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kishi to muku na tsumibito
yoco さんのイラストがとても素敵です。
御伽噺風の、盗まれた魔力を取り戻す旅だけど、
実は良く生きる為に一番大事なものは何?と主人公が心の旅をする物語。
七騎士は、特別な存在で、国民の憧れの的。
でも七騎士の家に生まれたイサールには、魔法の力が発現しない。
どうやら、父の後妻(妾)が盗んで消えたらしいと分かる。
魔法の力を取り戻す為に、父の後妻と義弟を探す旅に出る。
イサールから魔法の力を取り出して、義母は息子のミカに移し替えた。
義母は有名な巫女で、その義母の巫力を受け継ぐ義弟・ミカ。
義母の真の想いを、神官から聞いて知るイサール。
盗んだのではない。イサールを死なせたくなかった。イサールの幸せを願っていた。
兄も父も、くだらない王の為に命と引き換えに魔法を使って死んでいる、
イサールの命を惜しんだ義母が、イサールの力を封じて黙って家を去っていた。
全ての事情を知ったイサールが国に戻ると、都合よく王から見切られていた。
生きる意味を改めて自分に問い、新しい人生を別の名前で義弟と共に生きることにする。
粗筋をあらまし書くと、こんな味気ない簡単な筋書き。
イサールが事実を知るにつれ、騎士とはなに?と
自分の生きる意味や、家名の為や名誉の為に命を捨てる生き方でよいのか、葛藤する心理描写が上手い。
大好きだった義弟との触れ合いを思い出し、
貧しくても愛に満ちた生活の豊かさに気付いて行く様子の描写が素敵だった。
この話は、魔法の力は寿命と引き換え。
背負い水の理を示唆していて、
なにかと引き換えしかない、世の中にタナボタは無いと辛口。
本の裏表紙に書いてあるあらすじだけで、
大体の作品の内容がよめてしまうというファンタジー作品でした。
でも、王道作品が好きな私。
こんな作品、嫌いじゃないです。
「泣くまい!」と思っていたシーンも、
ものの見事に泣かされました(笑)
あーあ、展開分かっていたのに……くっそぉ><
久々のファンタジー作品ということで、楽しく読ませてもらいました。
◆◆ ◆◆ ◆◆
《CP》
王に仕える七騎士の1人・イサール × 治癒能力のある異母弟・ミカ
イサールは、特別な称号を代々継ぐ七騎士のひとり。
しかし、七騎士に必要な特別な能力である「治癒能力」が
20歳になっても発現せず、占い師の言葉を頼りに、
父の妾の子・ミカを探し出します。
ミカこそ、イサールの欲していた治癒能力を持っている人物でした。
そして、治癒能力を自分に移し替えるため、方法を探ろうと
王に見放されたイサールはミカと旅に出て……?
というのが、序盤です。
ミカを盗人として憎悪していたイサールがどのようにして
ミカを好きになるのか…、そこの部分が知りたいと思い、
彼らの旅路をドキドキしながら見守りました。
王都に入る前、イサールは「治癒能力」が
移し替えられていないことを理由に、王から拒絶され、
ショックを受け、絶望し、ヤケ酒をあおります。
そして酔いに任せ、怒りの対象であるミカを酷く強姦します。
ああ、血まで流して……可哀想に、ミカ。
それなのに、翌朝までイサールの側で彼を慰めようと、
シャツの裾を握って眠っているシーンが、もう何とも健気で
たまらなくなりました。
どんどんミカに惹かれていくイサール。
幼い頃からイサールに恋をしていたミカ。
両想いであるのに、イサールは強姦したことを悔い、
ミカに何も伝えようとはしません。
ミカは、イサールをこんなに解りやすいほど慕っているというのにー!
あああ、もう、焦れったい!!
でも、そんな王道が好きだから困ります><
そして、魔術の街といわれる場所に到着した時、
イサールは、高名な魔術師に宣言されます。
「ミカから力を移し替えるには、ミカをその手で殺せばいい」と。
いや、分かってたけどね、うん。
それしかないよね、そういう展開だよね。
イサールはミカを殺すなんて、できるわけがありません。
しかし、事実をミカも知ってしまいます。
力を持つものが死ねば良い……ということを知ったミカは覚悟します。
自ら、死ぬことを…。
そしてクライマックス!!
崖の上で2人は、顔を合わせます。
分かってたけど……分かっていたけど…ここで泣かされた!
うわあああ、和泉桂さん、あなたは罪な人だー!(笑)
崖の上から飛び降り、死ぬことでイサールに力を戻そうとするミカ。
そんなミカを止めようとするイサール。
「好きな人の役に立ちたい」とミカは涙をこぼします。
しかし、もうその力は忌まわしいものだと知ってしまったイサールは、
逆にミカから力が消えるように祈り、自ら崖から飛び降りますが…
……結局2人とも助かります。ホッ。
最後、2人はやっと思いが通じあい、エッチ。
華奢で無垢で小さなミカが、体躯の大きなイサールに翻弄される様は
本当に萌えました。
あれ? 私、強気受けとか男気のある受けが好きなのに、オカシイな…。
健気受けにでも、開眼してしまったのかなぁと思ったラストでした。
◆◆ ◆◆ ◆◆
まさか、健気受けがこんなに萌えようとは……!!
