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新装版の方にはレビューがありますが、所有しているのは旧版なのでこちらに。
大学生の弘之は「広告研究会」繋がりで始めた、コンサートスタッフ斡旋のバイトに明け暮れる毎日。経営者の木島がサークル時代からの先輩で、起業した彼の仕事振りに憧れ背中を追っかけていました。
木島は仕事にかけてはストイックで厳しいけれど、ことシモに関しては超ユルユル。婚約者がいるのに職場のスタッフに手を出したり、おまけにバイなので弘之にも手を出そうとする始末。
そんな二人が絆を結んでいくストーリーなんですが、作者様のBLって、受けはあくまで男として攻めと対等に結びつきたいと思っているんですよね。弘之は木島が付き合っている他の女性たちと自分を同列にされるのが嫌で、木島と寝ることに抵抗感がある。肉体的な欲望も完全には否定できないけれど、実際に寝てみたところで、弘之にとって木島の魅力は体の相性なんかではないのです。
葛藤する弘之が女性客とホテルに行くシーンに、もんやりしました…。でもそれも弘之にとっては自分が男だと確認するための行為だったのかなと。
物語終盤、木島が特別視する弘之を重用していたために古参のバイト連中から嫉妬を買い、ボイコットした彼らが大きな仕事に穴をあけて事務所は大損害を被ります。大切にしていた会社を潰し、損失を親に負担してもらうという木島の後ろ向きな決断を知った弘之は、大きな裏切りと失望を覚えてブチ切れます。そこがただの恋愛じゃない感じがして好きでした。
寝てはいても木島も弘之もずっとはぐらかし続けてきた思いは、木島の一言で決着するのですが…。大切にしたい相手が女性なら自然に言えるたった一言なのに、男性だからこそ言葉にできなかった躊躇いはリアルです。うーん、なんとなく納得できるような、肩透かしのような、、仕事上の同志として求められる以上に弘之が求めたものについてもう一歩踏み込んで欲しかったかも。(作者様の他の作品を読んでいくと、このあたりが繰り返しテーマになっていくことが後々わかります)
それまで女性たちを散々振り回してきた木島が婚約破棄までして選んだのが最終的に弘之だったわけですが、そこにたどり着くまで木島も苦悩していたんだよなーと思うと、引き続き二人には新たな困難が待ち受けているような気も…。けれど、きっと木島が女性たちから得られなかった何かを弘之は持っていたのだから、二人の絆は簡単に解けることはないだろうと信じたいです。
なんだかんだ生々しい惹かれ合いをする男たちのお話でした。