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頑なな心を甘く優しく蕩かされて♥︎
mitsu yori amai kuchibiru
ラブコメディなのかなと思いきや、自身の置かれた環境や将来について思い悩む青少年の心の揺らぎや繊細な心境が描かれた作品でした。
孤独を抱えて生きる受けの元にフランス人の王子さまが現れて徐々に成長をしていく、といった物語ですね。
女装もの、というほど奇抜なイメージはないかと思います。
以下、あらすじと感想です。
女性を撮らせたら並ぶ者はいないと言わしめる、天才カメラマン・ガブリエル。
彼と恋に落ち、彼の「ミューズ」としてフランスへ渡った恋多き女性モデル・梨里子。
ガブリエルと結婚までした恋心を瞬く間に燃え尽きさせた彼女は、子供を彼の元へ置いたまま去っていった。
傷心のガブリエルが代わりにと目をつけたのが、彼女に置いていかれた子供・梓でした。
幼い頃にはもう既に両親の夫婦仲は破綻しており、心寂しい子供時代を送っていた梓は、血の繋がりがない自分を引き取ってくれた養父のガブリエルに恩を感じ、喜んで欲しい・必要として欲しい一心で、世間には男性だという事を隠したまま「プチ・リリー」の芸名で女装モデルという仕事を13歳の頃から5年も続けています。
しかし彼にも長い成長期が訪れ「成長期の体型変化で体が変わってしまったらどうしよう」と思い悩んだ末、無理な食事制限をして撮影中に倒れてしまうのでした。
そんな梓を介抱してくれたのが、雑誌社の立食パーティーで1度会ったことがある有名フランス人シェフで、ガブリエルの知人でもあるオーギュスト。
頑なに食事を口にしない梓に口移しで強引にポトフを食べさせます。
見かねたオーギュストがガブリエルに進言し、彼が仕事で不在のしばらくの間、梓の食事を世話する事になり…と続きます。
梓が健気で寂しがり屋、そして頑張り屋の良い子。
母親にも捨てられひとりぼっちの彼は、養父に必要とされたい一心で栄養失調で倒れてしまうくらいぐるぐると思い悩むのですが、決してうじうじとしている訳ではなく、頑張りすぎてもういっぱいいっぱいなのですよね。
この健気な様子に養父のガブリエルが全く気が付いていなかったのがまた切ない。
ちょっと無頓着過ぎるのではないかと思ってしまうほどで、梓の焦燥感を知っているだけになんとも不憫…
そこへ現れたのがフランス人シェフ・オーギュスト。
彼が今作の王子様といったところでしょうか。
養父の理想であろうとしていた梓を優しく諭し、美味しい食事を与えながらあちこちへ連れ出し、新しい世界を見せていきます。
少し強引で、けれど優しいオーギュストとのびのびと過ごす内に、これまで養父のためだけに生きて来た梓の狭い世界がどんどんと広がっていく描写がとても良かった。
ある日ガブリエルから「新たなミューズが見つかった」とのエアメールが届き、また居場所がなくなると不安がる梓の姿を見て、我慢と理性の限界を迎えたオーギュストが体で慰める展開になるのですが…これがもう、押せ押せのストレートな甘い言葉で口説きまくるフランス人で!
優しくあやしながら快楽をひとつひとつ丁寧に教えては「俺を受け入れて?」「おまえの寂しさを埋めたい」etc…
翌日、不誠実な事をしてしまったと焦る梓に対して「俺のせいにすればいい」「梓の気持ちが変わるのをのんびり待つから可愛がらせてほしい」「たっぷり愛してあげる」etc…
あ、あまーーい!!!
寂しい心にかこつけて、餌付けをして甘く囁いて…もー本当にずるいだめな大人(笑)
ずるい大人なんですけど、梓にはこの甘さと優しさが必要だったのでしょうね。
やがて2人は恋人同士となりますが、その間に超初歩的な勘違いと誤解でひとやまあり、誤解の中で梓が見事に成長していきます。
梓が進路やその後について決断をする姿に成長を感じられて◎なエンディングでした!
あえて一緒に住まない選択をした梓が好きです。
欲を言えば、もう一捻りある展開やオーギュストがどこでどう梓に夢中になったのかも詳しく知りたかったなあと思いましたが、作中の糖度の高い甘い言葉の数々にお腹いっぱいになります(笑)
さらっと読める王道の甘々ストーリーをお求めの方におすすめの1冊です。
フランス人シェフのとろける甘さに酔いしれてみて下さい。