健気受けの作品は今までいろいろ読んできて、
だんだんと「いいかも…」とか思い始めてきたところだったので、
ここでドスンと落とされた感じです。
純粋で無垢。
健気で一途。
それに泣かされる…。
分かっていても、泣かされる…。
いやー、悪くないかもしれませんね。
またひとつ、
萌えを見つけてしまったかもしれないと思った作品でした♪
王を守る「七騎士」の称号を代々受け継ぐ一族に生まれたイサール(攻め)。
しかし、20歳にして未だ騎士に必要な魔力が発現しておらず焦りを覚える。
己の能力が異母弟で妾の子のミカ(受け)に奪われたことを知ったイサールは、ミカの暮らす村を訪ね……
最初はミカに冷淡に接していたイサールですが、ミカのあまりの健気さに心打たれ彼を愛し始めるという王道ですが胸を打つ物語。
切ない展開もありますが、最後は大変ラブラブ甘々に落ち着きます。
ミカは天使のように純真で健気。
イサールより2歳だけ年下ですが、外見も中身も年齢より幼く見えます。
幼い頃一緒に育ったイサールのことを「お兄ちゃん」と慕っていたのに、再会したイサールはつれない態度で……
自身が能力を受け継いでしまった引け目から彼に気を使う姿がいじらしいです。
心優しい彼の能力は、人の病や傷を治すというもの。
その能力をイサールに返すため、ある危険な行動に…
ちょっといい子すぎる感はありますが、見慣れない都の様子に目を輝かせる等あどけない一面もあり、とても可愛いです。
イサールは優しく勇敢な青年ですが、能力を持てない苛立ちからミカを犯す荒々しい一面も。
その後、犯されてもなお自分を慕うミカを見て即後悔→改心しており、良くも悪くも人間的で分かりやすいと思います。
ミカのある意味人間離れした天使っぷりとは対照的。
そんな彼が少しずつミカへの愛しさを募らせ、最後には能力よりミカを選ぶほどの変化を見せるのが感動的です。
終盤明かされる、ミカに能力を受け継がせた人物の考えはやや独善的に思えましたが、全体的には人の優しさや思いやりに温かな気持ちになれる素敵なお伽話でした。
yocoさんのカバー絵に惹かれて読んでみたくなりました。
またかっこいい騎士と健気な受けも好物です。
不覚にも出版社を確認していなかったため書店で探し出せませんでした。
イラストの印象から少なくともルビーではないといった思い込みから…
結局いつものようにネットでポチりで購入したのですがページ数の少なさと可愛いファンタジーはルビーらしいお話でした。
いつまでも発現しない騎士であるための能力が義弟 ミカが盗んでいたのではないかと思い至った騎士イサールが力を取り戻すために旅に出るというもの。
王様が命をかけて忠誠を誓うような人物でなく騎士を尊重するでもなく、より良い政や民の幸せなど考えていないみたいでイサールの忠誠心や国づくりへの思いが無駄な気がして歯がゆくなりました。
イサールが王に対して使うべく能力がないことを悲観し、酔った挙句力を奪ったミカ母子に対する鬱憤から八つ当たりのようにミカを犯す形で発散させてしまったのは大人気ない。
健気で一途なミカに何するのさあと襟首掴んで締め上げたくなりました。
けどその翌日酷く悔い、心から謝罪しそのあとは贖罪と恋情とで溺愛路線一直線、ミカも好きで本当は優しい人なんだからと許してしまうところは、もっと怒りなさいと思うのですがイサールに心酔しているミカには無理な話です。
旅を続けるうちにすっかり両思いじゃないのとは思ってもなかなか最後の砦は硬いです。
王のための能力と騎士としての役目の秘密、お互いが思い合う気持ち、ミカの母の想い、などいろいろな障害を乗り越えなければなりません。
運命ですね、それもミカの母の導きでしょう。
読みやすい。
和泉先生だからというよりも、レーベル的にという要素が大きいかな。
もっとお話に色々付け足す事は和泉先生なら容易だと思うが、本作は必要最低限、押さえるべきところのみ押さえた作品という印象。
重厚なファンタジーというよりも、お伽噺といった感じ。
つまりは…
もっとここ掘り下げて欲しい!や、
おぉ、とんとん拍子。
などの感想も抱いてしまったのだが、押さえるべきところは押さえられている為、読了後、一定の満足感は得られると思う。
安定のクオリティというのだろうか。
主要キャラクターが良かった。
ミカは無垢で健気で美しく、イサールは紳士であるとともに心根の正しさがヒーロー然としていて好きだ。(ヒーローは受けに無体をはたらかないって?笑)
yoco先生の絵が美しい。言わずもがな。