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seiya no riyuu
ぐっと寒くなるこれからの時期。
寝る前にちょっと読むには極上の短編。
電子。挿絵あり。
クリスマス休暇を前に大学館内で友人と電話をしているシーンから始まります。
受けアダムは少し前に車が故障し、帰省するための車出しを頼んでいた友人が、払っていた前金共々、ガールフレンドとベガスへ消えてしまいます。
仕方なく、館内の掲示板に貼られたドライブシェアの張り紙を片っ端から電話しまくるアダム。
そして、最後にかけた電話に出たのが攻めのマイケルでした。
迎えに来てくれたマイケルは、電話で話した時と同様、不機嫌で愛想がない男でしたが、空腹のアダムに食事を買ってきてくれたり、タバコ嫌いだと知るとニコチンガムを噛んでくれていたりと、案外そんなこともないのかな?とアダムは少しずつリラックスしていきます。
その内、雪が激しくなり、ハイウェイや国道が封鎖されたと情報が。
ワイパーも雪の重みに耐えらず片側がへし折れてしまうなど、危機的状況に陥り、見つけ出したモーテルへ避難します。
ここから二人の距離が少しずつ近づいていくのですが…。
とても読みやすく、状況描写や風景などリアルで、珍しい内容ではないながらもショートフィルムを見ているような気分にさせられました。
Hも無理なく自然な流れだったと思いますし、こんな出会いあったら、やっぱりロマンチックですよね〜。
季節外れの春に読んでしまったが、雪嵐の世界にどっぷり浸かれて良かった。傷を負った一人の男が救われる始まりを見たような、癒やされる瞬間に立ち会えたような。ここで終わるのか、という余韻の残し方も最高。じんわり幸せ気分になれる読後感だった。
物語はイライラ展開から始まる。友人に金を盗られ約束を破られ、どこにも行けなくなったアダムが主人公。初対面のマイケルと、ドライブシェアでクリスマス前を過ごす道中のお話。
語りは一視点でアダム側のみ、これがマイケルの魅力を増し増しで伝えてくれたと思う。
ころころ変わる雰囲気や機嫌や表情から目が離せなくなる様子から、読んでいるこちらもマイケルが気になって仕方なくなってくる。さりげない優しさにキュンときて、何かを隠していそうなミステリアスなところに惹かれる。
そしてついに心の内を打ち明けるマイケル。結果的にアダムはマイケルが闇から抜け出す手伝いをしたことになるのかな。雪解けと共にマイケルの心も晴れていきそうな、温かな希望に満ちたエンディング。神。
感動したのは、二人の出会いが本当に偶然で、けれども奇跡のようなものであったということ。そこに最初に出てきたメッセージを絡めていたのも素敵。
視点主より相手側が救われるお話が好きなので、全てが萌えツボにハマる作品だった。
クリッシー・マンダーさん初読み。
2014年のディアプラス掲載だったM/Mで、電子書籍になっております。
イラストは二宮悦巳さん(好き)。挿絵有りです。
舞台はミシガン。
クリスマス休暇で大学の寮から姉の家へと帰る受けのアダムは、同乗させてくれるよう頼んでいた友人のドタキャンにあい途方にくれていました。
見知らぬ他人の車に乗ることを躊躇しながらも他に手がなく、大学のドライブシェアの張り紙に次から次へと電話をし、なんとか不機嫌ながらも相手をして貰えたのが攻めのマイケル(26歳、自動車修理店経営)でした。
アダムがタバコ嫌いと知り、会ってすぐにニコチンガムを買うという、雰囲気とは真逆でなんだか献身的なタイプのマイケル。
車を出して運転しているわけですから、立場はマイケルが上のはずなのに。
ここのシーンで、アダム同様わたしもマイケルにやられちゃいました。
途中雪の重みでワイパーが折れ、膝丈の雪が積もる中の道行とは日本では想像できない範疇ですが、それでもありありと眼に浮かぶのは流石でした。
結局彼らは途中のモーテルへ避難しそこで互いのことを理解していくわけですが、車の中同様雪で閉ざされた狭いモーテルの部屋は密室で、短編作品で距離を縮めるにはもってこい。
二人ともゲイではありますが、無理のない進め方であったと思います。
電子での海外BL中編。
クリスマス休暇に姉の家に行く約束をしたアダム(ゲイ)が、車に乗せてもらう約束をしていた友人にドタキャンされ、途方にくれる…
…という出だし。
大学の寮に残る届けを出してないのでどうしても出発しなければならない。
大学の掲示板に貼ってあるドライブシェアのチラシに片っ端から電話をするが…
やってきた無口な男性マイケルと旅路を共にするアダム。
はじめはぎこちなかったが、行動の端々に機転や思いやりを感じ、マイケルの事を知りたくなってくる。ところが雪がどんどん嵐のようになり、ワイパーは壊れ、道中の途中でモーテルに泊まることとなる…
アダムはマイケルが気になって仕方ない。
一方マイケルは、柔らかな空気を纏うかと思えば、また固い殻に覆われるような、その繰り返し。
どうやら家族関係にしこりがあるよう。
実はマイケルもゲイで家族から距離を置かれていたが、自分より優秀で家族により愛されていた兄が戦死してしまい、そのまま家族と疎遠になっている、という。
肩を抱き慰めるアダムにすがりついてキスを求めるマイケル…
マイケルの孤独感が胸に響きます。
偶然の出会いと、偶然の嵐と、偶然の一夜。
それでも人の結びつきは温かい。マイケルとアダムは決して一夜のアフェアではなく、これから続いていく。
日本でも豪雪地帯はありますが、ドライブシェアでの恋の始まりなんてあるのかな?小説ではとてもロマンティックに思えますが、実際怖いよねぇ…