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rien no kikoushi
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
…なのですが、それでもやっぱり読んじゃいます。特に、前回の「破瓜」と異なり、今回は本線の二人に戻ると判ってからは発売が尚更に楽しみでした。
設定・ストーリー・人物達が好きなのは言うまでもないのですが、円陣さんの絵があまりに綺麗なので(このシリーズの挿絵を円陣さんに決定された方のマッチングのセンスを称賛します)お話の魅力が更に増す事と、品の良い敬語攻が好きなのかも。一見不遜なまでに自信に溢れている人間が、好きな人にだけは弱くなってしまうというのも。
前々巻(「秋波」)では怪我をしてしまった常盤が浅葱に舞台への不安や焦り等、やりきれない気持ちをぶつけてしまうのですが、今回の「玉響」では今度は常盤の自身の芸に対する様々な葛藤がきっかけとなって、またもや浅葱にそのやりきれない気持ちをぶつけ、愛しているのに反面疎んじるような行動をとってしまう、という筋書なので、読みながら少し混乱してしまいました。ん、前回も似たような内容で浅葱を遠ざけていたよね?と。
ただ、これまでの巻の積み重ねの中で語られて来た「春日孝匡」=「常盤彦三郎」という人の生い立ちやそれにより形成されたキャラクターを鑑みると、葛藤と無縁に屈託なく明るく前向きに芸に邁進するという事はそもそも無理な宿命に生まれたとしか思えない人なので、こういった大小の衝突も仕方ないと納得のいくものではあります。年齢も浅葱より結構下なので、そんなつもりはなくとも無意識に無茶を言ってしまうのかも。(でも今回の常盤はちょっと子供っぽい感じもしましたので、人によっては呆れちゃうかもしれないです。)
大変なのはその都度心と身体に負担を強いられる浅葱ですが、この人もこの人で、春日孝匡=常盤彦三郎という人に惚れ抜いているので、本望なのかな。甘えさせてやり、時には背中を押してやり、どうにもならない苛立ちをぶつけられて自分も辛くても、それでも大きな心で常盤を見守る浅葱は本当に素敵な人。キリッとした浅葱と、キリッとしているかに見えてちょっと弱い部分もある常盤、でもそんな常盤の存在に浅葱自身もインスピレーションを得てカメラマンとして成長していける、何だかんだでこの二人のバランスは丁度よくて、互いに補完し合う感じがいいなと思います。
様々な誤解やわだかまりが解けて抱き合うシーンは今回も美しく情熱的で綺麗でした。常盤は浅葱には基本的にいつも敬語なので、彼の言う「愛しています」が自分は本当に好き。ふゆの先生の筆から、常盤が浅葱のことを、祈るように縋るように本当に愛している事がじんわりと伝わって来るので。
この二人の互いを想う気持ちやその関係の安定性はちょっとやそっとで揺らぐことは無いほど固まっているので、主役達はもういいから前回のように紫川等他の人達のお話を読みたいという声もよく目にしますし、紫川と根岸の関係も確かに興味深いのですが、受が複数の人の間を行き来するお話は苦手な自分としては、あくまでも常盤&浅葱のお話をメインに、紫川のお話はSS程度で留まって欲しいな。むしろ、今回初登場の浅葱の友人の中城とその恋人・能瀬のお話をもう少し知りたくなりました。千石との事で浅葱を罵り、敬遠するようになった中城がどうして能瀬と愛し合うようになったのかとか、ちょっと興味あります。
今回は本編の他に鶸のSS(書き下ろし、10ページ程度)、常盤・浅葱のSS(2012年のフェア小冊子からの収録)が付いています。ご参考までに。