まっているように見えて芯がないというか…将来どうしたいのかが全く見えて来ない。
目標もないままフリーターをしながら奎の世話をするためだけに生きているよう。
ただ、数多の周波を寄せられても奎以外には興味がない一貫した様子は好みでした。
長年の執着が実って、思わず子供のように泣いてしまう姿は可愛らしかったですし、その後のねちっこいベッドシーンも良かったです。
うん、無愛想で感情表現不器用なのに好きがだだ漏れの攻めは可愛かった。
あとは幼少期の方言でのやり取りも可愛いです。
登吾はいつから敬語になったの?
お偉いさんとのエピソードは結構無理がない?など、気にすれば気にするだけ気になる部分が出て来てしまいますが、やや傲慢受けや共依存系幼馴染がお好きな方にははまる作品かもしれません。
もう少し受けが攻めのために何かをしたり、いわゆる「受けざまあ」展開があったり、攻めの想いの強さが分かるようなお話が入っていたらもう少し評価が高かったかも。
榊空也さんのイラストはとても好みでした。