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skybound
軍服、歴史、ミリタリー好きですが、なかなか現実世界を舞台とした作品と出会えなかった中、やっと見つけた一冊です。
敗戦を目前とした1945年のルフトヴァッフェと大好きな要素が詰まっていて、短編ながら夢中になって読みました。
消耗していくパイロットと、彼らを乗せる機体を守る整備兵は、それだけで運命共同体といった熱い関係性です。
整備兵のフェリックスが祈るような気持ちでバルドゥルの機体を見送り、出迎えるシーンに何よりも胸を打たれました。
全体的にあっさりした雰囲気ではありますが、根底には深い絆で結ばれていることがしみじみ伝わってきます。
実際二人は惹かれ合っているわけですが、それだけではない「軍隊的な関係性」に改めて特別なものを感じさせられました。
第二次世界大戦末期のドイツが舞台、戦闘機乗りの少尉と整備兵のお話。
戦争中といっても、戦場に赴かない整備兵のモノローグで進んでいくため、静かで淡々とした雰囲気……と思っていたら後半に急展開が。あまりの出来事に、驚きと恐怖と辛さで涙が出そうだった。ラストは最悪の結果でなくて本当に良かった。
ふとしたきっかけから仲良くなっていく二人。状況に反して落ち着いた語り口で、独特の比喩表現がたくさん出てくる。肝心なところをぼかした言い方がこの時代の空気を壊さない感じで良かった。
前半は、官能的になりそうでなりきれない、原文のニュアンス重視の翻訳かな?と思いながら読んでいたが(これはこれで好き)、この文章の硬さのおかげか後半の衝撃的なシーンの緊迫感はすごかった。
そして主人公の切ない妄想が現実になってしまうのか!?と危機感を覚える。結果的には回避となって、あれが伏線でなくて良かったと安堵する。最後までハラハラし通しだった。
短編なので、二人の関係性をじっくり育てるほどの時間は見られなかったが、命の危機と隣り合わせという特殊な状況でのふれあいは、一瞬でも心にくるものがある。最後の言葉がとても重い。
萌えと言って良いのか分からないけど、希望の見える終わりで読後感が良い。今後は穏やかに過ごして欲しいと願う二人だった。
アレクサンダ ー ・ヴォイノフさん、初読みです。
確かハーレクイン・ラブシックの方で出てるとは思うのですが、そちらは未読。
小説ディアプラス2013年ナツ号掲載作品の電子化です。(ありがとうモノクローム・ロマンス文庫さん)
主人公一人称(一人称は僕)の作品。
1945年のドイツが舞台。第二次世界大戦中。
ベルリン上空で連合軍の爆撃機と戦うドイツ軍兵士たち。
地上から飛び立つ新兵たちの殆どは戻ることが叶わない、戦争後期のお話です。
主人公はドイツ軍爆撃機の整備兵、フェリックス。
お相手は爆撃機パイロットで追撃王の異名を持つ、バルドゥル ・フォークト少尉。
敗戦色が濃厚となったドイツ軍。
そんな中でも、空へと旅立たなければならないパイロットらの意義とはなんなのか。
そしてそのことに少しでも触れようものなら、銃殺もありうる緊迫した状況。
死地へと向かわなければならない人間と、その背を押さなければならない人間。
立場も地位も違う二人ではありますが、それがかえって燃えますね。
短編ではありますが、フェリックスはスタート時にはすでに少尉に惹かれていることが書かれてます。
少尉の方はどの辺りから家へ誘うまでの気持ちをフェリックスへ持ったのかはわかりませんが、やはり死と常に背中合わせなのでグダグダ考えてないというリアルがそこに。
主な登場人物が二人に絞られているのも、短編ながらも不満が少ない要因かも。
後半は戦況や敗戦色について触れられることが多く、暗いドイツの空を彷彿とするような内容です。
それは淡々としたものなのですが、かえってそれが絶望をよく表現しています。
直接的なラブはひじょうに薄めなのですが、男同士でしかも敗戦濃厚な戦時中でいかに望みを捨てずに生きられるか、生き残るかという辺りがとても良く表現されていて一般小説のようでした。
ちなみに文中にある『整備兵がいなければパイロットがパイロットであり続けることはできず 、飛び立てないまま 、空を見上げて立ち尽くすしかないのだ』という話。
これはわたしたちが聞くと侮辱された気にならないと思うのです。
気を遣ってくれたんだなという気持ち止まり。
が、そこはやはり外国人作家さんの書く外国人。
