snowblack
2014Winter
『ステノグラフィカ』番外編
タイトルは『たたかいすんでひがくれて』
選挙があると、ああ、西口忙しいだろうなぁ、と
病気が過ぎて現実にすっかり混ぜ込んじゃってる自分に苦笑する。
(ちなみに某新聞の醜聞を聞くたび、彼らを思って心が痛む私……)
この年末(2014年)も、解散総選挙だったが、
さて、ようやくそれも終わり、新内閣発足まで終わったある日の夜。
久しぶりに年下の恋人とゆっくり過ごす晩餐に
西口がリクエストしたメニューは、なんともB級で
でも「もったいない」の日本の美徳を体現するかのような
碧の手料理。
刻んだたくあんを炒めたものやら、変わりきつねラーメン、
うまいうまいと食べながらいつしか母親の話になり……
別れた嫁の話になり……。
選挙のたびに思わずにはいられない、諸行無常。
いい歳してこんな若い恋人を得て幸せである自分を
いいのだろうか?と思いながら、でも決して譲れないと思う時、
溶けない葛藤をしゃぶって遊んでいるだけだって知っているけれど。
「葛藤に答えが出ないんなら、いっそ僕の実家に来てください」
控えめに見えて実は強い碧のこのセリフが、
まっすぐに西口を見つめ、
どこをとっても自分のためじゃあないところが、胸に響く。
戦い済んで、恋人のもとで安らぐ西口……。
ひらがなでかかれたタイトルどおりの、優しい夜が更けていきます。