ポッチ
kago no to ri wo nigasu
コミコミスタジオさんで購入すると特典でいただける小冊子です。A5サイズで、小説部分は7ページ。個人的にコミコミさんの小冊子がとても好きで、この小冊子が特典でついている時はなるべくコミコミさんで買うことにしていますが、「蒼穹の~」の小冊子は2段組なんですよ。特典で2段組ってちょっと珍しいなあ、と思いつつ、それだけ文字数が多いのか?と尾上先生の読者サービス精神に感動したりしながら読みました。
さて内容をざっくりと。ネタバレしてますのでご注意ください。
時系列としては本編で塁がラバウルに配属される前。塁視点で書かれています。
まだ塁が横須賀基地にいた時、海軍司令部からの視察がやってきます。横須賀基地には操縦技師のエリートが集められているため、将校の目に止まれば大出世の可能性もあるということで浮ついた空気が流れる中、塁は一人目立たないように心がけています。
それなのに塁は中尉に手を取られ人前に立たされてしまいます。どうやらその中尉は塁の瞳の色を見て、アメリカ人の血が流れていると勘違いしてしまった模様。その外見を利用して諜報として起用しようと思ったのに、という中尉ですが、塁の声が出ないこと、塁の父親の事を知り、素直に謝罪します。
その後その中尉に塁は呼び出され、先だっての行為について改めて謝罪されます。詫びとして行きたいところに配置させてやるという中尉に塁は…。
というお話でした。
この中尉が、本編でラバウルで通信長を務めていた城戸に塁の事を頼んだ衛藤中尉。なるほど、こういうつながりがあって、城戸は塁の事を気にかけていたのだなあ、と。
衛藤中尉や城戸大尉。塁を心配し気にかけてくれる人はいて。けれど外見上のことや父親の事件のことから心を閉ざしてしまっていた塁に、そういう気持ちが届かないのが何とも哀しかった。
本編を捕足しつつ、大変読み応えのある、満足度の高い小冊子でした。