わざわざそういう話をするというのは心の内には整備兵を下に見てるということに他ならない、という解釈となります。
やはり外国の人の捉え方ってまったく別なんだなと感じましたし、日本人の書く外国人て存在しないのかもなあなんて思いましたね。
ドイツ版1945シリーズとでも言えばいいのだろうか
短編でなおかつ冬斗先生の翻訳なので安心して読めます
ドイツのエースパイロット十字勲章までもらっている伝説になるレベル
そのパイロットと整備士の秘めやかな恋の話
地上から空を飛んでいくパイロットの愛機を心を込めて整備していた整備士と
その思いをいつの間にか気づいて受け止めていたエース級のパイロット(ここの部分が全く書かれていないので若干不満が残ります)
終戦間際戦況が厳しくなるなか飛んでいくパイロットを見上げる整備士の気持ちを思うとそれだけでも切ない
戦闘中体を壊したパイロットが休養のためにほぼ交流がなかったと思われる整備士を名指しして自分の故郷に連れて行くと
それをきっかけに2人の関係が変わる
しかし戦局が厳しく残された時間が短いと誰よりも2人がわかっているところが悲しかった
最後降伏して相手を救うなんていうのはどこかで聞いたことがあるようなと思わないでもないが命など藻屑のように扱われ消えていく戦争の中では
国は変わっても恋人の命を守るためには何か捨てなければならないと言う覚悟が必要なんだろう
しかしロシア軍の容赦のない描かれ方のどのくらいまで真実に近いのか気になるところ
それにしても空軍パイロットの完結さ繊細さに惹かれてやまないのは何故なんだろう
電子による海外BL短編。
舞台は第二次世界大戦終戦間近のドイツ。
その空軍基地での戦闘機パイロットと整備士の物語。
パイロット試験に落ち整備士になったフェリックスには気になって仕方ないパイロットがいた。
いつも目で追って、飛び立つ時には、どうか生きて帰ってきて欲しい、帰還してきた時は、心臓が破れそうな思い…
ある出撃の後、彼・フォークト少尉の機が爆撃され、帰還はしたが煙で肺に損傷。休暇を取るというフォークトは、なぜかフェリックスに一緒に帰郷しようと誘ってくる…
いつも目で追っていたのはフェリックスだったけれど、その視線に少尉ははっきり気づいていたのですね。
戦況は悪く、国民たちも戦勝のプロパガンダを信じなくなってきている状況。そんな中で2人、基地を離れ2日間ほどの短い愛を交わす。
自分だけが憧れていたと思っていたフェリックスには信じられないほどの甘い時間。
だが休暇はすぐに終わり、再び戦闘機パイロットと整備士に戻る2人。
ある日、戦闘機が全て出撃した後、敵機が基地を襲撃してくる…!
逃げ惑う整備士たち。
敗戦の色濃いドイツ軍、許されていない同性愛、つかの間叶ってしまった想い、そして爆撃…
結末は嫌な予感しかなかったけれど、意外な展開で終わります。
戦争でどれほどの愛が失われたのか。
少尉の選択は、戦場ではもしかしたら臆病者、とそしられるものだったのかもしれない。
でも。
愛は生きているうちに。
生きて、生き延びて、愛するべきなのだ。
終戦の日だし、冬斗先生訳なので安心して購入。短編ということもあってか、私には読みやすかったです。第二次世界大戦終戦直前、飛行機乗りと整備士のお話。
1945年ドイツ。帰ってきた戦闘機めがけて走り寄る整備士たち。憧れのパイロットであるバルドゥル少尉の機体を懸命に整備するフェリックスは、ある夜彼と煙草を共に吸う機会があり、個人的に話をするようになり・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は、同じくパイロットのヴィシンスキ、他のパイロットたち、整備士たち少々。
++より 内容に触れる感想
どうしても終戦の日に、このお話のレビューをあげたかったです。
第二次世界大戦末期、もうドイツの敗戦は見えている状況で、でもドイツの空を守るべく、休む暇もなく整備された機体に乗り込み、飛び立つ飛行機乗り達。
そして帰ってくる彼らと大切な機体を迎える整備士達。
戦時下だからこそ結びついた飛行機乗りと整備士なのかもしれません。
戦時下の、逃げ場のない、明日を夢見ることが難しい状況が、短編ながらじりじりと伝わってきます。もう戦争を直接知っている方は本当に少なくなってしまったけれども、戦争を生き延びた方々の思いを疑似体験できる、このようなお話を読んで、戦争に対する自分なりの考えを再確認していくようにしたいと思います。
戦争なんて知らないよ!という方も、是非一度。